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積読よんでく#3「流浪の月」

こんにちは。睦です。
本屋大賞2020で話題の、凪良ゆうさん「流浪の月」を遅ればせながら読了いたしました。
大学生になってからはBOOK OFFの100円コーナーに魅了されてしまい(貧乏)、新品の本を買うのは久しぶりです。社会人になった暁には新品をバンバン買って作家さんに還元していきたいと思っております。

事実と真実の間には、月と地球ほどの隔たりがある。

「違う、そうじゃない」
事実と真実の食い違いがずっとチクチク存在するお話でした。
じわじわとアイスクリームが蕩けるようなスピードでモヤモヤがつのり、怒りは輪郭を失い曖昧に。そして「わかってほしい」という気持ちはどんどん冷やされていきます。(全て主人公ではなく読書中の私の心境です。)
店頭で可愛いな、と思った表紙のアイスクリームが、読了後はまた違った風に見えました。

優しさの暴力
インターネットという最近の媒体をテーマにしつつも、2人を蝕むのは昔から変わらない「固定観念」だと思いました。
差別や偏見だけでなく、思いやりや優しさといった一見無害なものも、ときに人の解釈を歪めてしまいます。

最近ではSNSが普及し、これまで否定されてきた様々な権利が主張されるようになりました。しかしそれも、カテゴリーが細分化されただけであって個人は個人です。
この物語に出てきた「優しい」人たちは、「誘拐事件被害者(9歳)」「小児性愛者」といった最小のカテゴリーまでは理解しようと歩み寄ってくれます。しかし最後の肝心なところで自分の主観的な解釈が入って急に結論を出してしまう、そんな印象を受けました。

「人間」ってこうだよねという話にはならないけれど、「男」って...「女」って...というのはよく聞く話です。人の分類は細分化すればするほど、先入観が生まれやすいのかなと思いました。

色々考えさせられることがありましたが、作品としてとても面白く、本屋大賞1位に文句なしです。
蕩けたあとはどろっとしますが、後味はすっきり。
そんな印象の本でした。


今はダイエット中ですが、
今夜の晩御飯はバニラアイスとウイスキーにしようと思います。




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