見出し画像

利己的な人も利他的な人も嫌われるという現実

自分の利益だけを追求して行動する利己的な人が嫌われるのはともかく、利他的でグループ全体のために行動する人も嫌われるという実験結果がある。


職場にとても努力家の管理者がいる。頭の回転が早く、美しく、夫や子供にも、経済的にも恵まれている。著書も数冊あり、沢山の講演を行い、休日も休む暇なく勉強を続けている。彼女は海外を何カ国も視察し、日本のあるべき未来を創造し、実現すべく日々奮闘している。


しかし、彼女は現場でとても嫌われている。


彼女はクライアントの幸福のためだという美しい言葉を振りまき、自分が正しいと判断する事柄に何の迷いもなく、突き進む。それは本当にクライアントの幸福に繋がることもあれば、周囲が疑問を感じることもある。

彼女はクライアントの幸福のために我々はこれをすべきだと様々なアイデアを出す。それは簡単に出来ることもあれば、時間がかかることもあり、とても難しいこともある。

彼女は周囲に、勉強になるから!と毎日の様に論文や文献のコピーを配る。勉強になることもあれば、そうでないこともある。

彼女がクライアントの幸福のためと言う度に、周囲は自分が本来考えていたことや、やりたいことをそっと胸にしまいこみ、彼女の言う通り動くにはどうしたら良いか考えることに時間を費やさなければならない。


彼女はクライアントのため、職場のみんなのためと、睡眠時間を削り、休日も十分休まず、年末に体調を崩し、入院した。

退院してから、私は彼女に無理をしてはいけないと思うと伝えた。彼女は、自分を甘やかしてはいけないの!と今までよりももっと、自分に対しても、周囲に対してもシビアになった。


私が職場で尊敬する大好きな上司は、とてもひっそりとしている。いつもゆっくりとマイペースに一つ一つの仕事を丁寧に心を込めて行っている。

彼女は自分から何かを発信することは滅多にないが、呼ばれるとどんな時も誠実に対応している。

彼女はクライアントやスタッフとの対話をいつも楽しんでいる。解決策が出る時もあれば出ない時もあるが、お互いに正直な気持ちを共有することが大切であるといつも言う。

彼女はいつも微笑みを絶やさずによく笑う。

彼女は利己的でもなければ、利他的でもない。


私は利己的な人と一緒にいると疲れる。そして利他的な人といる時も、とても疲れる。

私は自分の利益を追求するよりも自分の身体と心に耳を傾け、正直に行動したい。

みんなのためと上から目線ではなく、相手の気持ちを聞き、自分の気持ちを伝えながら、一緒に助け合い生きていきたいと思う。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?