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【ダンス】Hiphopのこれから


突然ですが、あなたはHIPHOP MUSICがどのような変化をしてきたか考えたことがありますか?


FUNKのGet Downをつなぎ合わせたところから始まり、ブラックカルチャーとして栄えてきたHIPHOPですが、20世紀の終わりには白人ラッパーのエミネムが出てきたり、最近では88risingを筆頭にアジアでもイケてるHIPHOP MUSICが生み出されています。


世界中に広がり、独特の変化を見せるHIPHOPはどんな変化を今までに遂げてきており、今後どのような変化をしていくのか?Youtubeに今までの変遷をよく見れる動画があったので、上のリンクから見てみて自分なりの変化・これからの展望を考えてみてください。

どうでしょうか?あなたは、どんな変化を感じたでしょうか?もし、これかなというものがあればお気軽にコメント欄にコメントを残していってください。


ここからは、あくまでも僕の主観で「どんな変化を今までに遂げてきたのか?」「そして、今後どのような変化をしていくのか?」を書いていこうと思います。その際に、僕が持っているHIPHOPの歴史に関する知識や音楽の知識には誤りがあるかもしれませんが、一参考意見として聴いていただけたら幸いです。


HIPHOPの歴史


もともと、FUNKのGet Downパート(楽器が強くなるパート)をつなぎ合わせたところから始まったのがBreak Beatsと言われるグルーブ感溢れる声なしの音楽です。以下に貼っているJAMES BROWNのFunky Drummer (Bonus Beat Reprise)もFunky Drummerの中のGet Downパート(5分21秒~)をつなぎ合わせたものです。これはまじで最高ですね。



 そして、もともとFUNKのGet DownパートだったBreak BeatsにDJがRapを入れるようになり、ここで初めて現代のHIPHOP MUSICのようなRap+Beatsという形が完成します。その起源は、DJ Hollywoodが行なっていたイントロでの自己紹介が派生して、Beatの上にRapをのせるという形が出来上がっていったそうです。


そもそも、昔のDJは今のように曲をうまくつなぎ合わせながら音楽を回していくのではなくて、一曲一曲頭からケツまでを丸々流して、終わったら次の曲を流すという方法を取っていました。ですが、そこからターンテーブルを2枚使って曲を途切らせないように音楽を回してくDJがあわられ、DJの技も増えていきます。


ちなみに、上のリンクに貼ったFunky Drummer (Bonus Beat Reprise)の中にも、その時代にできたスキルが使われており、ところどころオリジナルのFunky DrummerのBreak Downに入っていない声が使われています(この技はフレーズをパンチインしているので、“フレーズパンチ”と呼ばれています)。


この辺のHIPHOPの歴史に関しては、DarthチャンネルにてDARTHREIDERさんが詳しく解説してくださっているのでそちらをみて見てください。こんなにわかりやすくまとまっているものはないのではというくらいまとまっています。本当に助かります...



 HIPHOP MUSICの変化


そして、Rap+Beatsという形が完成したHIPHOP MUSICですが、上にも書いたようにもともとは踊れるBeatの上に後からRapを乗せたという形だったので、Beatの中には16Beatと8ビート(4つ打ち)がしっかりと入っており、規則正しいリズムが主流でした。


しかし、時が流れていくにしたがって、HIPHOP MUSICは規則正しいBeatでからどんどん複雑なリズムに変化していきます。ここは、僕の仮説でしかないのですが、この複雑化の変化はRapのスキルが向上にしたことによってRapだけでもお客さんがノレるくらいのリズム感が出せるようになったこと、DJのテクノロジーが進化して様々な音を様々なリズムで入れられるようになったことが大きいのではないかと思っています。


HIPHOP MUSICのこれから


文化というのは何事も「拡散と収縮」なので、規則正しいものは複雑になっていき、その限度が過ぎるとまた規則正しいものに戻ってきます。それがHIPHOPに限らず、文化の特性であり、表面に出てくる形は違えど「拡散と収縮」のパラダイムは必ず同じで、今もそのどこかにいます。


そう考えると「どんな変化を今までに遂げてきたのか?」の問いに対する僕の答えは、

Rapが規則正しくなり、Beatが複雑になった

というものになります。そして、曲調が早くなり、音の種類も多くなっていることを考えると、後数年くらいは「拡散」のベクトルでHIPHOP MUSICは進化していくような気がしています。なので、「今後どのような変化をしていくのか?」の問いに対する答えは、

この複雑性は後5年くらいは同じベクトルに進む

という感じになります。なぜ5年なのかという理由は、根拠を示せなくて申し訳ないんですが、ただの僕の直感です。


後5年くらいは変わらないような気がしていますが、5年過ぎくらいに新たなNewWaveがくると踏んでいます。それがどんな形かもわかりませんし、どんなテクノロジーが使われるかもわかりませんが、次は間違いなく「収縮」のパラダイムで動くと思います。それでは、ここからダンスの話に移っていきます。


HIPHOP DANCE


そもそもの大前提として、ダンスは良くも悪くも音楽の変化に合わせて進化していきます。今のところは音楽にノッて踊ることが基本になっているのでこればっかりはしょうがないです。


なので、HIPHOP MUSICのBeatが複雑になるということはそれに合わせるHIPHOP Danceも複雑な音に合わせたものになっていきます。既存の縦ノリのDownのリズムをキープしたものからどんどん“Free Style”のような踊りが合うようになってくると思っています。いかに気持ちよくノリ続けるかというよりも、音が多くなり、複雑なリズムになった分、いかにいろんな音を遊びながらとっていけるかというのが勝負のカギとなると踏んでいます。


その中で、僕が特に複雑化しているHIPHOP MUSICと合っている音楽をしていると感じているのは、フランス出身のFree Styler・Waydi(Waydi Waybe)さんだと思っています。



彼のダンスは見てもらえればわかるのですが、本当に多様な音どりをします。「なんで、そんなに正確にその音を取れるの?」と思うほど、正確に多様な音を取っていきます。特に、一番後ろにある重い音(言葉では伝えにくいですが...)に対するアプローチが非常に優れています。フランスのダンサーはこの音を取るのがすごく上手いのですが、Waydiさんは特にこの音の見せ方が上手いです。


実は、この重い音は初期のHIPHOP MUSICには存在せず、Beatがどんどん複雑になっていったことによって出てきた新しめの音です。フランスのダンサーが最近の世界のHIPHOPシーンを牽引していること、まだまだHIPHOP MUSICが複雑になっていくことを考えると、この重い音をどのように取っていくかがこれからの鍵だと個人的には思っています。


日本人の選手がカッコ悪いわけではないのですが、この音を取らない日本人の選手はどこか単調に見えてしまい、結果的に会場が盛り上がらないということが起きてしまいます。日本人には魅力に感じないのかもしれませんが、欧米人からすると、このリズムは気持ちよく感じるのかもしれません。うまく言葉にできないのですが、この間見にいったJuste Debout Finalの時にすごく感じました。この後がうまく取れるとアホほど盛り上がります。


日本人の可能性


ただ、だからと言って日本人はもうダメなのかと言われると全然そんなことないと思っています。HIPHOPの音楽でもアジアの方に波が来ているように、HIPHOPのダンスもアジアの方に波がくると思っています。特に、特性的に考えると日本人には結構分があると個人的には感じています。


というのも、これからのHIPHOPダンスはいかに黒人独特の脱力感あるノリができるのかという勝負ではなく、いかにキレよく多様な音を表現できるかというところに価値観が移動するからが理由です。キレよく多様な音を表現することは、実は日本人の得意分野かもしれないのです。


「君が代」を見れば分かる通り、日本人の音楽には基本的に8Beatとか16Beatといったような一定のリズムを刻むといった概念はありません。しかし、そのリズム感がないからこそ武術のようにリズム関係なく、一瞬のキレを求められる競技は恐ろしいほどの強さを発揮します。


柔道もリズムの中で組んでな投げなければならないというルールだったら日本人は弱いのですが、一瞬に全てを懸ける「居合斬り」のような状態の時の日本人は間違いなく強いので、柔道のような武術は、日本のお家芸になります。HIPHOPの音楽の流れ的に、これから日本人のキレが最高に活きる時代が僕はやってくると思っています。


アメリカやフランスのモノマネではなく、日本の本質をうまく今のHIPHOPと融合させていけば、世界に類を見ないようなカッコいいダンスが出来上がっていく...だからこそ、個人的には「日本」というものを突き詰めていく必要があると思いますし、ひたすら愚直にいろんなものを学び続ける日本人の謙虚な姿勢が鍵になってくると思います。


長い文書でしたが、最後まで見ていただき、ありがとうございました。

1997年の日本生まれ。