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雨の露にこそ似合う紫陽花が、日光に晒されてる。 近寄って、日傘を差しかけてみる。 そんな子たちは、太陽に向かってくすぐったそうに笑うから なかなかピントが合わないよ。 お願い、ちょっとだけ止まってみて。 鎌倉、浄妙寺にて、六月。 ここの紫陽花は種類が多いんだ。 青、紫、ピンク、白。 色見本のハンカチに染めたいような、和の色が揺れている。 日向の色、日影の色、沈む色。 川にひと片、落ちて流れたのなら 誰かが待ち構えて掬って、手のひらに並べるの。 まるで、貝殻拾いのようにね
アナベルという名の、紫陽花のなかまがいるのです。 白いレースの刺繍のハンカチーフのような。 小さな花びらの集いは、みっつだったり、よっつだったり。 カリフラワーに襲われそうな、もこもこ具合。 泡泡のシャボンみたいに、いたずらなクリーム色。 小さなどうぶつだったら、潜って遊んでみたくなる。 くも、メレンゲ、ふかふかわたあめ! 和の紫陽花は、あまり香りがしないのに このアナベルはいい香りがする。 えっとね、欧羅巴の匂いなの。 秘密の香水、夕方の気配、待ち合わせ。 夢の中の少