#恵比寿の月12
夜のにぎやかな街は、色であふれている。
ほら見て、とばかりに
カラフルな灯りが、揺れて自己主張する。誘いかける。
君は待ち合わせ場所にぽつんと立っていた。
喧嘩したから今夜は来ないだろうと、俺は遅れて着いた。
たとえ何時間待っていたとしても、素知らぬ顔して
「待ってたわ」なんて言わないね、君は。
その癖、人一倍さみしがり屋で、涙を隠している。
わかっていて、俺は放置しておく。
目が合えば、互いに謝ることもなく、ただ手を繋ぐ。
君が言う。
私が途方に暮れるほど、あなたは私のものじゃなくて。
なのに、私はあなたのもので。
そうなのかな。俺は逆だと思ってたよ。
いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。