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日本ちょっと昔話-本太郎-



これはなあに?


本には、なんにも書いてません

お兄さんは不思議に思いました

その本は、すこし汚れていたので
お兄さんは本をふいてあげました

するとどうでしょう


本には、なんにも書いてません

お兄さんは、だんだん悲しくなってきました
お家もお金もお趣味もない
本にもなんにも書いていない
僕はこれから、どうすればいいんだ

すると、お外は雨がふってきました
ポツポツポツ
ポツポツポツ
パラパラパラ
パラパラパラ

お兄さんは悲しくなって
泣いてしまいました
シクシクシク
シクシクシク
ザーザーザー
ザーザーザー

お兄さんが泣いていると
どこかから、声がしました
そこでシクシク泣くのはだあれ?

そこには一人の、メガネ屋さんがいました
あらお兄さん、久しぶり
そんなに泣いてどうしたの?
お外にいるのは寒いから
わたしのお家にいらっしゃい

メガネ屋さんは
以前にお家で遊んだともだちです
ありがとう、メガネ屋さん

お兄さんは、メガネ屋さんのお家に
泊めてもらいました

次の日の朝
メガネ屋さんは言いました

メガネがない、メガネがない
私のメガネが、どこにもない

メガネ屋さんは、まわりを探してみましたが
それでも、メガネはありません
メガネ屋さんは
悲しくなって泣いてしまいました

お兄さんは聞きました
メガネ屋さん、メガネ屋さん
探しているのはどんなメガネ?
メガネ屋さんは泣きながら答えました

まるくて、くろーいメガネだよ

するとお兄さんは言いました
なあんだ、メガネ屋さん
探していたのはそれだったのか

まるくてくろーいメガネなら
メガネ屋さんが、かけてるじゃないか

メガネ屋さんは、
鏡で自分をみてみました

あら、ほんと
わたしは今まで
かけてるメガネを探してたのね

二人は大きな声で笑いました

ワハハッハ
ワハハッハ
ソンナコトアル?
ワハハッハ

お兄さんはメガネ屋さんと
お話をしたり、遊んだりしたので
とっても元気になりました

お兄さんはメガネ屋さんにお礼を言いました

メガネ屋さんのお家を出たお兄さんは
楽しかったお話を忘れないように
紙に残しておこうと思いました

お兄さんは、紙を持っていなかったので
原住民さんにもらった、
なんにも書いていない本に書き込みました
するとどうでしょう

ピロリンピロリン
ピロリロリン

お兄さんは、メガネ屋さんや原住民さんたちと
いっしょに遊んだことを思い出し
しあわせな気分になりました

ピロリンピロリン
ピロリロリン

お兄さんは、今までたくさんの旅人さんたちと
いっしょに遊んだ日のことを思い出しました

いちゃりばちょーでー
いちゃりばちょーでー
旅人さんはみんながともだち

いちゃりばちょーでー
いちゃりばちょーでー
一度会ったらみんながともだち

お兄さんは、旅人さんたちと
お話をしたり、遊んだりしたお話を
本に書いていきました

ピロリンピロリン
ピロリロリン

お兄さんが楽しそうに本を書いていると
そこにお金持ちさんがやってきました

お兄さん、お兄さん
楽しそうになにをしてるの?

お兄さんは答えました
ともだちのお話を書いているんだよ
これは、僕のお趣味なんだ

お金持ちさんは言いました
それは素敵なお趣味だね

お金持ちさんは、お兄さんに
お金をあげました
大切なものを見つけたね
僕は今から、おうえんするよ

お金持ちさん、ありがとう
お兄さんは、さっそく
そのお金を持って
大家さんに会いにいきました

大家さん、大家さん
僕はやっぱり、島のお家が大好きです
お家を貸してくださいな

おやおや、お兄さん
なにか大切なものを
見つけたみたいだね
大家さんは、お家をかしてくれました
私も今から、おうえんするよ

大家さん、ありがとう
お兄さんはそれからというもの
お家で本を書くようになりました

いちゃりばちょーでー
いちゃりばちょーでー
旅人さんはみんなともだち

いちゃりばちょーでー
いちゃりばちょーでー
一度会ったらみんながともだち

今日も旅人さんたちが
お家に泊まりにやってきます


おわり


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