拡散する怪異について(blog 2/2)

一週間前から探していたVRゴーグルを発見して、一安心している睦彦です。普段VR使わないのに、VRで出来るホラーゲームアプリやろうと、ゴーグルを箱から出そうとしたらなくてずっと探していた。しかもあったのが出張用のキャリーケースだった。何故そこに入れたんだろう。


前回の続きから。『手紙』『チェーンメール』と来ましたが今回は携帯電話に関する怪異から始める。


3、携帯電話の怪異

呪いの着信といえば2003年にシリーズ1作目が出た『着信アリ』をまず思い浮かべる。自分の携帯電話の番号から、死ぬ瞬間の内容がかかってくるという内容。この電話がかかってきた時に特定の着メロが鳴るんだが、当時映画内で使われた着メロが配信されて自分の携帯に入れていた。着メロを鳴らすと兄が泣いたの覚えてる。そういえば、最近は着信音は既存のものを使っている人しか見ない。あの頃は着メロが出たばかりだから流行っていたが、個性や自分の好きなものをアピールする様なものだったと思う。携帯をデコったり、カスタマイズ出来た。それが今ではスマホケースで表現しているのかもしれないが、昔の方が個性が表現されていたなって。

話は戻るけどこの着信アリ、亡くなった人の携帯電話の電話帳から次の犠牲者が選ばれるので、死の予告電話がかかってきた人に友人ら囲んで「電話帳から俺の番号消せよ!」と詰め寄るシーンがあり、なかなか心にくる。

以前書いた『チェーンメール』と違って拡散能力は低いものの、より身近なモノになってきた。声って直接的なものだしね。

あと都市伝説として『怪人アンサー』という怪異もあった。2002年頃に出てきた話で後に創作であったと明らかになったが、怪談本で取り上げられたり、テレビで検証したり、そこそこ話題になった。

携帯電話を使い、10人が円形に並んだ状態で同時に隣の人間に電話をかける。普通なら電話をかけると通話中になるが、一人だけ怪人アンサーに電話がかかり、何でも質問に答えてくれるという。しかし、向こうからも質問をしてくる。これに答えられないと携帯電話画面から腕が出てきて体の一部をもぎ取られる。他のパターンでは同時に電話をかけた際、10人中9人が怪人アンサーに繋がり質問に答え、向こうも質問してきて答えられないと体の一部をもぎ取る。大人数でも対応してくれる怪人アンサー律義だなって思いました。コールセンターで働いたら良い結果を生むだろう。

携帯電話でないが、公衆電話から自分の番号にかけ、繋がったら公衆電話から「『さとる君』、おいでください。いらっしゃったら返事をください(簡潔に書いてます)」と唱えると24時間以内に『さとる君』という怪異から電話がかかってくる。『メリーさん電話』の様に何度も電話をしてきて、「今○○にいるの」と知らせてくる。最後には自分の背後まできて、振り返るとあの世へ連れて行かれる。他の話だと、背後まできたら『怪人アンサー』の様に質問する、質問をしなかったり怒らせてしまったら連れて行かれるというもの。これも2000年前期に流行った。さとる君から電話をかけてくるからさとる君の電話代やばい。おじさん心配。LINE電話して。

上記にちょろっと名前が出てくるが『メリーさんの電話』も電話に関わる怪異、都市伝説である。捨てられた人形が捨てた人間へ復讐する為に、何度も電話をかけて来る。近づいて来る度に電話をかけてくるので、これも電話代心配系である。近年はいじられキャラと化し、大阪梅田駅付近で迷子になるパターンや、高層ビルに住む人の元へ息切れしながら近づいて来てたどり着く前にダウンする話がある。可愛い。他にメリーさんの移動速度を求める理系ネタがある。ちなみに映画『学校の怪談』の冒頭部分で出てくるが、スイカだった。スイカ。しかも浮いてたし。

元ネタとして『リカちゃん電話』だと思われる。特定の電話番号にかけるとリカちゃんに繋がり、録音音声が流れるって話。1968年からサービス開始しているので、『メリーさんの電話』が噂される様になったのは他の怪異より10年、もしくはそれ以上前からの可能性がある。

以上が携帯電話に関わる怪異だが、2000年前期に流行ったものが多い。

携帯電話自体、普及が始まったの1990年代だが、2000年前期には携帯電話の機能が進歩した時代である。1997年にメールサービス開始、1999年にカメラ付き携帯電話が発売、この頃にdocomoからiモードサービスが開始される。2000年に入り、auが誕生し、2002年に写真付きメールを送れる様になり、翌年2003年に動画を送れる様になり、ボーダフォン(後のソフトバンク)が出てくる。機能の進歩により、怪異も時代にあった姿になったのだろう。


4、動画サイト

現代、子供なりたい仕事として上位にきているYouTuber。それほどYouTubeは人気コンテンツであり、より身近なものになっている。

この記事の1/2でも書いてあるが、数年前に映画館観た『貞子vs伽倻子』で、貞子のビデオテープを見てしまった子が「何故自分だけ…」と自暴自棄になり、ネットに貞子の動画を上げてしまうという、お前それはないよ!なシーンである。これが貞子全世界デビューである。めでたい。

でも、この映画内でビデオテープも廃れたものとして扱われており、リサイクルショップでビデオデッキを買ったら問題のビデオテープが入っていたのが発端である。このビデオデッキが廃棄処分されていたら貞子もいなくなっていたかもしれない。

しかし、この数年前にも『貞子 3D』『貞子 3D2』という映画が登場するのだが、もう最初から動画サイトに出現する。2では携帯やPCに動画が送られてくるともう無茶苦茶。ちなみにこの映画に出てくる貞子は、これまでの『リング』シリーズ貞子とはまた違う人物。個人的には黒歴史。

更に数年後に映画『貞子』が出てくる。一応、『リング』シリーズと繋がった世界だが、もうビデオテープに頼る貞子ではない。呪いの拡散より、肉体の復活が目的なので、呪いの拡散は控えめ。主人公の弟がYouTuberなのだが、火事があった現場に行った際の動画を動画サイトに上げてしまう。これに貞子が映ってしまうのだが、動画を見たから死ぬ、ということはない。復活の邪魔をしたら頃すよって感じだった。優c。ちなみにこの映画を4dで観てきたのだが、潮の香りがしたり、火事現場では煙の臭いというか煤けた臭いがしたりと、これが4dか!って感動した。でもあれはアクション映画とかの方が楽しめると思う。


5、SNS

SNSはかなり普及してるのにも関わらず、都市伝説の様に有名な怪異は見たことがない。強いてあげるなら海外の話「『momo』という存在が子供達にジ札する様に指示してます!」ってものがある。この『momoチャレンジ』っていうんだけど、このチャレンジによってアルゼンチンの少女が家の裏庭で首を括ったとか、インドの青年2人もチャレンジして死亡したとか噂が出たが、それらの被害者が実際に確認されないのでデマだと思う。ちなみにこの『momo』、姿を見ることが出来るがなかなかのインパクトなので怖いのが苦手な人には検索をお勧めしない。

もう一つあげるのも『momoチャレンジ』に似ているが、ロシアで2013年〜2015間で誕生されたと言われる『青い鯨』というゲームである。

SNSを通じてゲームマスターがゲーム参加者に指示出し、それを50日間こなしていくというもの。簡単な指示から始まるが、日が経つに連れ、どんどん危険な指示なっていく。このゲームに誰もが参加できるわけではなく、SNSサイト内の特定のリンクを踏まないといけない。

指示内容は「毎日11時40分に寝る」という様にそれほど難しくない様なものもあれば、身体に鯨の絵を刻んで写真をSNSにする、という様に自傷行為とも言える様な危ないものもある。チャレンジ中に亡くなったり、50日目にジ札しろと指示が着て実行したものもいる。ちなみに実際に100人以上亡くなったとされており、ゲームマスターであった人物は逮捕されている。これに類似したサイトが他国にも作成されインド、中国、メキシコなど20カ国近くでは社会問題にまでなった。幸い、日本にはこのチャレンジ系は来なかった様だが、コロナで不況の中、これからこういったものが出ないか心配である。

話は変わるけど、好きなホラー小説作家さんで最東対地さんという方がいるのだが、『夜葬』『♯拡散忌望』でLINEやTwitterに似たSNSを使った怪異が出てくる。時代に合わせた設定で、読者はより身近な恐怖を想像しやすくなったと思うし、活字離れのSNS世代でみ興味を持つ設定だと思う。インパクトのある怪異も素晴らしい。オススメです。


記事を2回にわけて長々と書きましたが、正直書き足りないくらいです。時代に合わせて怪異も変化しないと生き残れないと思います。加えて徐々に怪異の噂が少なくなっていると感じます。でもこれから新しい、誰も見たことのない怪異が出てくるだろう。そんな希望が、僕にはあります。以上、怪異語りでした。


参考資料

Wikipedia『着信アリ』『山村貞子』『怪人アンサー』『青い鯨』

日本現代怪異事典  朝里 樹


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