自虐はほどほどに

「なんでそんな次から次へと色んな考えが浮かんでくるの?」
 ある時友達にそう聞かれた時、私は気の利いた自虐風ジョークで返そうとした。
「空き樽は音が高いってね」
 ハイ悪癖でございます。案の定、その友達はきょとんとしていたし、私は自分が馬鹿だと思った。
 微妙に意味もズレてるし、開き直ってちゃ反省としての意味合いも薄い。自分が何を言いたかったのか分からなくなったし、恥ずかしくなって「中身が空っぽだから、音がよく鳴るんだよ」とすぐに弁明をすると「○○が空っぽなら、私とかどうなっちゃうの」と本気の自虐を返されて余計気まずくなった。
 またある時、父との会話の中で私が結構きつめの自己卑下をしたとき「行き過ぎた謙遜は、お前だけじゃなくてお前を尊敬している人間を傷つけることもあるから、ほどほどにしておけ」とたしなめられた。まったく、父の言う通りだ。
 好きな人が、その人自身を悪く言いすぎているところを見ると、胸が痛くなる。だから私は、他者のためにある程度自分を大切に扱うべきなのだ。
 人を大切に思うなら、自分も大切に扱おう。

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