インタビュー:文藝創作研究会

※過去に当サークルのHPで公開された記事です。
(公開日:2019.9.3 執筆者:松本)

 9月8日に開催される第七回文学フリマ大阪には関西大学から5団体出店されるが、我々音楽映像団体MUVAはその5団体の一つ文藝創作研究会とタイアップし『papilio』の表紙を担当した。

図1「papilio」表紙

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図2「西町侑作品集」表紙

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 その出店に際し、文藝創作研究会の橋本さんにインタビュー取材を敢行。筆者自身も本が好きという事もあり、何か生まれるのではないかと勝手にウキウキしながら取材を行った。文藝創作研究会とは?『papilio』とは?また小説との出会いとは?その素顔に迫って行こうと思う。

1.文藝創作研究会とは?

——まずは今回出される発刊物に関しての告知をお願い致します。

橋本大輝氏(以下橋本氏):

9月8日に大阪天満橋駅の近くOMMビルで開かれます文学フリマ大阪に文藝創作研究会が参加いたします。ラインナップですが、まず『papilio』という雑誌があります。これは今まで1号から4号まで発刊した『Hoi-Hoi』という冊子の中から出来の良かったものを集めたベストセレクションとなります。もう一つは『西町侑作品集』という個人作品集も販売いたします。こちらは第45回明石文芸祭で市長賞を受賞しました当研究会副代表の今までの作品集、この二冊がメインになります。

——ありがとうございます。それでは本題に入りましょう。まずは文藝創作研究会についてお願いします。

橋本氏:

活動としては『Hoi-Hoi』という同人誌の作成が中心で、より良い作品を作れるようになるための創作講座、あとはインプットのための読書会を行っています。あとは地方自治体等が開催している文学賞に応募を行っているので、その対策会をしています。

——他の文学系の部活との違いは何でしょうか。

橋本氏:

文芸部って普通書いたものをそのまままとめて製本して、そこから品評会を行うんですよ。でも文藝創作研究会はプロットの段階で見て直して、また書いて直して、とその品評会を何度も行います。

——それは何故でしょう。

橋本氏:

より良い作品を作り出すためです。本人が書きたい作品というのもあるでしょうが、作り手として発信するならより良いものを外に発信しなければならないと考えているからです。より良いものを作って、外の評価を受けることが作り手としての責任だと思っています。

——なるほど。

橋本氏:

文藝創作研究会の理念のようなものは二つあって、一つは文芸活動を通しての社会活動、もう一つが創作競技の実戦と普及です。先ほども述べましたが、小説はある意味競技なんです。競技なので、優劣が付きます。例えば公募の文学賞のように。優劣がつくので、そのために練習を重ねて上達していこうとしています。時に、文学はセンスや才能の世界だと考えていませんか?

——まあ、そんな気はします。

橋本氏:

僕はそうではないと考えています。スポーツでいうなれば、基礎の練習をして、練習試合などで実戦の経験を積んで、本番の公式戦を迎えるじゃないですか。確かに、上手い下手はあるかもしれませんが、努力で埋められる部分も多いでしょう。

——たしかに。

橋本氏:

小説を書くのも同じです。僕は小説を書くのは競技だと考えています。外に出す以上何かしらの評価は受けるでしょうし、作品ごとの比較を行って優劣がつけられることもあります。もちろん、我々は素人ですので新潮文庫の様な大手の出版社から出された書籍と比べることは出来ません。向こうは会社として売れる本、面白い本を出版しているわけですから。

——なるほど

橋本氏:

ただ、素人でも作品の差が分かる場があります。それが公募の文学賞です。何故ならどこで落ちたかで、自分の作品がどのあたりの評価を受けているかが分かるからです。そのような公募に持っていくためにも対策や訓練を行うことでより良い作品を生み出せるようにしています。

2.小説との出会いとは?

——小説を書き始めたきっかけは何でしょうか?

橋本氏:

最初の一作を書いたのは関大の文芸部に入った時なんですよ。

——結構最近ですね。

橋本氏:

最近というか僕が関大の文芸部に入ったのが2014年の春です。でもその時には文芸部に入って、それをやりたいと思っていたんですよ。

文学の扉というものが自分の中で開いたのはいつだろうと考えると高校二年生の終わり頃です。学校で「受験だから勉強しなさい」っていう受験モードに切り替わっていく中で、どうしても勉強したくなかったんですね。でも、遊んでると怒られますよね。

——まあそうですね。

橋本氏:

だから受験勉強はしたくないけどあながち完全に遊びではない他所事っていうので、古い小説、教科書に載っているような小説を呼んでれば、仮になんか見つかってもこれ国語の勉強ですって言えるんじゃないかって。

——なるほど

橋本氏:

そういう魂胆で、夏目漱石とか芥川龍之介とか、その時は名前とか知らないから太宰治とかそういうビッグネームの文庫本を借りてきて、読み始めたんですね。そうして読み始めたら、最初は誤魔化しのつもりでやってたんですけど、あれ全然普通に面白いじゃん。今読んでも面白いじゃん。ていう気持ちが段々強くなっていって、真似したいと思うわけですよね。こういうのを自分でも作ってみたいってそのうち思うようになっていったんですね。それが多分僕が小説を書く原因ではありますね。

——という事は高校までは読書自体もそんなしなかったんですか。

橋本氏:

全くしなかったです。高2の終わりぐらいまで僕は本には絶対触らないような、人に強いられない限り本を読もうとはしなかったです。

——おお。結構珍しいというか中々ないタイプな気がします。書く人って、元々本に関わり深かったから書いてみたとか昔からかかわっていたからやってみたいというのでずっと青春時代を過ごしていた人ばっかなのかなって僕は勝手に思っていました。

橋本氏:

僕は高2の終わりぐらいだったと思います。塾に通わされ始めてた頃からですね。なんか塾に行くのも行けと言われているから行くけど、でも鞄の中には一冊関係のない本を入れておくというのが僕のささやかな反抗だったわけです。

——ある意味抑圧から解放されたいからだったと

橋本氏:

というより僕は基本的に文学というのは反抗だと思うんです。

——と、いいますと?

橋本氏:

社会に対するというか世間に対するというか反発心の様なものが文学の基本的な原動力なんじゃないかなって。それで一番はまりやすい時期というかかぶれやすい時期というのも反抗心というものを抱いてる思春期青年期の人間じゃないかなって思うんです。だから、ある意味ベタなんじゃないかなって自分では思っています。

——そう言われればそうかもしれないですね。十代中後半ぐらいは多感な時期ですから。そこで何かに目覚めるというのはあり得る話ですね。

橋本氏:

確かに言われるように、一つ僕がイレギュラーなのかもしれないのが小学校中学校ぐらいまでほぼ活字というものは全く興味が無かった。

——そうですね。多分そこはイレギュラーな方だと僕は思います。

橋本氏:

映画とかテレビとか映像で見るのは好きだったんです。でも、自分で本って読まないといけないじゃないですか。その頃僕はビデオだったので。ビデオとか好きなの借りてきて、入れて再生して、こっちは眺めているだけでいい。逆に読むのってしんどくないですか?

——そうですね。僕はどっちかって言うと読む人なのであれかもしれないですけど、読まない人とか読むの苦手な人からすると、本の厚さを持ってずっと読むというのはしんどい、というのは聞きます。

橋本氏:

そうなんです。画面を眺めているのと物語を読んで想像しながら自分でページをめくっていくのでは明らかに労力の差がある。僕はものぐさな少年だったので、本なんかあんな字しか書いてないのを読んで何が面白いのかと思ったんですね。

——そこから高校から目覚めて、ずっと本を読んでいる感じですか。

橋本氏:

でも読むのは、見るのに比べたらしんどいなとは思います。それでも読みたいものは読みますね。僕はものすごい読書家手わけでは無い。立場上研究やってるわけですから、それなりに読みますし、読まざるを得ない。けどプライベートで面白い小説って言うのを探し続けて一日中本を読み漁るかって言うとそんなんではないです。

——なんて言うんでしょうね。変な言い方ですけど、小説に対してビジネスライクな関係なんでしょうか。ある一定度までは絶対近付かないというか、ここからはいかないんでしょうね。この感じだと。小説にのめりこんで読むことは無さそうですか?

橋本氏:

そうですね。

——その立場の人は中々、作り手の立場の人では少ないとは思いますね。何でも読む人乱読家まで行く人は聞きますけど、僕の中ではある方何で。逆に珍しいタイプな感じが僕の中ではしますね。

橋本氏:

どうだろうなあ。でも、今まで読んできた分というのはそれなりにあると思います。そうだな。うちの活動の一つに読書会があるんですよ。その読書会のネタに困ったことは無いです。読書会は基本的に僕が全部作品を選んで、その作品に関する資料を作って半ば講義みたいな形でおこなっていきていたんですよ。だから、その作品についてはかなりある程度知っておかないといけないし、自分の意見も持っていないといけないけど、そういう作品に今までネタ切れになることはほとんど無かったので、ある意味そういうストックはありますよね。

——なるほど。

おわりに

——最後に何かございましたら、お願いします。

橋本氏:

 文学系のサークルは今群雄割拠でして、その中で頭一つ抜きん出ようと色々試行錯誤をしているのが我々の活動です。文フリはそれが分かりやすい形で見える機会なんです。各々の団体が各々の集大成を引っ提げて参加するわけですから。ここで、うちの作品に注目していただきたい。それが自分としての文フリに対しての意気込みです。

 あと、関西大学文芸部の創作パート文藝創作研究会を間違わないようにお願いします。

——お願いします!(カメラ目線)という事で、本日はありがとうございました。

橋本氏:

 ありがとうございました。

リンク集

文藝創作研究会:https://twitter.com/bungeisousaku

第七回文学フリマ大阪:https://bunfree.net/event/osaka07/

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