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音楽がテーマの舞台作品を比較してみた

2019年6月29日公開

まず、この記事は舞台「BACK BEAT」に対して少しだけネガティブな記述が含まれています。
「あの作品は非の打ちどころがない!」という方は読まない方がいいと思います。


何故こんな記事を書いてるのかというと、「BACK BEAT」を観劇した時に自分の中でどこかモヤっとしたものが残ってしまったんです。

でもこのまま「面白くなかったわー!」で終わらせるのも嫌だし、何が自分の中でハマらなかったのか考えてみようと思いました。
それで気付いたんです。

そう。「これってあれのあれと一緒じゃん」っていちいち過ぎってしまうのが集中力を削いでいることに気づいたんです。
だから決めました。

だからやってみます!

「音楽がテーマの舞台作品を比較してみた!」

諸注意

比較する作品は以下の3作品にします。
①musical MEMPHIS(メンフィス) 以下「M」
②musical JERSEY BOYS(ジャージー・ボーイズ) 以下「JB」
③舞台「BACK BEAT」(バック・ビート) 以下「BB」
本当は「オン・ユア・フィート!」も入れたいんですが、1回のみの観劇だったため比較しきれないと思い複数観劇した3作品にしました。

あくまでも素人の個人の感想です。偏見もあります。

観劇したのは日本で上演されたもののみです。「BW版は~」みたいな話はしません。

外枠編(内容以外のこと)

■上演形態
M…ミュージカル
JB…ミュージカル
BB…ストレートプレイ
そう。「音楽がテーマなのにBBはストプレ」なんです。脇を固める俳優陣もミュージカル俳優ばかり。ちょっと混乱しますよね。

■特徴
M…音楽担当がボン・ジョヴィのデヴィッド・ブライアン
JB…作品の節目を四季に見立て、季節ごとに語り部が変わる。グループのキャストがチーム制(赤・白・青)
BB…俳優たちによるバンドの生演奏
3作品ともいろんな特徴あるけど、私の中では上に挙げた点かなと。
全て歌手やバンドの成長物語ですが、メンフィスだけは所謂「事実を基にしたフィクション」です。モデルとなった人物デューイ・フィリップスはいますが。

■衣装
M…柄シャツ
JB…物語上の季節でテーマカラーが変わる
BB…シャツ。というかジョンの柄シャツ
もちろんわざとなんだと思いますけど、ヒューイの衣装はびびりました(笑)柄シャツ・基本ビビットカラー。対称的なまるで葬儀屋のような真っ黒スーツ。テレビに出始めてからはちゃんとかっこいいけど。JBのは季節が変わったことが印象づいてわかりやすかったです。BBの衣装は当時の不良の衣装なんだろうなと思います。柄シャツ(笑)

内容編

■大まかな流れ(あらすじよりちょっと長めに)
M…アメリカ テネシー州メンフィスでの物語。白人男性ヒューイと黒人女性の歌手フェリシアが出会い、白人のラジオ局で初めてフェリシアの歌声を流す。あることをきっかけに2人は別れてしまう。その後フェリシアは全米ツアーに出る。その最中、フェリシアはメンフィスに立ち寄り、ヒューイにコンサートに出てほしいと持ちかける。ヒューイとフェリシアの恋愛が同時進行で描かれる。
JB…アメリカ ニュージャージー州の4人の若者たち。後のFrankie Valli &The Four Seasons。苦労を重ねながら「Sherry」の大ヒット。絶頂期でのトミーの借金問題。それを乗り越えてロックの殿堂へ。いわゆるグループの栄光と挫折、そして復活。
BB…イギリス リバプール出身の若者たち5人のドイツ ハンブルクでの下積み時代を描く。いわゆるearly Beatlesの物語。21歳で亡くなった「5人目のビートルズ」スチュアート・サトクリフが主人公。画家になること、アストリッドとの結婚を選びグループを脱退。他ピート・ベストの脱退やリンゴ・スターの加入を経てThe Beatlesが有名になるまで。

長くなったので段落分ける(笑)
MとJBは、メンバーとの出会い→大ヒット→挫折を描いてます。Mのラストはふわっと終わるので「このあと2人はどうなったんだろうな」という感じ。BBが描くのはビートルズの創成期なので、いわゆる「大英帝国が世界をジャックしていた時代」までは描きません。(このセリフ曖昧なので、CDが発売されてこの部分が収録されていたら直すかも)これが他2作品との違いかなと思います。あとアメリカが舞台じゃない。唯一2カ国が舞台。

一応、公式サイト
JBBB(Mはもうありません…)
公式Twitter
MBB(JBは東宝のアカウントになります。)

■グループ・ペアの性別は
M…異性
JB…全員男性
BB…全員男性
Mはヒューイとフェリシアの恋愛もメインです。JBとBBは男性グループの話なので本当によく似てるんですよね。「男の青春物語」的な。

■ヒロインは
M…フェリシア
JB…メアリー?
BB…アストリッド
JBのメアリーはフランキーの妻ということで載せたけど、ヒロインと位置付けていいのか微妙。アストリッド役の夏子さんはBB唯一の女性キャストでした。

■恋愛要素は
M…強め
JB…弱め(というより家族の話という面が強い)
BB…強め
JBにも恋愛要素はあることにはあるんです。フランキーとメアリー。ただ早々に結婚するのと、あんまり一緒にいるシーンが無いのでベタベタな恋愛ものっていう印象はないです。本当の家族とツアーの時の家族。うん。BBはスチュとアストリッドとの恋愛がグループに影響を及ぼしていく。「ただの女だろ!」。Mは2人の恋愛関係がテレビの生放送でばれてしまい、関係が終わってしまう。他2つには無い人種問題関係ですね。

■音楽の売り込み方
M…ラジオで流してくれ!
JB…巡業→ラジオで流してくれ!
BB…ライブハウスでひたすら演奏
Mのブラックミュージック売り込みソング「俺の名はヒューイ損はさせないさ DJさせてほしいんだー♪」。JBはいろんなところで演奏したりスタジオ回ったり。BBはひたすら演奏してた?アー写とか撮ったりしてたけど、あんまり熱心に売り込んだり、それに対する世間の反応は描いてない印象。効果音的に観客の歓声は入ってたけど。もっと言うと「グループはジョンとポールの物」というセリフがちょいちょい入るけど、ポールがJBでいうボビーのように交渉したりするシーンが少なくて、ポールの物感が薄い。「チョコレートケーキからも音が出せる」というセリフがあるように、上手い人なんだろうなというのはわかるけど。

■第一幕の終わり方
M…『Say a Prayer』と共に暴行を受けたフェリシアが救急搬送される。
JB…『Walk Like A Man(Reprise)』と共にトミーの借金が発覚。
BB…ジョージの年齢詐称がバレ、イギリスへ強制送還。→アストリッドの独り語り
そういえばBBはストプレなのでこういう独白のようなものはちょいちょい入るのですが、JBも同じように語る部分が多いんですよね。4人が順番に狂言回しをしていく感じ?こういうところがすごくストプレ的なミュージカルだなと思いました。あとこの借金発覚のところから二幕での全然反省しない伊礼トミーがすごく好きです。

そういえばBBでアストリッドと会った後のスチュがステージの縁の光の道のようなところを上手から下手へ歩いていくシーンがあるのですが、ここはレ・ミゼラブルの『One Day More』の「彼女と行くか~仲間と行くか~♪」っぽいなと思いました。

■決め台詞は
M…「ハッカドゥー!(HOCKADOO!)」
JB…(特に無し)
BB…「ビーバッパルーラ!(Be-Bop-A-Lula!)」
「ビーバッパルーラ」に関してはこのサイトがわかりやすかったかと。
ちなみにハッカドゥーに意味はありません。「ただなんとなく口から出ちゃっただけ」。この時の「あああ、何か言わなきゃ・・・!」のヒューイの表情が好きです。

■カリスマは
M…ヒューイ
JB…フランキー
BB…ジョン
ヒューイの突拍子もない言動が音楽の人種の壁を越えていく。「良いものは良い。その良いものをみんなに広めたい」。それが大人たちには難しいところがあったけど(襲撃されたり)、子どもたちには『Radio』という曲の中で壁が無くなっていく。他の2人は自身がパフォーマーだけど、ヒューイはパフォーマーでもあり広める人でもある。布教者?(?)
フランキーは天使の歌声。あれは中川晃教さんにしかできない!
ジョンのことを「周りを傷つけずにはいられない」というふうに表すセリフがあるけど、まさにそんな感じ。トゲトゲ、ギザギザ。でもそれがものすごくかっこいいみたいな。まさにカリスマ。

■天才は
M…フェリシア
JB…ボブ・ゴーディオ
BB…ポール
「カリスマ」と「天才」を分けてみました。なんとなく。
Mはフェリシアですかね。歌姫。ディーヴァ。黒人の女であることで埋もれそうだったフェリシアを世に出したヒューイ。これも濱田めぐみ様にしかできないなと思います。まさに魂の音楽。
JBのボブは『short shorts』作ったり、トミーとニックが脱退してからはフランキーと2人で活動したり、次には裏方に回ってプロデュースしたり。その天才ボブがトミーから役割を奪ってしまったのがグループ崩壊の原因の一端かもしれないなと思います。トミーだって好きで借金膨らませたわけじゃないのにね。彼は彼でグループのこと思ってたんです。
BBの天才はポールでしょうね。ちらっとウィキペディア見ましたけどいろんな楽器が弾けるみたい?実際、中の人も今回の為に左利きとして演奏しているって純粋にすごいと思いました。

■ルックス
M…ヒューイは「ハンサム」→「不細工」
JB…特にセリフ無し
BB…スチュアートは「ルックスが良いからメンバーに入れた」「バンドのアイドルになる」
Mのヒューイは自分で「ハンサムだって聞いてるぜ?」的なセリフが第一幕にあるのに第二幕だと「『お前どうして不細工なのにテレビに出てるんだ?』と聞かれた」とあります。この変化ってなんなんだろ?テレビを見ている子どもたちに「不細工な君も面白いことやればテレビに出れるよ!」っていうことなんだろうか。
JBについては何もセリフは無かったけど、全員顔が良いと思う。劇中モテモテだし。
BBではジョージがスチュを見て「・・・負けた」って言うし、本人が「俺がルックスが良いからバンドに入れたんだろ!?」のようなこと言って喧嘩するシーンがあったし、実際中の人はジャニーズだし(もちろんジョージも)、かっこいい人だったんだろうと思います。ちらっと調べたら女性的な色気を持つイケメンさんでした。まさに戸塚さん。

■崩壊の原因は
M…ヒューイが生放送中にフェリシアにキス
JB…トミーの借金
BB…スチュアートが画家の道・アストリッドとの道を選んだ。
The Beatlesはここで解散はしてないのでBBにとっては崩壊というより分岐点ですね。画家の道に進むことをジョンに告げる浜辺のシーンは良かった。
Mは酒の勢いで、かな。先に少し書きましたが、黒人ダンサーをミスター・テレビ局(ニューヨークのテレビ局から来た偉い人)から否定され自身の番組をぶち壊しフェリシアと恋人関係にあることをテレビで映してしまうヒューイ。「もうメンフィスにはいられない」とフェリシアはヒューイにニューヨークに行こうと持ちかけますが・・・。(当時アメリカ南部は北部より人種差別が激しかったそうです)
JBの第二幕早々この借金の話になりますが、本当にこのシーンは見ててつらい。「君がひどい目に遭えばいいと本気でそう思っている」というフランキーのセリフでトミーぶち切れ。殴り合いになりかけて、トミーが離れ、ニックが辞めるという秋パートがしんどいです。そこが好きです。

■メンバーは
M…ヒューイがメンフィスを離れられなかったことによるファレル兄妹と離別した。
JB…クビにしなかった。※ニックは自主的な脱退。
BB…スチュはクビにしなかった。ピートはクビにした。

以前Twitterのフォロワーさんが言っていた気がするのですが、Mの「ヒューイが『地元・故郷を離れられない』というのは地方民にしかわからない感覚」と言ってました。首都圏住みの私にとっては「わざわざ1時間かけて都心に出るの面倒だな。都内で独り暮らししたいな」と思ってしまうのですが。きっとそういうことじゃないんだなと。
「僕は古いタイプの人間だから一緒に世に出るっていうのはまさに鉄の絆」というJBのフランキーのセリフはすごく覚えてる。ニックは自分から脱退を申し出てしまったので止められなかったけど、本当はずっと一緒にやっていきたかったんだよなと。だからメンバーは変わってもfour seasonsという名前は残った。
BBでは「あいつ(スチュ)は下手なんだよ」とクビにしたいポール、「絶対辞めさせない」というピート。ポールだって好き嫌いとかで言ってるわけではなくバンドの為を思った発言だったわけで。スチュとジョンの関係に嫉妬はしてたと思うけど。皮肉なことにピートは「プロデューサーがドラムを気に入らない」という理由でクビになってしまうのですが、それまでの耕平ピートの表情を知っているからクビを宣告されている時の表情と仕草がしんどいんだ。更にしんどいのはその宣告をしているのがバンドメンバーではなくマネージャーのエプスタインだということ。ああああああ。

(このブライアン・エプスタイン、ちょっと顔が堺雅人さんに似てるので興味がある人は検索してみてください)

■ラストは
M…フェリシアの全米ツアーコンサートのメンフィス公演にヒューイが登場。
JB…ロックの殿堂→フランキー「今でも僕は歌ってる」
BB…『twist  and shout』→スチュがジョンを迎えに来る。
M、コンサート中に客席からヒューイが現れるんですけどこの「寄ってみた」「来ちゃった」っていうこの軽い感じがとってもヒューイなんです。白人も黒人もみんな一緒のドレスで『Steal Your Rock'N' Roll』。実はこの時毎回爆泣きしているのでほとんど記憶がありません(笑)
JBは4人が1人ずつ降りて行って途中で若返って、捌けていきメンバーとダンサー(アンサンブル)とフィナーレ。ここもものすごく好き。
BBでは新ドラマーのリンゴ・スターが出てきて(めっっっちゃかわいい)、みんなが知ってるThe Beatlesの形になった。スチュがジョンを迎えに来る(ジョンの死)。この肩突き合ってるのがかわいくて。あの世で2人でバンド組んでてほしいです。

まとめ

ここまで比較しながらだらだら書いてきました。
ここに挙げた3作品の中で最初に観たのはメンフィスなんですけど、やっぱり最初に観たものがその人の何よりの基準になるんだなと思いました。特にレミゼとか最初に観た公演のキャストって印象に残ったり考察する基準になりませんか?だから私メンフィス大好きなんですよ。

私は音楽の経験って小さい頃やってたピアノ教室と学生時代の吹奏楽部位なんでよくわからないのですが、こういうグループとかバンドってやっぱりメンバーが変わっていくのってしょうがないのかなって思います。より成長するために。より大きくなるために。それが正解なのかって時間が経ってからだったり後の世の人にならないとわからないんですよね。難しい。
だからこういうところがどうしても音楽をテーマにすると似てきちゃうんだなと思いました。良くも悪くも。

でも、どれも音楽の力は偉大なんだということを教えてくれたと思います。考えが変わったり、世間を変えたり。私はミュージカルに出会って人生変わったし。

なんかあんまりまとまらなかったけど、一素人の感想なので許して下さい。
音楽もミュージカルもストプレも好きなので幅広く、食わず嫌いせずに観ていこうと思います!

おわり!

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