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両顎手術と輪郭形成、術後3か月

 両顎手術を受けた男性です。骨張った輪郭と突出した口元を改善したいと相談
に来られました。術後3か月が経過したのでご紹介します。

1.両顎手術に関して

 両顎手術は顎矯正手術と呼ばれ、上顎骨をルフォー1骨切り術、下顎を矢状分割骨切り術(BSSO, SSRO)を行います。顎先に関しては、上下顎骨の移動に伴い、位置が変わるため、長さ、幅、前後を調整するため、オトガイ形成術を基本行っています。

両顎手術 術後3か月 Vライン

 両顎手術を行って3か月が経過しました。
 このケースは上下顎骨の骨切りとオトガイ形成、そしてエラの骨切り、下顎角形成術を同時に行っています。骨張った輪郭をなくしながら口元を改善させたというリクエストでしたので、輪郭をシャープにスッキリさせる為に、エラの骨切りも同時に行いました。
 上顎骨の傾斜によるものですが、人中の傾斜があり口角が下がって見えていました。口角の位置が足側に下がっていると、どうしても機嫌が悪いような口元の印象となります。
 術後人中の傾斜が立ち、口角が上がって口元の尖った感じが改善しています。
また顎先は男性なので細くなりすぎず、術前よりはスッキリするように幅を調整、長さも若干短くしています。

2.ガミースマイルの改善

両顎手術 術後3か月 ガミースマイル

 笑った時の歯茎が見えるガミースマイルという状態で歯茎が見え過ぎるよりは、控えめの方が笑顔が素敵になります。前歯全体と歯茎の三角が少し見えるくらい、これは歯の尖端から9〜10㎜になるように上顎骨の位置を設定します。この時、口元をリラックスさせてポカンと口開けると、前歯が2㎜見えるくらいがちょうどよくなります。また笑った時の口角の位置や動きにも影響を受ける部分なので、歯の見え方、咬合平面の傾斜を調整して、ガミースマイルを改善させます。

 “中顔面が長く見えるから上顎骨のルフォー1骨切りでできるだけ短縮してほしい”というリクエストをよく受けますが、これは歯の見え方に大きく影響するため、安易に短縮はできません。そもそも中顔面が長く見える=上顎骨が長い、わけではありません。

3.輪郭も調整するプラン

両顎手術 術後3か月 ダウンタイム

 上下顎骨を移動させる両顎手術は、下顎骨の位置や傾斜が変わります。術前のオトガイの位置も当然変わってくるため、オトガイ形成はほぼ必ずと言っていいほどプランに組み込んで行います。仮に術前のオトガイの形が良いと思っても、上下顎骨の移動で位置が変われば、軟部組織の厚みなども変わります。角度も変わるので、見え方も変わります。そのため、上下、幅、前後の調整が必要になります。

 オトガイ形成に合わせて、Vラインも仕上げるために骨切りプランを立てる時には、Vラインの変化の評価と調整を検討します。ミニVラインで顎先の調整をしたり、エラの骨切りである下顎角形成を同時に行うかを検討します。

 今回のケースではエラの部分(下顎角)の角張った印象を無くして、スッキリとしたVラインを希望されていたので、下顎角形成術も同時に行いました。

 オトガイ形成を過去におこなっているケースで、両顎の相談に来られる方も多くいます。下顎の突出が気になるからオトガイ形成を行ったけど、下顎全体の前突感が残っている、顎の存在感が強かったから短縮したけど、顎が丸くなり気になる口元は何も変わらない、顎先が曲がっているのをオトガイ形成で調整したけど、口元の歪みは残ったまま、など相談内容は様々です。オトガイ形成は切り方によっては、再手術の際の調整の難易度が変わることもあるので、オトガイ形成を選択する場合も、それで得られる改善点と変わらない部分の把握はしっかり行っておくことが重要だと思います。

4.両顎手術に関して

 両顎手術は咬合と骨切りのプランの組み合わせで、全体のデザインが決まります。サージェリーファーストという方法は術後矯正が短縮される良い方法ではありますが、手術を契機に急に咬合が変わるケースがあるので、術後の咬合が安定するまで食事や発声に慣れるのに時間がかかる方もいます。咬合が安定しない場合、食事の形態工夫が必要であったり、噛む場所を探して噛み締めることで歯列矯正が思い通りに進まなかったり、顎関節に負担をかけることがあります。これはケースにより様々で楽に進む方もいますが、咬合調整に難渋するケースもありますので、術後の治療もとても大切になります。骨切り手術をした日に治療が終わるわけではない、それ形に長期戦となる治療である認識が必要な治療です。 

 ただ、矯正治療の山場を越えると一気に矯正が進むため、通常の歯列矯正よりとても早く歯が動きます。台湾や韓国などではサージェリーファーストの方が主流ですので、良い治療であります。ただ、ケースによっては治療に難渋する場合もあるので、覚悟を持って治療にあたる必要があります。それは患者様も外科医や矯正歯科と密にコンタクトを取りながら進める必要があります。治療が進まないのには原因がありますので、その原因を一つ一つ解決することで、目的としていたゴールに辿り着きます。

顎矯正手術(両顎手術)
施術代 ¥2,750,000円(税込)
麻酔代、検査代、別途要
リスク:出血、血腫、皮下出血、腫れ、感染、神経障害、咬合異常、顎偏位など
経過や結果には個人差があり、治療に関して十分理解した上で施術をご検討ください。

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