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夫が「育休取りたいけどどうしていいか分からない」と言った時にしたこと

こんにちは。今を戦う妊婦です。ようやく36週目、いわゆる臨月に入りました。今回初めてのお産で、且つこのような状況なので里帰り出産は行わず、都内で分娩、そのまま夫婦二人で育児をすることに決めました。

その時、夫が「育休取りたい、でもどうしていいかわかんない」と相談してくれました。確かに女性の場合、出産があるので否が応でも産休をとるついでに育休がほぼほぼくっついてくることが殆どで、どうしていいか分からない、という事態にはなりにくい。時期が来たら会社がオリエンテーションしてくれるということもありますし。

一方で男性の育休は増えてきているとはいえ、まだ「努力目標な感じ」は否めません。
これは男性の意識が低いとかそういう話ではなく、男性の育児休業取得率は12.65%に対し、「共同参画」2018年6月号を見ると、3歳未満の子どもを持つ20~40歳代の男性正社員のうち、育児休業を利用したかったが利用できなかった人の割合は3割というデータがあり、育休を希望しているけど育休が取れない、という男性がいるのが実情のようです。

理由はさまざまで、「育休を取りにくい会社の雰囲気」「忙しくて抜けられない」と言った意見が多く、夫の分からないポイントを聞くとご多分に洩れずそういった側面がありました。

「育休取りたいんだけどどうしていいか分からない」と悩む人が多いなか、「どうしていいか分からない」部分を少しでも解きほぐしていけたらと思い、いろいろ調べたログを残そうと思いました。

我々の環境

前提というか我々夫婦の環境についてです。
・自分:会社員(ディレクター)。都内のIT系の会社に勤務。フルタイムだったが7/16に産休に入る。生活力がなく、生きることに必死。今回が初めての出産・育児。

・夫:会社員(エンジニア)。都内のIT系の会社に勤務。フルリモートでフルタイム。会社では周りに育休を取ってる男性がいない。デスマーチ状態で基本土日どちらか働いている。散髪に行けず髪がすごいことになっている。生活力はあり、家事全般こなせる。

育休とは

今更ですが育休について。育休は正しくは「育児休業制度」と言い、以下のように定められています。

子が1歳(一定の場合は、最長で2歳)に達するまで(父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間<パパ・ママ育休プラス>)、申出により育児休業の取得が可能

そう、育休は育児休暇ではなく育児休業です。本人の希望で取得できる業務の免除である休暇とは違い、本人の労働意欲、希望に如何なく業務を中断することが休業なので、「育休取れて羨ましいわ〜俺なんかプロジェクトが大変で取れる気配ないよ!まあのんびり過ごしなよ!」とか言ってくる輩がいた場合、グーパンで殴ることをお勧めします(暴力にすぐ訴える)。休暇じゃねえんだよ!
新生児を家に迎え入れるということは休業しないと成り立たないことであり、単純なお休みではないという認識を家族、会社、周囲の人にも理解いただいたほうがベターです。

「育休取りたいけどどうしていいか分からない」の何が分からないのか

上記の夫の相談について、そもそも何が分からないのかもうちょっと掘り下げて聞いてみました。すると分からなかったことポイントとしては以下の通りでした。

1. そもそも会社で育休の制度あるのかな。育休してる人会社で見たことないんだよ。(会社の育休制度の認知不足)

2. こんなにプロジェクトが炎上していて、俺が抜けて大丈夫なのかな…(仕事を抜けることの不安感)

3. 育休取ったとして、その後の新生児のお世話生活のイメージがつかない(そもそも育休取って俺は何するべき?)

育休は会社の制度ではない

1点目、会社で周りに育休をしている人がおらず、全然前例がないようで会社にそんな制度があるのか心配しているとのことでした。
ただ調べると、育休って別に会社の制度じゃないんですね。労働者の権利です。なので制度があろうとなかろうと関係ありませんでした。
ただし、会社との条件によっては取得できない場合もあるので、とりあえず会社の人事に育休取得する前提で相談をしてみてほしい、という形でお願いしました。
厚生労働省の「育児休業等についてのよくある質問」でも以下の通り記載があります。

Q. 会社に育児休業に関する制度はないのですが、取得することは可能ですか?
A. 育児休業は法律に基づき労働者が請求できる権利です。会社に規定がない場合でも、申出により育児休業を取得することができます。なお、事業主とその事業所の過半数の労働者を代表する者との書面による労使協定がある場合には、次の労働者は対象から除外されます。
(1) その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
(2)育児休業の申出の日から1年以内 (1歳から1歳6か月まで及び1歳6か月から2歳までの育児休業をする場合には6か月以内)に雇用関係が終了することが明らかな労働者
(3) 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

確認してもらったところ、夫は諸条件を満たしており、育休自体は可能なこと、希望者には育休関連の資料を配布しているとのことで、ここの疑問は割とすんなりクリアーしました。

育休制度あるのかな…?っと持った時はストレートに人事に相談してみるのが手っ取り早いみたいです。特に雰囲気的に上司に相談しにくい人はまずは人事にお話しするのがオススメかも。

「俺が業務から抜けて大丈夫かな…」

2点目の懸念。現状デスマーチ真っ只中で、平日休日関係なくデスクに齧り付いているのを在宅ワークで常に見ている私としてもこれはさすがに二つ返事で「大丈夫でしょ」とはいえませんでした。
さらに育休を取得する方がマイノリティな会社、このタイミングでは心象が悪くなることは想像にかたくありません。
複雑な思いで悶々していましたが、取り急ぎ人事にはもう育休取得を伝えたので、上司に相談するしかないよね、ということで結果1on1で話し合いに。

その後説明を受けたのですが、「業務委託先の面倒を自分以外誰も見ていない」「上司含むプロパーがプロジェクトを全然把握していない」「プロジェクトリーダーが分からないまま進めており、進捗を隠蔽する体制が常習化している」などまあこの状態なら当然破綻するでしょということが明らかになり、「別にあんたが気を病むことじゃなくてこれはそもそもの進め方が間違っているんやで!!」と割り切ってもらうよう本人を説得しました。

そもそも誰かがいないと回らないというのは会社として全く健全な状態ではなく、引き継ぎ先もろくに確保できないのはあなた(いち社員)の責任ではなく上長(人事)の責任だから、ということを話しました。
結論として「抜けて大丈夫ではないけどそれが理由で育休を取得できないのは労働者の権利を放棄しているし、大丈夫じゃない責任は個人に帰されるわけではない」という形で納得してもらいました(ここに関しては会社間でも夫婦間でもいろいろ攻防があり、メンタルが疲弊した)
っていうか炎上しているプロジェクトって人を一人追加しようが抜けさせようが関係ないよね!って経験則があるんだよね!トム・デマルコも言ってた気がするんよ!

新生児のお世話生活のイメージが持てない

育休は取りたい、でも具体的な新生児のいる生活をイメージできない。本当に俺は育休を取るべきなんだろうか。というのが第3のお悩みポイントでした。

ぶっちゃけ私も初めてだしイメージついてないのはお互い様なのですが、育児書や育休を取得している人のブログを参考にして、新生児との生活イメージを持ってもらいました。

結果、これは夫婦双方ともに現状としてはとてもいい方向に動きました。子育てブログやっている先人の知恵に学ぶところは大きく、また出産後の生活イメージ(ここは誰それが担当できる/この時期は休みたいなど)のすり合わせを行うことができました。実際にその通りにワークするかは生まれてからわかることですが、少なくとも「なんで私(俺)ばっかり頑張ってんだ!!」という不満をつぶすための生活サイクルのイメージを共有しておくことで、文脈が双方わかるので後で不具合があったときにフィードバックがしやすいのもメリットだなと思います。

そんな感じでわからんポイントをひとつひとつ潰していき、結果的に3ヶ月の育休を取得してもらいました。本当にマジでありがとう…!!

もちろん、育休をとりたいけど取れない人の事情もさまざまですし、そもそも奥さんが「育児+夫の面倒もみないといけないとか最悪だから取ってほしくない」という方もいるかもしれません。
ただ基本的な生活力があって、かつ育休を望むお父さん方に少しでも参考になれば幸いです。

自戒を込めていますがまずは生活力を身につけるところからなんだよね…。

参考にした資料やブログ

これらのわからんポイントを解決するにあたり、参考にしたブログや本は以下の通りです。

はちゃめちゃ参考になった。別に男性じゃなくても育休取る人は読んでて損はないと思います。どうして夫婦での育休が必要か、会社での話の通し方、手続き、お金・税金のことが書いてあります。特に会社で取りづらい雰囲気の人にオススメ。

所得に関しては、ふんわり「二人とも育休だと収入減っちゃうな〜」くらいに思っていましたが、これを読むことで具体的に入ってくるお金はどのくらいになるのか、どういう手続きでお金が入ってくるのか、生活防衛資金としての貯金はどのくらいあればいいのか、というのがわかって良かったです。

産後の生活リズムがとても参考になりました。あとどういう道具使ってんの?とかどうやって夫婦間の赤ちゃんの申し送りしてるの?とかイメージがつきやすかったです。

育休に限らず育児支援を活用しつつキャリアを継続していけるんだよ!という点で夫とともに読んだ。こういうのを個人ブログじゃなくてもHRブログとかで発信していくのって会社の姿勢として大切なんだろうなというお気持ちで見ていました。

この記事で恥ずかしながら産後ケアセンターの存在を初めて知りました。いざとなったら適宜活用させていただきたいお気持ち。
キャリアの不安だったり職場を離れているときの「社会から取り残される」という不安は当然夫のみならず妻側にも発生するもので、育児をしながら将来どうしたいかやスキルなどを考えつつ、落とし所を探っていくのがいいんだろうなという姿勢を学びました。

引き継ぎの段取りとかどんな資料を参考にすればいいのかなどを参考にしました。最初に紹介した書籍もこちらのブログを参考にさせていただいたもの。

まとめ

里帰りもできず、初めての出産、育児でワンオペだと確実にメンタルぶっ壊れるだろと思っていた当時。夫の「育休取りたいけどどうしていいか分からない」という相談だけでもだいぶ心が軽くなりました。
育休取得を希望しつつも、実際にはそれを諦めてしまっている人へ。せっかくの権利なのでそれを主張することは全くおかしいことでなく、自分だけでなく家族を守ることになると思って胸を張って取得してほしいなと願うばかりです。

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