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高齢者の買い物問題。欲しいものを自分で買う。

私の父が車の免許を返納してから8か月が経った。
実家は50年前、郊外の新興住宅地に建てられ、その後、東にも北にも分譲地が広がり、ずいぶん様変わりした。
JRの最寄り駅までは車で10分ほどで、過疎地というわけでもないのに、路線バスが10年近く前に廃止になったということは、それだけ車を持っている人が増えて、利用者が減ったということだろう。
NPOが立ち上げたエリアの循環バスが走っているが、あまり利用者は見かけない。とにかく車がないと始まらない。

神戸で生まれ育った母は、父が定年退職したころから、駅に近いもっと便利な場所に引っ越したいと言っていたが、父は全くその気がなかった。
スーパー、病院、銀行、郵便局、あらゆるものが遠い。父は今頃「このあたりのマンションとか、いいなあ。」というが、もう遅い。

というわけで、私は週1回、父を車に乗せて買い出しにつれていく。

父母それぞれ定期的に病院で診てもらっているので、週に2回行くこともある。薄情な私が毎週実家に行くようになったのはもちろん、8か月前からだ。

一緒に買い出しに行き始めて、「ああ、これが高齢者の買い物なんだ。」と思うことが度々ある。
姿勢が良い父は、87歳だが10歳は若く見える。
でも、衰えっぷりはやはり87歳。
財布を入れたバッグを玄関に忘れてくる。
卵1パック持つ手に思わず手を添えたくなる。
いつものスーパーでないと自分がどこにいるのかわからなくなってきた。
週一でまとめ買いだからカゴが重くなり過ぎて持ち上げられない。
レジでお金を払う時、後ろに人が並んでいても急がない。・・・

この8か月の間にも父の認知機能や体力が衰えているのがわかる。
初めの頃は私も自分の買い物をしながらスーパーの中をウロウロしていたけど、今は、さりげなく近くにいて父を見るようにしているし、レジが混んでいる時は私が代わりに支払う。
趣味の囲碁の会に行くことを母に止められ、「食べることしか楽しみ、ないねん。」という父に、手間がかかるからといって、買い物に行くなとは言えない。

食材やお弁当の宅配、通販などを利用すればかなり楽になると思うけど、特に母が嫌がる。宅配や通販の注文の仕方もわからないから、利用するとなれば私が聞いて注文しないといけないし、多分私が受け取って持っていくことになるだろう。

父がスーパーに行って欲しい物を探したり、買ったりするのは頭の体操にもなるだろうし、健康のため、気分転換も兼ねて、連れていく。

母は母でお嬢様だから全く買い物には行く気ないし、父が買ってきた物に「これは固すぎる。」と文句を言う。確かに黙っていたら、父は自分が食べたいものをメインに買っている。母の文句が多いので、もう何を買ったらいいかわからなくなっているらしい。

酒飲みだから鍋奉行だし、焼肉焼いたりも好きな父だが、ついこの間まで家のことを何もしてこなかったのだから、わからないことだらけでも仕方ない。それでも今は父が食器を洗ったり、流し台磨いたり、掃除機かけたりで頑張っている。私も、あまり手を出し過ぎると父の体が逆に衰えそうで、つかず離れずでサポートしている。(それにしても、母よ、もっと感謝しろ)

とりあえずは、たぶんこの状態が数か月。
次のステージはどうなるのか(^^;   今から考えるのはやめておこう。
とりあえず、明日、買い物。



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