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一カ月間今までに買ったサイケアルバムを振り返る① The Beatles/Revolver

ロック大好きな私が特に好きなジャンルは「サイケデリックロック(以下サイケと略す)」で、最近はサイケのCDを買う事が増えた。だが、一方で買った1枚1枚をしっかりと聴き込めていなかったように気がつく。
そこで勝手ながら「サイケ振り返り月間」として1日1枚、自分の持ってるサイケアルバムを聴き込んでここに感想を書いていくというどこまでも自己完結に過ぎない事を始めることにした。

最初に選んだアルバムはビートルズの「Revolver」。私がサイケにのめり込むきっかけとなった想い出深い1枚である。

ビートルズ自体は姉の影響で聴くようになったものの、当時洋楽は全く聴いたことがなく邦楽もミスチルやスピッツなど有名どころくらいしか聴いていなかった自分にとって中期のサイケでヘンテコなビートルズの曲はとても理解し難いものがあった。青盤のDisc1もStrawberry Fields Foreverからそのおどろおどろしさがなんか怖くてあまり聴けなかったぐらいである。

いつの間にかその妙な怖さがクセになり、中期の曲も普通に聴けるようになっていた。
やがてベストだけじゃ物足りなくなった自分が最初に手を出したオリジナルアルバムがこのRevolverとホワイトアルバムである。
正直今までにビートルズを聴きすぎた反動から最近は通しで聴くことが少なくなり、今作も例に漏れず聴くことが減ったが、この機会に久々に聴いてみてもやっぱり好きアルバムだなと再認識することができた。

曲ごとの感想​

1.Taxman
このアルバムはまずジョージの曲から始まるっていう変化球ぶりからもう好きな訳で…。
この曲のベースリフは今日色んな曲で使われているだけあってとてもかっこいい。そしてポールが弾くギターソロの激しさもこの曲の特徴。ジョージの曲になるとポールはベースでもギターでも張り切ってる印象。(SomethingとかIt's All Too Muchとか)
後は歌詞のテーマも何にでも税を課される当時の情勢を皮肉った内容であり、そこもまたジョージらしさが炸裂してていい。

2.Eleanor Rigby
ストーリー調の歌詞からポールらしい曲だなと思っていたらどうやらジョン作詞説も出たりと謎が多い曲。
ストリングスをメインにしたバンドらしくないアレンジで、しかもコードはほとんどEmとCしか使っていなかったりでめちゃくちゃ実験している曲にも関わらず、当時はこの曲とYellow Submarineで両A面にして発売したのがすご過ぎる。
Taxmanに始まりこの曲が続くものだから、今作はこれまでのアルバムに比べての雰囲気が違いぶりがとても伝わってくる。

3.I'm Only Sleeping
何とも気怠げでサイケなジョンの曲。
なんといってもこの逆再生で挿入されるギターがトロットロでかっこいい。なんでも一旦普通に弾いたフレーズを逆再生して譜面に起こしたものをもう一度弾いて逆再生したものらしく、表現の追求のためにここまで手間のかかることをやっているのがまたすごい。
この曲を聴きながら寝たりなんかしたら悪い夢を見そう。

4.Love You To
今作二曲目のジョージの曲。この曲からしばらくはジョージ曲はインド路線になっていくが、ジョージのインドな曲の中では割と好きな曲。
思えばEleanor Rigbyといいこの曲といい、バンドらしくないアレンジの曲がこのアルバムには多いような…。それでもなんか統一感があるような気がするのは、あのカオスなジャケからのイメージのおかげなのかもしれない。

5.Here, There & Everywhere
ポール作の名バラード。赤青盤に入っていない曲の中ではかなり人気な方の曲でメロディの綺麗さは随一。
バラードはポールに作らせたら右に出るものはいないと思う。

6.Yellow Submarine
今作のリンゴボーカル曲。アニメ映画のタイトルになったりで子供向けなイメージがつく曲だが潜水艦的な音のコラージュが間奏などで散りばめられてて、ここでもビートルズの実験精神を垣間見ることができる。
赤盤だとラストがこの曲で終わるのでなんだか面白い。

7.She Said She Said
ジョン作の気だるくてサイケ濃度が高い曲。
このアルバムの中だとTomorrow Never Knowsの2番目くらいにサイケな曲だと感じる。
曲中ずっと鳴らされるウネウネしたギターフレーズがクセになる。
個人的にはこのアルバムの中で一番好きな曲かもしれない。

8.Good Day Sunshine
She Said She Saidの混沌の後で箸休めみたいに始まる穏やかな曲。
タイトルのように暖かくて天気がいい日を連想するし、休日に散歩しながらしながら聴きたい。

9.And Your Bird Can Sing
前期のビートルズ並に爽やかな曲でHelp!あたりに入ってても違和感ない気がする。
またしてもギターがかっこよくて、特にイントロのフレーズとかすごくキャッチーな印象。

10.For No One
このアルバムにおけるボールの曲は、他のメンバーが作った曲が攻めた内容である故により落ち着いて聴こえるので間にきてホッとする印象。
好きな人が多そうな曲だが私自身としてはなんだか印象が薄い曲ではある…好きなことは好きなんだけど…。

11.Doctor Robert
ドラッグでヘロヘロになった患者を元気にしてくれるというとある実在していた医者がモチーフになっているらしい曲。
微妙に崩して歌う感じがボブディランぽさを感じる。あとギターのフレーズが軽快で好き。

12.I Want To Tell You
一枚のアルバムに三曲もジョージの曲が入っているのはなんと贅沢なことか。
他の二つに比べると地味なイメージが否めないが、'91年のジョージ来日公演で一曲目に演奏されたことで有名。
ピアノが不協和音気味のコードを弾いているのがくせになる。

13.Got To Get You Into My Life
今作のポール作の中で唯一のドラッグソングらしいが、曲調も明るいからかそこまでサイケな印象は受けない。
この次の化け物みたいな曲の前のほんの少しの良心とすら思える。

14.Tomorrow Never Knows
今作の実験精神を象徴する曲でもあるし、今作の最近での評価を上げている一因とも言える怪曲。
サウンドコラージュの手法を最大限に活かしたドラムの一定フレーズのループ、早回しでカモメの鳴き声にすら聞こえるギターの音、I'm Only Sleepingでも使われたギターの逆再生など、正に今作のまとめとも言える内容。
特にドラムのループなんかは後のテクノやヒップホップでも使われている手法を何十年も前から先取りしているのだから本当にすごい。
そしてこれだけ荒ぶってるウワモノを支えているのはずっとCのルート音のみを弾くベース。この曲のぶっ飛んでいる部分を挙げていくと本当にキリがない…。

まとめ

改めて、どこまでも尖っていながらも従来の作品のようにキャッチーさもあり、聴きやすいアルバムだなと感じた。

最近では各雑誌などで名盤ランキングをするとサージェントペパーより上位になっていることが多い今作だが、近年の音楽シーンがアルバム売りより配信やシングル売りが強くなっている流れから、初のコンセプトアルバムでありアルバム全体として評価されることが多いサージェントペパーの影響力が弱くなったのも考えられるが、それでも録音やアレンジなどで大きく表現方法を拡張していったリボルバーの評価が上がっていたのは、私としてはとても納得がいくものだと思う。そしてTomorrow Never Knowsの存在がでかいというのは言うまでもない…。この曲に関しては今でも60年代に作られた曲というのが信じられないくらい先進的な作品だと何時でも感じる。


ビートルズが当時のどのバンドよりも先を行っていてかつアバンギャルドだったという証明をした大名盤で、私は今でもこのアルバムがビートルズの中で一番好き。ジョージの曲が多く収録されているのも私的高評価の理由の一つでもある。

しかし、一回目からこんなに長々と書いているとこれからの感想が大変になりそう...。恐らくこれ以降はこんなに文を打つことはできないかもしれない。先行きが不安だがとりあえずやれるとこまでやってみたい。

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