性格診断は楽しくて好きだけど

 性格診断には項目がいくつかある。
「あなたはこれこれの性質を持っています」というのを十項目ほどあげられたとき、五つ程度しか当てはまっていないなら、おそらくその性格診断は「大外れ」と考えていい。

たとえば、単純な質問十個に対する「YES・NO」において、全体統計の平均が「YES:70%、NO:30%」である場合、その質問に対してNOが三つ以上つくならば、その性格診断があなたに当てはまっているとは言えない。というのも、人の性格や性質は、他の人との比較でしか測れないものなので、平均よりも当てはまっているかが、その人間個人の特質を図るうえで重要なのである。


 人は自分に向けられた肯定的な意見に同意を与える傾向にある。あらゆる性格診断は、基本的に好意的な結果を告げる。ゆえに、それに対して半分以上否定することは難しい。

 つまり、人間という生き物が性格診断をやったとき、彼が「当たっている」と思うのは当然なのである。自然なことなのである。ほぼ全ての人間が、どのような結果が出たとしても、肯定的な性格診断である限り、そのように思ってしまうのである。


 さて、ひねくれ者の私は、あえてその性質とは真逆の答えを出していきたい。自分に提示された「あなたはこういう人です」に対して「ブッブー! 全然当たってないじゃん!」と言いたいわけです。
 それが肯定的な意見であるほど、自分の中の「嬉しい!」を現行犯逮捕して、平均と比べてその褒め言葉がより自分に当てはまっていることなのか、確かめてみようと思います。


 はい。用いるのはかの有名なMBTI診断。検索すると一番上に出てくるふたつやってみました。

イラスト

無題



 同じ結果が出るのは好都合。二つ出たら二つ分析しなくちゃいけなかったから、個人的に楽ですごくいい。

 一通りネット上に落ちてるENFPに関する文章は目に通したけど、そのどれを取り上げるべきか正直難しい。だいたい似たようなこと言ってるから、どれを取り上げても問題はないのだけれど。自分の言葉で説明するか。

・知的好奇心旺盛。豊かな感性と創造性を持つ。
・自分の人生に対して誠実で、多様性を尊重している。
・目立つのが好きで、そのための演出や宣伝には積極的。
・自由を好み、細かい規則を厭う。
・気分の浮き沈みは激しいが、タフ。
・人の内面に目を向けることが多い。
・外向的でありながら感受性が強いため、ひとりで考える時間を必要とする。
・洞察力が高く、奇抜な発想を好む。人を驚かせて和ませることが多い。
・心理戦が得意だが、自分の利益のためにその能力を用いるのは好まない。
・自己の中の多様性に価値を置き、レッテルを貼られることを嫌う。
・他者の見方に対して開かれた態度を取る。
・直観によって方向性を定め、論理によってそれを具体的、現実的にしていく。口達者であることが多い。
・新しいことが好きで、知ることや見ることに対する倫理的抵抗を持たないことが多い。
・権威を持っているものに問題がある場合、強い反抗心を持つ。
・ペースを考えず物事を進めてしまう傾向にある。
・若い間は腰を落ち着けることが難しい。
・どのような場においても他者に対して自分と対等であるという態度を取ることが多い。
・恋愛に対して強い好奇心を持つ
・結婚した場合の満足度は高い。ほとんどの男性からの評価が高い反面、本人が満足しているかどうかは場合によりけり。


 はい。「嬉しい! 肯定したい」感情逮捕者続出です。前にやったときは確か別の結果が出たんですが、何が出たか忘れちゃったので……

 何というか、これって私の「こういう自分でありたい」というのには一致しているんだけど、実際の自分にはあまり一致していないんだよね。
 感性や創造性の話ははっきり言って、比較対象がないので結論の出しようがない。私個人としては、自分は豊かな感性、創造性を持っていると思っているけれど、それは私が判断できることではないので、グレーのところに置いておくのが正当。
 多様性の尊重は、あくまで自分がそうありたいと思っているだけで、無意識的に「あんなの滅びればいい」と思うことは多々あるので、あまり当たっているとは言い難い。
 目立つのは好きだけど、目立ちすぎるのはあまり好きじゃない。演出や宣伝は誤解を生むことが多いので、私は心理的な抵抗を感じる。
 気分の浮き沈みは確かに激しい。人と比べてタフでもあると思う。それは当たってる。
 人の内面に目を向けることが多いのも、本当だと思う。そこで感じたことが正しいかどうかは不明。ただ、そのことについて考える時間は人より長いと思う。
 ひとりで考える時間を必要とするのも、当たっている。

 とりあえずここまで実際の自分と照らし合わせたが、それと比べるために私が想像する「平均的な人」が同じ結果が出た時にどう思うかをシミュレーションしてみる。

 知的好奇心……新しくて面白いことは好きかな。感性と創造性は意外と豊かかもしれない。
 多様性の尊重は、できていると思う。自分とは違う人がいても、害がないなら別にいいと思う。
 悪い意味で目立つのは嫌だけど、みんなに褒められるなら目立つのは好き。演出や宣伝は恥ずかしいけど、別に嫌いじゃない。
 あんまり規則が多すぎると大変だよね。
 気分はそんなに不安定じゃないと思う。タフかどうかも分からない。
 人の気持ちはよく想像する方だと思う。
 あまりひとりで考え込むことは好きじゃないな。できるだけ考えたくない。

 はい。私の中の普通人ちゃんはこう言ってる。


 ちょっと性格診断とは関係ないけど、気づいたことがあるから語るね。

 私って多分、自己分析をするとき必ず「他の人はどうか」ということを無意識的に参照しているんだと思う。
 つまり、さっきの自分に照らし合わせて考えてみた時「普通の人に当てはまらないことが私にも当てはまっている場合」ははっきりと同意することができているのだ。
 「自分の特徴」というものを「他の人と違う点」という意味で無意識的に解釈している、ということ。逆に言えば、大多数の人と自分が一致している部分は、あまり深く追及したり認識しようとしたがらない。むしろ否定的に捉える傾向がある。自分だけじゃないことを「自分だけだ」と思い込むことに対して、何か一種のフィルターのようなものがかかっている。

 「自分を特別だと勘違いしたくない」という意識が透けて見える。


 ちょっとめんどくさくなってきたので、そろそろこの辺で結論の方に持っていきたい。
 私の思考というか人格って、確かにENFP的な傾向があるんだろうけど、ただ、ENFPは、今ここでやったように、意味もなく詳細にものごとを分析したり追及したりする傾向があるわけではないみたいなんだよね。それは主に、INTPやENTPの特徴とされている。
 さらに、このように型にはめられることを嫌う傾向としては、ISFPの特徴として顕著。

 実のところ、MBTIを各種類見ていくと、決してひとつのものだけが「自分に当てはまる」と感じるわけではないのが分かる。
 最初に述べたように、それを見た人が「当たっている!」と思いやすい書き方がされているのだ。

 私は、性格診断はあくまで楽しみとしてやるべきであり、それが自分の特性であるとか特徴であるとか思うのは、少し問題があるように思う。十分に疑ったうえで、あくまで人とのコミュニケーションを円滑にするために、そう名乗った方がいいと思う。
 場合によっては、その結果に自分自身が縛られてしまうこともありそうだからね。


追記:私の最高の友達(虚構)りっちゃんの気持ちになりきってやってみたらESFJになった。ありえん。これはありえない。
りっちゃんはそもそも友達が少ない。科学的な理論や政治に対して強い興味を持っているし、ゴシップなんて少しも興味もない。自主独立していて、結構自分勝手な所もあるし、哲学の勉強もしてる! それに群れるの嫌いだもん。りっちゃんは!
それにあの子は人の話し聞くのあまり好きじゃない。気づいたらどっか行って本読んでるタイプだもん……これは許せん……
別のところでやったらISFJになった。これも別に合ってるわけじゃないんだよなぁ……というか、多分、私前やったとときISFJだった気がする。
ま、深く気にしても仕方ないわな……

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