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【歌詩】urge

見えざる国境を跨ぐ 見えざるヴェールをくぐる
生理現象 摩訶不思議 鼓動震える化学式

思考のひらめき 血液 巡る淀みない身体は
生理現象 稼働してる 馬鹿げたことばっかをしてる

外付けメモリーばかり酷使する僕らの初期搭載媒体は
喜怒哀楽を吹き込まれずとも
プログラムを書き換えるロボット

  僕は衝動で 君へ 君へ 近づく
  君は焦燥で 近づけば離れてく

アウフヘーベン 東の空に報いの灯
アウフヘーベン テンプレート化した奇跡
アウフヘーベン 月のふもとで実を結び
アウフヘーベン 覆せないステータス

そうさ、ステータス

追いかけて 追いかけられ
笑わないで 目を反らして
目を合わせて ドキドキして
命だけを 鳴らしてくれ

越えられない壁 越えられない壁
駆けこみ突破する そのためのリノリウム

  君は盲導犬 導いてくれないか?
  僕は衝動で 君へ 君へ 近づく

  僕ら衝動で 近づいては離れて
  君は相貌的 離れては近づいて

  僕は衝動で 君へ 君へ 近づく
  君は盲導犬 導いてくれないか?

僕は衝動で 君は盲導犬




結局、生きていく為には「大きなもの」が必要だと思う。「こういう人になりたい」とか「あなたに会いたい」とか。

そうした巨大で漠然としたものを、追いかけ続けることに僕たちは生きる喜びを見出だすのだろう。

僕はその「大きなもの」が、遠くにある山ではなく、向こうにポツンといる動物のようなものに感じる。
自分が歩いた数だけその姿がはっきりと見えるようなものではなく、いつまで歩いても辿りつけないもの。
むしろ、近づこうとする程に、逃げてしまう、離れていくようなもの。

追いかける内に、「こんな馬鹿らしいことはやってられない」と僕たちは言う。
それでも、その「大きなもの」を諦められないのは、「知りたい」という思いを捨てることができないからだろう。

「知りたい」という欲求には、僕らを動かす凄まじい力がある。
どんな障壁があっても、全てを投げ出してでも、知ろうとする。

だからこそ。
衝動に身を委ねるとき、堪らない解放感を得ることができるのだ。
「生きる」ことの本質を理解することができるのだ。

そして、そうやって追いかけ続けた果てに、「大きなもの」に導かれた先に、何があるのか。それが最も知りたいのだ。


『僕は衝動で 君は盲導犬』



ムジナの芝居

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