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旅に出られない今だから『日本遺産』を巡る旅

長く仕事をしていると嬉しいご縁があるもので、50代に入った頃から、時々雑誌の取材記事を書いている。インターネットの時代ならではだと思うのだが、出版社が東京にあってもリモートで打ち合わせができ、原稿修正のやり取りなどがメールでできる。さらに、取材対象が地方であれば、そこに近いライターに頼んだ方が交通費などの経費も削減できる。そんなやり方が増えているようだ。

私はもともと商業コピーを書くコピーライターなので雑誌の記事の書き方とは異なるのだが、地方都市で仕事を選んでいてはやっていけないから何でもやって来たのが幸いして、雑誌やネットの業界向けプラットフォームでも、おもしろい仕事をさせてもらっている。

50代に入って最初に書いた雑誌の仕事は、地元の編集プロダクションが私に外注してきた形だった。いくつか記事を書いたころ、プロダクションの担当が退社したため、私にしては珍しく、取材で一度会ったことのあるその雑誌の編集長に「プロダクションの担当者は辞めたが、私はフリーで仕事を続けているので、声をかけてほしい。」といった内容のメールを送っていた。

それを編集長が覚えていてくれたのか、「西日本の取材なら彼女に頼んでみたら。」とほかの編集者に紹介してくれて、新しい執筆の仕事に恵まれた。中でも『日本遺産』の仕事では、担当の編集者にとてもお世話になって仕事のノウハウを教えてもらい、私の財産になっている。

日本人こそ知ってほしい日本遺産*********

世界遺産ではありませんよ。日本遺産。雑誌の連載やムック本で目にしたことのある人もいると思いますが、広報が今ひとつなのか、認知度はまだまだのようです。コロナが収束し、自由に旅ができる時のために、取材で出会った感動を思い出しながら、『日本遺産』情報をご紹介します。

日本遺産とは
■2015年(平成27年)から始まった文化庁の取り組み。今まで単体で紹介されてきた日本各地の魅力的な文化や伝統、文化財をストーリーで関連付けて紹介します。国内の自治体が申請し、文化庁が認定します。 
■単一の市町村の中でストーリーが完結する地域型と、複数の市町村にまたがってストーリーが展開するシリアル型があります。
■2020年のオリンピックの開催で訪日外国人旅行者が増加し、日本全国を周遊することを見越して、有形文化財や伝統芸能、祭りなどを見直し、旅行者にアピールし、自治体には地域活性化のきっかけにしてもらう計画でした。
■当初の予定通り、認定開始から2020年(令和2年)までで104件が認定されています。

外国人旅行者の訪日に力を入れていたころによく耳にした「インバウンド」という言葉も、コロナの感染拡大、オリンピックの変更などで、吹き飛んでしまいました。日本遺産に関わる活動も当初の予定通りには進まなくなったわけですが、『日本再発見』の意味では、外国人旅行者より日本人がまず知ったほうがよいと思います。

また、申請した自治体は認定をきっかけにその文化財や伝統をアピールしていく計画を立てるのですが、ただ安っぽく観光地化するのだけは避けてほしい。生きていくにはビジネスも大切だとは思うけど、何でもかんでもお金に結びつけるのだけはやめてほしい。

取材で出会った美しい風景や文化遺産を振り返りながら、日本人に備わっていると信じたい奥ゆかしさや落ち着きをもう一度取り戻さなければならないと感じています。

*文化庁の『日本遺産ポータルサイト』⇩では、日本地図から日本遺産が検索できます。

まだまだ知らない日本がいっぱいです。



次の3つの日本遺産については取材のまとめとして、また別記事に書きます。

【兵庫県】
播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道
~資源大国日本の記憶をたどる73kmの轍~

https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story045/index.html
姫路港から兵庫県北部の生野、明延鉱山へと続いていた鉱石運搬用の馬車専用道、通称「銀の馬車道」。鉱山開発を軸に近代化を目指す日本を牽引した地域。世界遺産の銀山にも行ったことがありますが、生野、明延の圧勝。

少し詳しくご紹介👇



【徳島県】
藍のふるさと 阿波
〜日本中を染め上げた至高の青を訪ねて〜

https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story081/index.html
藍染めの青は「ジャパンブルー」と呼ばれ、海外でも人気。日本各地や海外で古くから続く染色法ですが、植物の藍を栽培・加工し、蒅(すくも)と呼ばれる染料を作っているのは徳島県と北海道の一部などに限られています。



【奈良県】
森に育まれ,森を育んだ人々の暮らしとこころ
~美林連なる造林発祥の地“吉野”~
 
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story031/
奈良県の大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)は山深い修験道の聖域。大自然の祈りのパワーをひしひしと感じます。聖域の中心地・吉野にある金峯山寺(きんぶせんじ)のご本尊は青く、大きく、荘厳で、圧巻でした。


『日本遺産ポータルサイト』から関連情報サイトへ飛んでいくと、ちょっとした旅気分。ぜひ訪ねてみてください。















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