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一カ月間今までに買ったサイケアルバムを振り返る⑰ Beard, Wives, Denim/Pond

今回は2012年の作品から、オーストラリアのサイケバンド、ポンドの4枚目のアルバムとなった「Beard, Wives, Denim」。

ポンドは結成自体は2008年。オーストラリアのサイケというとテームインパラが主に有名だが、それぞれメンバーが両者の前身のバンドのメンバーに在籍した事があるなどほぼ兄弟分のような関係性にある。今作に関してはプロデュースはテームインパラのフロントマンであるケヴィンパーカーによるものであり、その関係性の深さがわかる。

今年も先月に新しいアルバムを発表するなど、かなり精力的に活動しているバンドで私もかなり好きなので、今回を通して改めて良さを認識していきたい。

曲ごとの感想

01.Fantastic Explosion Of Time
アルバムの一曲目らしいキャッチーな曲で、クリーントーンのギターで、ガレージロックのような演奏。つぶやくようなメロディからの、コーラスでの爆発力ある感じが明るくて聴きやすい。

02.When It Explodes
荒削り感が楽しい一曲目から変わって、広がっていくような開放的なイントロが印象的。突き抜けていくようなスライドギターの音がとても気持ちいい。ポップな前半から一転してベースのリフとずっしりしたドラムがメインの間奏に雰囲気が変わる。後半ではまた曲調が前半に戻っていくという変わった展開をする。

03.Elegant Design
これまたガレージ感あるサウンドの曲。変拍子になる間奏もクセがあって良い。

04.Sorry I Was Under The Sky
ここまで序盤らしい明るい曲が続くが、こちらはマイナー調の落ち着いた曲。しっとりとして程よくサイケだ。

05.Sun & Sea & You
ベースのリフから始まる。段々と曲調が変わって明るくなっていく展開が良い。転調も多い曲で、最初がCマイナーから始まったと思えばコーラス、その後とどんどん転調していく。A調の時の疾走感がたまらない。

06.Allergies
小気味良い明るめな曲。今作は全体的にボーカルにリバーブのエフェクトが深くかかっているがこの曲はより深く聞こえ、不明瞭な感じが逆に好き。構成も他の曲に比べるとシンプルに感じた。

07.You Broke My Cool
ファズのかかったギターによるヘビーなイントロかと思うと、歌が入るとクリーンな音でスローテンポになる変わった曲。あっちこっち曲調が変わる忙しないアレンジが妙な味がある。

08.Moth Wings
アルバムの折り返し地点に位置する曲。ヘビーなギターリフがハードサイケのようでとてもかっこいい。ハードな演奏なのにボーカルはファルセットというのも今風な感じ。

09.Leisure Pony
シンプルなコードのリフがかっこいいガレージサウンドな曲。曲調が変わった以降は長い後奏に入り、セッションのような演奏になってゆき、かなり自由なアレンジだ。

10.Mystery
キーボードの音をメインに、リバーブが深くかかったボーカルが乗る浮遊感が気持ち良い曲。しかし、後半から突如ザラザラに歪んだサウンドになり、混沌とした演奏となって終わっていく。今作の中ではシンプルな展開ではあるがダイレクトにサイケを感じられるので地味に好きな曲だ。

11.Dig Brother
落ち着いている曲調。オルガンが60'sのサイケを感じる。曲が終わったと思ったらアップテンポなガレージサイケ調に、まるで別の曲のように曲調が変わって終わる。曲調の変化の唐突が面白い。

12.Eye Pattern Blindness
イントロが長く、1分30秒程になってようやく歌が入る。歌部分は少なく、ほぼインストのような趣の曲であり各楽器の演奏の絡み合いが良い。後半になるにつれて演奏が激しくなり、混沌とした雰囲気で終わる中々サイケな曲だ。

13.Moreno's Blend
ラストらしく、ビビり気味のアコギによるフォークな曲。スライドギターの音の脱力感が良い。前回のテンプルズもラストはアコースティックな曲で締めているのもあって定番感を感じる。

今回聴いて改めて良いと思った曲

10.Mystery

複雑な展開が多い今作の中ではかなりシンプルな曲だが、後半からの音像の変わり方のインパクトは中々ある。前半部もドリーミーな演奏が心地よく、所謂「一粒で2度美味しい」を感じられる曲と思った。

まとめ

演奏は楽器の構成がシンプルで、ガレージ的なガチャガチャした曲が多いものの、全体的に深いリバーブがかかったミックスとなっていてボーカルも曲によって極端なエフェクトが加わっている為蜃気楼のようなモヤモヤした不思議なサウンドになっている。また、曲の合間には録音中の雑音が普通に入っていたりとラフな印象で、制作風景が垣間見えて微笑ましい。前回のテンプルズのアルバム同様、収録曲の雰囲気がとても統一されているように感じた。

そして、楽器の構成は比較的シンプルなのだが曲の構成や展開も短いながら複雑な曲が多く、一回聴いただけでは理解しきれなくて何度も聴けてしまう。音数はそれに対して少なめでスッキリとしているのでそれほど複雑なイメージがないのも面白く、ジャケのセピアな色合いとは正反対なカラフルな内容になっている。まるでガレージリバイバル的なサウンドが更にサイケの方向に傾倒したような雰囲気を感じた。

彼らの後のアルバムはまだ所持しておらず、YouTubeでその後の曲のMVなどで聴いたりしているが、アルバム毎にかなり作風が変わるバンドのようで曲毎にかなりアプローチが変わったりしていてとても面白い。もしかして今作の楽曲の統一感も意図されたものだったのだろうか。更に彼らはアルバムのリリース頻度も高くかなり活動的なので、今後の活動も目が離せない。

記事とは関係ないが、私はこの記事を書いている途中に寝落ちをしてしまい、またしても連続投稿が途切れてしまった。まさかこんな早朝に更新するとは思わなかった。一日一回の習慣って続けるのが本当に難しい…。

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