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漫才「日本れいわ昔話 ~桃太郎~」

A=ツッコミ
B=ボケ

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B:最近思うんだけどさ

A:なに?

B:昔話ってあるじゃん?

A:うん

B:あれさ、ちょっと古くない?

A:ちょっとっていうか、だいぶ古いけどね

B:古いよな!

A:どうしたんだよ急に。いきなりテンションあげるなよ

B:今みたいに動物とかしゃべったりしないし

A:いや、今もしゃべんないだろ

B:え? だってテレビでよく「えっほ、えっほ、今日はお散歩だ~!」って言ってるよ

A:あれ勝手にナレーションつけてるだけなんだよ

B:ナレーション?

A:実際に動物がしゃべってるわけじゃないから

B:「やっぱり草食動物はおいしいなぁ」

A:あんま捕食のシーンにナレーションつけないで。気持ち悪い

B:昔話が古いから、今の子どもたちに響かないと思うんだよね

A:まぁ伝わりづらいってのはあるかもね

B:でしょ? だからこの新しい時代に合った昔話を考えてきたからさ、お前に聞いてもらおうと思って

A:今なのか昔なのか矛盾してるけど大丈夫?

B:大丈夫大丈夫。人間なんて死ぬために生きてるんだから

A:そんな話はしてない

B:じゃあいくよ

A:はい

B:(紙を出す)

A:え、待って、なにこれ

B:いやね、今はエコの時代だからさ、裏紙を使ってるのよ

A:それはいいけど、これなんの紙?

B:結婚届

A:そんなもんに書くな!

B:いらなくなったからね

A:悲しいこと言うなよ

B:まぁまぁ聞いてて。「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました」

A:ちょっと待って、タイトルは?

B:あぁタイトルはね、途中で出てくる

A:途中?

B:うん。映画とかアニメでも最初からタイトル出てないじゃん

A:あぁ演出ってこと

B:そう、よきとこで出るからね

A:よきとこね

B:「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました」

A:あぁ桃太郎ですかねこれ。でも柴刈りとか川に洗濯とか全然今っぽくないね

B:「おばあさんが『今どき洗濯板でブラウス洗ってみた』の動画を撮っていると」

A:なんかYouTuberみたいなことしてるな! 新しい昔話ってそういうことね。てかおばあさんブラウス着てんのか。どうでもいいけど

B:「すると、川上の方からどんぶらこ~どんぶらこ~と、チアシード、キヌア、ヘンプシード、クミンが流れて来ました」

A:スーパーフードばっか! あんな小さいもん流れてても気づかないから! しかも最後クミンってカレーのスパイスだよね

B:「あとはまぁ、桃がね、流れてきました」

A:ついでみたいに言うなよ

B:「おばあさんは拾える範囲でねこそぎ抱えて持って帰りました」

A:がめついな

B:「一方その頃、おじいさんはというと」

A:おじいさん?

B:うん。今までの桃太郎はおじいさんが柴刈ってるときのこと書かれてなかったでしょ。

A:あぁまぁ確かに

B:ね、ちゃんと書かないと。

A:まぁまぁまぁ

B:「一方その頃、おじいさんが時給1,013円で柴を刈っていると」

A:東京都の最低賃金じゃん! 新しく値上げしたやつ

B:「なんと竹が光っているではありませんか」

A:え?

B:「おじいさんは光る竹を切ってみました。すると中にはなんともかわいらしい女の子がおりました」

A:これ、かぐや姫じゃない?

B:そうなんです、かぐや姫と桃太郎のコラボ動画ですね

A:確かに流行るけどなコラボとか

B:サムネには「かぐや姫の恋人に求める条件! 燕の子安貝ってなに!?」って書かれてる

A:求婚してくるやつに持ってこいって言うやつ! サムネに書かなくていいんだよ、早く進めろよ

B:「桃を持ち帰ったおばあさんはおじいさんに言いました。『こんなに大きな桃を拾ったよ。早速切って食べてみよう』
 おじいさんは言いました。『そうじゃそうじゃ、切ってみよう。この2020年上半期買ってよかったキッチングッズ堂々の第1位、らくらく包丁でな』
 『そうじゃな、このらくらく包丁ならどんなに固い野菜や果物、切りにくいお肉なんかも楽に切ることができるからな』
 『このらくらく包丁の商品ページは下のリンクに貼ってますんでよければ買ってみてくださーい!』」

A:スポンサーついてんじゃねえかおい! もうちょっと宣伝っての隠してくれよ、スポンサーついてると思うと急に冷めるんだよ!

B:落ち着いてください

A:あぁごめん、つい

B:「おじいさんは言いました。『では、ばあさんや、さっそく桃を切ってみてくれないか』」

A:うん

B:「すると、おばあさんは言いました。『料理は女の仕事なんですか?』」

A:え?

B:「『その包丁なら誰でも切れるのになんで自分でやらずに私に渡してくるの? 料理は女がするものって思ってるからじゃないの? そういう理解がないことで女性蔑視に繋がるんじゃないの?』」

A:……

B:「『そうじゃな、申し訳ない』」

A:……洗濯に行く時点で言ってほしかったな! 料理だけじゃなく洗濯も女性の仕事じゃないし

B:そうですね、性別なんて関係ない価値観の世の中になっていくといいですね

A:なんだよ急に真面目になって

B:ボケるのは俺の仕事じゃないから

A:お前の仕事だろ。早く桃太郎の続きよ

B:あぁはい。「おじいさんは言いました。『では、桃を切ってみるとするかの。開封の儀』」

A:開封の儀って言うな

B:ドドン!

A:効果音ね。あるけど

B:「おじいさんが桃を切ると、中から男の子が飛び出してきました。『なんと、男の子が!』『すごいですね、おじいさん!』」

A:うん

B:「『名前をつけてやらないとな』」

A:名前ね

B:「『よし、決めたぞ! お前は桃から生まれたから……果肉太郎だ!』」

A:果肉太郎!? 気持ち悪! 桃太郎でいいじゃん

B:そんな名前つけたらいじめられるから

A:果肉太郎のほうがいじめられるわ!

B:ここでタイトルね。「果肉太郎」

A:キモいテロップだな。見たことないわ

B:「おばあさんは言いました。『果肉太郎、すくすく育って鬼を退治してきてね』」

A:すごいネタバレしてる!

B:今の時代、展開が遅いと飽きられちゃいますからね

A:悲しい世の中だな

B:なのでもう仲間を用意してます

A:仲間? イヌとか?

B:いや、種太郎と皮太郎

A:桃の余った部分でなんか作ってる! え、種太郎と、皮太郎?

B:かわいいでしょ

A:気持ち悪いよ

B:種太郎がこのぐらいね(くるぶしあたりに手を持ってく)

A:ずいぶん小さいな

B:これが皮太郎(ひざあたり)

A:うん

B:んで、果肉太郎が、こ~~~~~んなにおっきいの!!(腕を目いっぱい広げる)

A:トトロみたいになってるな! 小さいのと中くらいのいるし!

B:ジブリは相変わらず人気なんで

A:あやかるな。てかあれ? 仲間ならかぐや姫がいるんじゃないの?

B:定時なんで帰りました

A:定時!? 定時なんて概念あんの!?

B:家事代行サービスで来てもらってたんで

A:仕事も概念も今っぽい!

B:おじいさんたちも民泊やってくのは大変だからさ

A:え!? おじいさんたち民泊やってんの!?

B:うん。古き良き和モダンな隠れ家って売り文句で

A:よく聞く言葉ばっかり。てかもう早く鬼退治しに行けよ。ここまでめちゃくちゃ時間かかってるよ

B:あの、全部見るのが面倒って人は下の丸いバーを最後まで持ってっちゃってください

A:それもYouTubeだな! 早くしろよ

B:「果肉太郎は種太郎と皮太郎とともに鬼退治に出かけました。途中でイヌ、サル、キジとマッチングしましたが、顔が好みではなかったので左にスワイプしました」

A:Tinderじゃねえか! 出会い系アプリで家来を見つけようとするなよ

B:「はたして果肉太郎は無事に鬼退治できるのか? この続きは後篇で」

A:後篇? なにそれ?

B:今編集中だから待って

A:またYouTubeになってんな!

B:……えーみなさん、いかがでしたか? 私も川から桃が流れてきたときは怖がらずに拾ってみたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました!

A:いや、まとめブログの最後みたいになってる! もういいよ

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