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PC-8801版「ドラゴンバスター」の思い出

はじめてテレビゲームをやったのは幼稚園の頃で、まだ家にはファミコンがなかった。

ファミコンはなかったんだけど、PC-8801というパソコンはあった。1980年代のパソコンで、Windowsが登場する前の話だ。

いま思うとなんのために買ったものなのかはわからない。父がこれを使っているところを見たことがなかったので(ちなみに小学校の教師だった)、もしかしたら当時、会社をやっていた叔父が何かの気まぐれで我が家にくれたものだったのかもしれない。

このパソコンはCDドライブなんてものはなくて、まだフロッピーしか使えないシロモノだった。家にはなぜかたくさんのゲームソフトが置いてあった。

中でもよくやったのが「ドラゴンバスター」というゲームだ。これはナムコがアーケード用に開発したゲームで、その後パソコンやファミコンなどにっも移植されていった人気作だった。

こちらが実際のゲームのプレイ動画。見てもらえばわかるけど、剣を携えた主人公が洞窟を探検し、悪いドラゴンをやっつけるというシンプルなものだ。

ただし我が家にあったドラゴンバスターは少し事情が違った。家族の誰かがこのフロッピーにコーヒーをこぼしたせいで、主人公と敵キャラ以外が一切表示されなかったのだ。

どこまでも続く真っ暗な闇。
地形が一切わからないので、壁にぶつかるまで歩くしかない。その途中、穴があったら落ちるしかない。上に登るためのロープも見えない。

そんなのゲームのしようがないと思われるかもしれないが、昔の子どもはガッツが違う。

何度もプレーしてマップを覚えていき「このタイミングでジャンプすれば落ちない」「この位置に上にのぼるためのロープがある」ということを覚えていくのだ。幸い、ドラゴンバスターには地形による即死系トラップはなかったはずなので何度も試すことができた。

結局、さすがに全面クリアはできなかったけど、各ステージのでかいドラゴンは何体か倒すことができた。

いま思い返すと、PC-8801のゲームはファミコンより夢中になっていたかもしれない。アドベンチャーゲーム好きのルーツはめぞん一刻によるものだし、ロボットが変形するシューティングのテグザーも面白かった。日本テレネットという、アトラスじゃない会社が出している女神転生もあった(これはめちゃくちゃ難しくて全然進めなかった)。

「パソコンの止め方がわからない」と言って、母親が何時間もテトリスをやっていたこともあった。ぼくがゲームをする姿をあまり良く思っていなかった母親がゲームをしているのは少し嬉しかった。

またやってみたいなとは思うけど、ファミコンのように互換機があるわけでもなく、当時の実機を手に入れるしかない。あまり現実的ではないので、これはぼくの中で美しい幼少期の思い出として、いつまでも心にしまっておくことになるのだろう。

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