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3.初めてのおんぶ…助けを求めるって大事!

病院に入院しているばあちゃんは、日に日にイライラが上昇していました。
正直言って、当時の私にはお見舞いに行くぐらいしかやることはなかったです。

「入れ歯の調子が悪い…」と怒り出したのはそんな時でした。
小さくて聞き取りにくい声のばあちゃん。
孫の私に向かって「お母さんが…」と自分のことを言いながら、切々と怒りをぶちまけてきます。
興奮したり夢中になって話をすると、私に対しても「おばあちゃん」ではなくて「お母さん」になるのも特徴のひとつ。

「お母さんな、入れ歯がおかしいって言うんに、はー誰も聞いてくれねぇ!」

あまりにも入れ歯が不調なことを訴えるので、入院中の病院に相談して、なんとか外出許可をを得て、かかりつけの歯医者さんを予約して連れていきました。

そこで気付くんです。
私たちにはなんてことない玄関先の3段程しかない階段が、ばあちゃんにとっては、立ちはだかる壁だということに。

ばあちゃんは小柄だけど、太めだったので、我々ではお姫様抱っこもできません。
そこで、母と叔母に支えてもらいながら、私がおぶって運ぶことにしました。

病気で力の入らない体を無理矢理、私にしがみつかせて歯医者内へ運び込みました。
それまで、してもらうばかりだったおんぶを初めて、私がしてあげたことになります。

うう…と体の痛みに唸るばあちゃん。
根性だけでなんとか中まで運び込むと、待ち構えていた歯医者の先生が言いました。

「言ってくれれば、我々お手伝いしたのに」

…マジか⁈

なにしろこちらも初めてのこと。
入院中にも関わらず、あちこち頼んで無理に連れてきた状況なので、申し訳ないからと、できる限り自分たちだけでなんとかしようとしていました。

「手伝ってください」

この一言の大事さを学んだ瞬間でした。

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