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ブルーの憂鬱

『五寿司ソロッテ』 第2シリーズー②

俺はブルー。ブルースのブルー。
ブルー、ブルー、ブルー! 寒いぜ、ブルッ。

何処かから、口笛が聴こえてくる。
傷を抱えてさすらう旅人。俺には影が似合うのさ。
青い戦士。クールビューティ。

……的なことを、みんな期待してるもんだから
ついそれに応えたくなって、ポーカーフェイスが崩せないんだな。

と、ここでもニヒルに笑ってみる。
口角は片方ほんの8ミリ上げるだけにとどめる。
斜め45度でポーズを決めるから、待ってくれ。

はぁ、夏でも革ジャンにブーツ。って、蒸れるな。
俺のは特別仕様で、他の隊員のよりぶ厚い。
このカウボーイハットも、メッシュにしてほしい。

イメージの固定化はよくないと思うんだ。
世の中には、ギャップ萌えなんて言葉もあるじゃないか。
本当の俺を見てもキライにならない女が、きっと何処かにいるはずだ。

👢

俺は、モーレツに……。
こたつに入りたいんだ!

グリーンの家行ったら、あったのさ、魅惑のこたつが!
ねこがごろにゃーとかじゃれてて、上にはみかんの山。

ああ、入ってみたい。
と思って時々窓からのぞいている。あやしいよな。
強引に「おお、なんだ。入れよー」
ってグリーンに言われて、仕方ないなーみたいに
いよいよファーストこたつ体験するとか、散々妄想してるんだが
奴は鈍感なので、一向に俺の視線に気づくことがない。

あの中でデレーっと溶けてみたい。
ねこに踏まれて、凝り固まった背中をマッサージされたい。

俺の正体は「青ざめたペンギン」さ。
南極出身だけど、めっちゃ寒がりなんだよ。

あ、こたつの中からいぬが出てきた。
ほっかほかに湯気出てる。
オーマイ Hot Dog ! 抱きしめたいぜ、ポメラニアン!
犬が外を走り回るなんて幻想だな。あいつらも相当冷え性なはずだ。

今日は今日とて、グリーンがこたつからボウルを取り出した。
何かと思ったら、発酵したパン生地だよ。
こたつで発酵、パン屋さん!

かえるも一緒にこねてるぜ。その水かきが名人芸。
あれは! メロンパン作ってるのか。 俺もやりたい。
おおー、オーブンから甘い香りがしてきたー。

いいよな、グリーン村。
俺も高層マンションなんかじゃなく、ここに住みたいよー。

<つづく>

次の話 → ②-3 ピンクの秘密

いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。