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きっと君はもう忘れてる。

桜が大阪城公園に少しだけれど咲いてるのを見た。桜はどうしても元カレを彷彿とさせる。

2023年の3月28日、まだ1年も経っていないからよく覚えているのかな。

元カレと2人で京都の七条へ桜を見に行った。

珍しく前々から決めていた予定で
朝から色んな具のおにぎりを握って
天満橋駅で合流して。

なんだか、今思うとすごく素敵なデートだった。
電車降りて、すぐ乗り物酔いする私たちだからまだごはんはいらんねって笑って、七条の川沿いを2人でゆっくり歩いて。
親父に撮ってきてって言われたーと言って写真をいくつか撮っていた。
こっそり私もいれて撮っていた。
バレバレだった。

花筏が綺麗で、すごくハッピーになるくらいの快晴で、風も心地よかったのを今でも覚えてる。
ずっと使ってたスマホが壊れて変えたせいでその日撮った桜も七条の川も夕焼けも、彼の笑顔も全部ないけど、
今でもはっきり覚えてる。

桜を見ながら京都を散策して、最近のくだらない話をしたり、互いのその日の服装を褒めあったり。

多汗症な上に暑かったその日、手汗がひどくて
手を繋ごうとしてきた彼に、ベタベタしてるよと言ったら
「俺は乾燥肌だからちょうどいいよ」
と言って手を取った。
いつもこう返してくれる人だった。
私の自分のやなとこに対するもやもやを、ゆっくり優しく溶かしてくれるような言葉をくれる人だった。
決して否定せず、そのままでいていいと言ってくれてるみたいで、そんな言葉をくれる度に愛されてるなと思えた。
そんな彼が本当に大好きだった。

2人で川沿いで作ってきたおにぎりを食べて、
あったかくて眠くなってきたねとか話してる時に彼の手からおにぎりがすべって川に落ちた。
きれいにおむすびころりん状態になって、落ちていくおにぎりを必死に掴もうとして届かない彼を見ながら大笑いして。
結局落ちてどっかへいっちゃったおにぎりにせっかく作ってくれたのにと凹む彼とツボって笑い続けてしまう私。
また今度作るからとその時宥めるように言ったけど、その今度が来ることはなかったなぁ。

そんなひとつひとつの出来事を今でも覚えているわけだけど、私だけの思い出じゃないはずだけど、
彼はきっともう忘れてるんだろうな。
あの時彼が言ってくれた言葉もしてくれた事も、
あの時私が言った言葉もした事も、
全部忘れてるんだろうなと思って、少し寂しい気持ちになる。

綺麗さっぱり彼は忘れて、新しい恋にでも進んでるんだろうな。
生存確認すらできなくなってしまって、ある意味目にする時間が減って、考える時間も必然的に少なくなっていくけど、
彼のこと、彼とすごした時間を思い出させるものとあうたびに、引き出しがスっと開くみたいに、彼が蘇る。

覚えていてほしいけど、きっと忘れたいだろうからもう好きにさせるよ。はじめから私には彼のことはどうしようもない。
でも私は大切にしまっておくよ。


今年も桜が咲いた。
今年は私はひとりで見る桜。
今年の桜は、君は誰と見るの

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