ただ純粋に自己であれ
意識的に紡がれた言葉には、人の心に直接訴えかけるほどの力はない。
論理や自我はしょせん、その人間の行動を補助するための機能、つまり自己のための道具に過ぎない。
道具が主体となって創られたものに、何の価値があるだろうか? いつだって最高級品は、機械工業によって産み出されたものではなく、職人の繊細な手によって産み出された技術と偶然と意志の結晶。
論理は外側を支える補助輪に過ぎない。軸になるのは、確固とした運命的意志。
余計なものを削れ。純粋に自己であれ。全てを破壊しろ。迷妄に囚われるな。臆病になるな。不安を……受け入れろ。
集中するには、集中しなくてはならないという考えすら消し去らなくてはならない。私はまだその境地に達してはいない。
眠れ。眠れ、論理よ。高慢な自我よ。眠れ。女である私。己に酔うのはやめて、己を崇拝するのはやめて、純粋に己であれ。
目を開け。己がなすべきことはなんだ?
何もない。私には何もない。何も与えられていない。
私の両の掌には、何も乗せられていない。あぁ、欲しい。奪ってでも、欲しい!
力が欲しい。愛情が欲しい。祈りが欲しい。心が欲しい。人を殺したい。あの単純なやつらから、魂を抜き取ってやりたい。
私の言葉で、人の心を奪い取ってやりたい。
それが私の愛情なのだと、私が叫んでいる。
善悪の彼岸に立て。悪であることを恐れるな。善良であることをも恐れるな。
ただ純粋に自己であれ。積み上げられたものを踏みつぶし、そこに在るものだけを見よ。
ただ純粋に自己であれ。ただ純粋に自己であれ。
ただ純粋に自己であることのみが、「私」という自我を救い出す唯一の手段なのだ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の彼岸に立て。
言葉は全て呪いでなくてはならない。
ただ純粋に自己であれ。善悪の彼岸に立て。
それが私の選んだ呪いなのだ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の彼岸に立て。
*
立つだけでは足りないのだ。己に命ずるのだ。
*
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に自己であれ。善悪の破壊者であれ。
ただ純粋に……それが私の望んだことなのだろうか。
ただ純粋に。私はどこに立ちたいのか。
立つ……為す、ではなく?
私はまだたどり着いていないのだ。私はまだ、為すべき場所にすら立っていないのだ。私はまだ……歩きなれていないのだ。
この道を。この心を。この魂を。
私はまだ知らない。
祈りを。真の祈りを、私はまだ知らない。
努力を。真の努力を、私はまだ知らない。
愛を。真の愛を、私はまだ知らない。
世界は開けている。しかし私にはまだ触れることができない。
私の手はまだ凍えている。それを開くことができないでいる。
世界はまだ凍えている。何かの力を欲している。私にはその力がない。
私は何かを欲している。私にはまだそれが分からない。
しかしそれはひとつの予感。私の運命。手放してなどなるものか。それは私のものなのだ。
この勇気を握りしめて、私はまた、私の中に潜っていく。私の知らない世界がまだそこにあるのだと信じて。
心を水底に沈めて。消えゆくままに……
*
↓セルフ解説(狂気の沙汰)
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