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いつか田舎に住みたい

ぼくたち夫婦は、いつか田舎に住みたいと思っている。

もともとぼくは、ゆきちゃん(奥さん)に出会うまでは断然都会派だった。仕事に困らないし、立地のいいマンションで完全にシステム化された生活をすることに憧れていた。ここでいうシステム化とは、仕事や趣味や生活に関わる全てがアクセス良く充足している状態のことで、例えばマンションの敷地から一歩も出ずとも一週間充実して暮らせるならそれが一番だと思っていた。

今ではそんなぼくが180度真逆、田舎に住みたい。これは結構な変化だ。しかし思い返してみれば、そもそもどこに住みたいとか移住したいとか、そんな希望が人生の第一になったことは今までなかった。

ぼくは愛知県で生まれ、社会人になるまでの大半の時間を愛知県で過ごしたが、それは住む場所を愛知県に選んだからではなかった。

また社会人になってから今までは、ぼくは大阪に住んでいる。しかしこれだって自分で選んだわけではない。大学を卒業して就職した会社の都合により、大阪に行くことが決まっただけだ。

結局ぼくは今まで、どこに住みたいとか漠然と考えることはあっても、それを実現させたことは一回もなかったということになる。

しかしこれは冷静に考えると、ちゃんちゃらおかしい話にも思える。だって住む場所っていうのは生活の全てが決定する場所で、その住む場所が自分で決めていないのでれば、近所のお気に入りの居酒屋やパン屋なんかは、実はたまたま近くにあったお店を「それなりに」気に入っているだけで、ぼくにとっての本当のベストオブパン屋さんは全然違う地域にあるかもしれないのだ。例えば岡山とかバルセロナなんかに。

ぼくがそのことに気づけたのが、ゆきちゃんと出会ったからだった。ゆきちゃんは欲望に素直で、憧れに貪欲だ。自分の心が動くものをきちんと理解していて、それを追い求めようとする。住みたいところだって、ぼくはなんとなく、今まで住んできたのがそれなりに栄えた場所だったし、田舎で自分ができる仕事が見つかりそうにないかななんて漠然と思って、都会がいいと思っていた。けどゆきちゃんはきちんと、こんな生活がしてみたい、こんな暮らしがしてみたいと、イメージを持っている。

イメージを持つということはとても大切で、それができる人はすごい。イメージとは活力だと思う。イメージが人を動かすし、そういう人はとても魅力的に映る。

ぼくはまだ、うまくイメージを描けないことも多い。結構現実的に考えてしまって、お金のこととか仕事のこととか、心配になることばっかりだ。でも、ゆきちゃんとなら、どんなふうに田舎で生活してみたいか、ちょっと想像して楽しくなったりする。いつか本当に、住む場所を自分で決められるようになったらいいなと思う。

まさ

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