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【2023年邦楽ベスト10】Spotifyの再生回数ランキングがあまりにもヒーリングだったので、好きな順にご紹介

はじめに

Spotifyでは、12月に入ると、その年最も聴いた曲を自動集計してランキング形式で教えてくれます。
そして私の2023年再生回数ベスト5がこちらです。

2023年私の再生回数ベスト5

はい電球5個。誰のアルバムかというと、集中力を継続させる音楽といいます。アーティスト名は不明です。そもそも存在するかわかりません。
ありし日のAKB48のように1位から5位までを総ナメした結果となりました。
こちらのアルバムは、いわゆるヒーリング・ミュージックです。

今年、集中力を継続させるためのアルバムを聴きまくった理由があります。
それは宗教に卒倒したからですというのは嘘です。とある国家資格の合格を目指していたためです。

今年のはじめから半年間くらいはずっと試験勉強をしていました。
その際に頻繁利用していた最寄駅のファミレスで、賑やかなお客さんたちの会話とともにこちらの音楽を流して混ぜ合わせることによって、私にとってはとても落ち着き、集中力を継続させるBGMとなっていました。
再生回数は嘘じゃないので、これが正真正銘今年の私のベスト5です。

ですが、これらは情緒を安定させるために聴いた音楽というより
勉強のモードに入っていない状態でこれを聴いていただけるとわかるのですが、いわゆる岩盤浴で流れているようなヒーリングです。ぼんやりとした小さな行灯照明のみの薄暗い空間で仰向けに寝、背中からじんわり温まりながら滝汗を噴出させる時に邪魔しない音。無の境地へ最速で誘(いざな)ってくれる音。行ったことはないどころか耳にしたこともない地名だけれど、なんとなく脳内に刷り込まれた田園風景に脳内散歩していたら自然と眠りにつくような音です。

とても心地良いので、試験が無事合格となり勉強期間が終了しアホみたいな顔をしている現在でも、情緒が揺らいでいるなと察した夜には、たまにこれらの曲を聴きながらベッドに横たわっています。脳内が整理されるような感覚になり効き目がありそうなのでおすすめです。
夜これらを再生しヘッドフォンを装着したまま自然と眠り朝を迎えている事も多く、ループし続け、再生回数は私の情緒メーターと化し上昇し続けている状態です。

正真正銘の邦楽ベスト。

脱線しましたが本題に戻します。
今年聴いた曲の中で、とりわけ好きだった曲をランキング形式で紹介します。
共感(あるいは異論)いただける方のネタに、また初めて知って聴いてくださる方のきっかけになると幸いです。

【第10位】
Rabbit's / 賽

Suchmosの鍵盤奏者であるTAIHEI率いるバンド“賽 (SAI)”が、11月22日にアルバム『YELLOW』をリリースする。本作は、先行シングルとしてリリースされている「ILa」に加えて、一曲目の「始(ハジマリ)」から最後の「NAKE」まで、アルバム全体を通して表情豊かに展開されていくストーリーを楽しむことができるという。

Billboard JAPAN

第10位は賽(SAI)です。Suchmos感はいい意味でゼロ。Jazzyですがサッチモ感もこれといってない日本のアーバン・ジャズ。かっこいいバンド名は“ジャズ衝動とクラシックの構成美が混在する多面的なサウンドを持ち予想不能なサイコロの出目のように次々と展開していく”というのが由来だそう。私にはその意味はわからないけどこの後に紹介する選曲した曲々にも共通していえることとして今年は2000年代前半によく流れていたJazztronikCALMm-floMONDO GROSSOのような和物アーバン・ソウル、クラブ・ジャズともいうべき20年前の大発明のジャンルが20年周期でアップデートしてやってきたような曲が特に目立っていた印象。

【第9位】
観光 / クレイジーケンバンド

「観光」は横山剣がカンボジア旅行をした際に浮かんだメロディーやサウンドをベースに制作された、異国感溢れる、まさにアジアを代表するCKBならではの楽曲。

BARKS

本牧の中華おじさんが土臭い東南アジアへ旅行して持ってきてくれたお土産。中華屋さんで食べる中華出汁がこれでもかと入ったカレーのような味わい深さ。即席レベルと思いきや実はここでしか出せない貴重な味。

【第8位】
Shadow Dance (Prod.MONDO GROSSO) / 満島ひかり

満島ひかりのポエトリーなリリック、ループを止めない、静かなるトランスと、満島ひかりの声とMONDO GROSSOのサウンドスケープが再び混ざり合います。

CDJournal

愛のむきだし」で魅了された14年後、またまたやられてしまった。わだば歌手になるといって小沢健二についていった不安な頃を経てMONDO GROSSOの大沢伸一とのタッグ。御大に才能が見つかったのか、それとも渋谷の女が昼から夜に移ったのかはわからない。結果大正解。数年前Rinbjöなる素敵なアーティストがいた。まるで売れなかったがこの第8位を聴いて菊地成孔恒例のやや時代が早過ぎたリリースだったと確信。

【第7位】
YAZAWA / 森

どんぐりずの森が初のソロ作品「YAZAWA」をリリースした。(中略)森がかねてより信頼を寄せている大沢伸一が森のアイデアを元にトラック制作を行い、ミックス、マスタリングを施している。

EYESCREAM

またまた登場MONDO GROSSO。こちらは令和5年版m−floと捉えた。クレジットに「森、Shinichi Osawa」 とあり一瞬目を疑ったが曲名はYAZAWA。やっちゃえ、日産からの着想って適当にも程があるがその適当さがコロナ明け本気の平和を想起させる。

【第6位】
PUPPET SHOW / XG

「自分の思う通りにリードする」という心意気を“PUPPET SHOW”になぞらえて表現した歌詞と特徴的なメロディが印象的な、ウィットに富んだ作品に仕上がっているという。

Billboard JAPAN

邦楽と呼んで良いものか。日本人なら邦楽になるのか。永遠の疑問になりそうだけど中学時代にみたCDTVかなにかでマライア・キャリーが第1位になっていたのをリアルで見た世代からするとこれは邦楽でランクイン。歌って踊れて英語日本語ペラペラ女性グループに疎い私でも別格だということはわかった。とにかくかっこよくて気持ちいい。ちなみにXGは7人組HIPHOP / R&Bガールズグループ。7オクターブの音域を持つといわれるマライア・キャリーは寝室に15台の加湿器を焚いて寝ているらしい。

【第5位】
Sweet Escape feat. ひかり / Tokimeki Records

ドライブにもぴったりの夏らしく軽快なメロディーが印象的で、夏を盛り上げていくダンスポップナンバー。 Tokimeki Recordsによるアレンジが、洗練された現代のシティポップを感じさせてくれる。80s,90sのカヴァー曲で脚光を浴びてきたTokimeki Recordsの新たな展開に、期待が高まる。

OTOTOY

20年周期でやってきたダンス・ポップ名曲オブ・ザ・イヤー。どこかで聴いたことがあるようなメロディや声やジャケは何ら新鮮さはないが老若男女が安心して踊れるこれぞ昭和でいうところの音頭。

【第4位】
なめんなよ1989 feat. hy4_4yh / RHYMESTER

宇多丸チルドレンの2MCガールズラップユニットhy4_4yh(ハイパーヨーヨ)をフィーチャリング。楽曲のテーマになっている1989年は昭和と平成の狭間の年で、RHYMESTERが生まれた年であり、hy4_4yhの2人が生まれた年でもある。世代によって全く異なる意味を持つ1989年。hy4_4yhは〈ファッキューメーン!〉と歌い、RHYMESTERは〈サンキューメーン!〉と歌う。今も昔も〈クソみてぇな世界〉であることには変わりはないが、ヒップホップのバイブスで、世代を超えて通じ合ったフューチャリングは、実に熱く刺激的だ。

Real Sound

コロナ禍から抜けてなんとなく世間が通常を取り戻したかと思えば「増税増税でぜーぜー喘息かよ畜生(©田我流「映画「サウダーヂ」」より)」な状況で平均収入は上がっているトリックで火の車な今年。ラッパーが一番世間に投げかけるべきワードは「なめんなよ」に違いない。1989年は大学2年生の宇多丸と新入生のMummy-Dが出会いグループを結成したRHYMESTER元年。彼らが自身の青春時代を振り返る曲はいくつかあるが例えば「渋谷漂流記」のような東京の街とともに生きてきた土着のソウルを東京・渋谷に宿しているものが多い。それがスチャダラパーをはじめとする地方出身者やそのへんのヤンキー上がりとは違う東京で生まれ育った高偏差値青年たちからみたシーンを個性として操っていた。今作もやや学歴マウント感は否めないがずっとずっと昔の話を引き出しから出しておきながら「なめんなよ」と整理するスタイルは感動すら憶える。感動といえば私自身東京へ出て来て数年後に30を過ぎた頃タマフルを通じてカルチャー界隈を育てていただいた私にとって「天国のPちゃんに捧げたい」の一節は涙なしでは聴けない。三宿Web申し訳ないと」の重い扉を開けたことがある人なら共感してもらえるはず。PVについても触れておくと初期stussyのような「Do the right thing」みがあるのはかわいいが川勝正幸信藤三雄ならどう料理したのかなあなどと思い耽った。

【第3位】
ball pool / TANA & Calli Stephus

福岡を拠点に活動するダンスミュージック・エレクトロニックプロデューサーのTANAがCalli Stephusとのコラボニューシングル(中略)。ノスタルジックかつ、2023年に”今”まさに聴きたい空気感の爽快なレイヴチューンとなっている。

mora

チャラそうでチャラくない少しチャラいラップ。絶妙な塩梅が白米をおかわりし続けるかのごとく無限ループし続けた一曲。ナイトプールではなくボールプールなのがいいところ。ただボールプールで遊ぶ世代がハマる曲とも違うが。関西で駐車場のことをモータープールというが、週末の何気ないドライブで場所や時間や天気を選ばず何も考えずに聴ける曲として「ball pool」が頭一つ抜き出ていた。いつかこの曲が軽くなったらランク外と思っていたがずっと擦り続けられる気持ちよさだった。

【第2位】
Family Sale feat. 親父 / PUNPEE

妻である秋元才加との間に第1子が生まれたPUNPEE。(中略)アーティストとして、そして親父としての生活をスタートした彼が心境を素朴に表現した楽曲で、「ワシが食べた飯はPUNPEEになり 食べた飯が5lackになる」「どらむすこ 通帳は8桁 俺に家とか買えよな 親に感謝しろ」といった実父のラインも話題を集めている。

音楽ナタリー

実父を客演するアイデア。子供が生まれたとたん子供目線になったり親へのリスペクトを込めて「親にはマジ感謝」なそのへんのラップじゃなく照れをも肴に「俺はあんたの追体験」「類似品」と並べるLyricが滑稽。ラッパーとしてはかっこいいのか疑問だけど簡単には真似できないオリジネーターとしてセンス抜群。5lackからのアンサーを待ちたい。

【第1位】
不滅の国 / betcover!!

本作は昨年12月にリリースされた4thアルバム「卵」の前日譚として制作されたアルバム。「バーチャルセックス」をはじめとする全8曲が収録される。

ナタリー

「やってんな」感が出てしまいがちなこのジャンル界隈。ストイックに音楽に向き合ってバンド組んで即解散して自分の才能をフルコミットしたソロとなって永遠に歌います(=やってんな)な苦手部類とは違う輝きを放っている。一言でいうなら狙ってやっている天才肌を感じるbetcover!!こと柳瀬二郎。1999年生まれの氏はストイックな青春讃歌に見せかけた令和版尾崎放哉。昭和から変わらない道具を用いて平成にはなかった詞や曲に出会えた令和5年の新曲に大感謝。偏った思想から起こる事件の瞬間は皆が注目して反旗のシュプレヒコールを掲げるのにそれが終わったらまるで何事もなかったかのように平然とした顔で食事して排泄する日常。繰り返しては記憶を消していく日常。今流した涙も焦がした自律神経もおいしいカレーのにおいが鼻をくすぐったら忘れてしまう。その人間の性に怒りを込めて歌う昭和平成のシンガー・ソングライターの背中を見て育った令和の怪物。人間の性なんだからしょうがない。誰も悪くない。だから過剰に涙を拭けだの逆に泣いてもいいよだの言ってる人のほうが薄っぺらい。とでも言いたげな「失くしたもの 手にしたものが全て 今ここに不滅の国で 長引く咳を堪え 面倒な手続きを終えて おしゃれした君は友人と 久しぶりの食事に行く」のであった。

余談

2023年は日本から巨大なヒットが生まれた年ではなく、YOASOBIのIDOLがBillboardで1位になって快挙だといわれても現実味がない。ネタがなかったから取り上げただけに過ぎない。それは「70年に1度の皆既月食です」とニュースで報じた翌週に「この現象に関しては10年に1度の皆既月食です」とまた同じような報道をしているような「ものは言いようの商法」としか思えない。ライブはというと4年ぶりに声出しOKになってコロナ禍前の雰囲気に戻ったというが、戻っていないのは質と賃料。たとえば日本武道館はレンタル料が下がったのか価値が下がっている。イベントはインフレが興じて大したメンツをブッキングしたわけでもない大型フェスが客単を上げたがる。コロナ禍前と比べて1万円を上げたフェスは集客が減った。このままいったら音楽を聴いたりライブに行ったりするのが中年以上の趣味に留まってもおかしくない。今年の音楽界隈は「コロナ明け以来」の謳い文句で乗り切った感がある。旧ジャニーズ性加害問題やジャニーズから分裂・独立したお家騒動が目を引くネガティブな話題が過剰に取り上げられがちだったのは、内容はマジで処刑ものだが、特にこれといって音楽に関するトピックがなかったからだろう。しかし素敵な音楽はたくさんあった。世の中が暗かろうと明るかろうとフェスがショボかろうと、今年も音楽は前年を超える素敵な曲が山ほどあった。聴いているだけで楽しい日々になる。来年はコロナ禍前と比較されない新しい時代が到来してくれることを願うばかり。猛者たちがランキング自体「無粋だ」と異論を唱えていたけど、完全自己満足でやってよかったと思っています。良いお年を。

次点7曲(順不同)

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