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Photo by
monokakiko
白のふわふわ。
デパートの屋上に行ったら
強い風にあおられて、今にも飛ばされそうないぬがいた。
ハンチングをかぶった男の子が近づいて
ミルク色の風船を取り付けたので
いぬは空にふわりと舞い上がり、みるみる小さくなってしまった。
「ちょうどいのちがつきるとこだったんだ」
ぼくはその子が言った言葉を素直に信じることはできなかった。
✜
男の子は、おかあさまに
さっきのいぬのようにふんわりした綿菓子をねだっている。
いいとこのぼっちゃんらしいその子は
綿菓子にかぶりつくことを許されていない。
「お家に持って帰ってから食べましょう。
きちんと包んでくださるかしら」
登場したのは、さっきのいぬの包み紙。
そっとそっと白いふわふわを包もうとすると
ちらりとしっぽを振ったように、みえた。
包まれた瞬間、泡となって消えてしまったけれど
男の子は、涙も見せずに
おかあさまと手を繋いで、家に帰っていった。
✜
地下のお菓子売り場では、白いお菓子が並んでいる。
メレンゲ マシュマロ ブール・ド・ネージュ
ここでもシャンプー中のいぬのような包み紙。
店員さんがリボンをかけると、嬉しそうにほほえむ。
抱える女の子の腕の中で、小さくわんとほえたように
空耳した、日曜の午后。
甘ったるい匂いでみちみちた空間には
しあわせの雲がぽこぽこ浮かんで、スローモーション。
ぼくもあの子に、何かプレゼントしようか。
モノ カキコさんのイラスト見てるうちに
書いてみたくなった、小さなものがたり。
ありがとうございます💛
ホワイトデイに、ふわふわを。
いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。