Magazine Study vol.11

【今号の目次】
1.特別企画 対談「作業療法研究とベイズ統計②」
2.8月27日のらいすた概要
3.8月27日のらいすたQ&A
4.その他のQ&A
5.今号の研究論文リスト
6.時事ニュース
7.研究アイデアをシェアしちゃいます!
8.私のオススメ本
9.まがすたでしか言えない〇〇
10.近況報告
11.次回のLive Sudy
12.質問送り先案内
13.【3日間限定付録!】Live動画ダウンロード OBP2.0超入門〜作業と健康と幸福の関係④〜
14.署名

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
1.特別企画 対談「作業療法研究とベイズ統計②」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

1)第52回日本作業療法学会を振り返って

寺岡:第52回日本作業療法学会のイブニングセミナー「作業療法のエビデンスを構築する3つの戦略」でベイズ統計についてお話されたんですよね?

京極:そうです。

寺岡:私も第52回日本作業療法学会に行っていたのですが、実は別のイブニングセミナーに参加したので、先生がお話された内容のエッセンスをお話いただけますか?

京極:え? 何に参加したの?

寺岡:日本作業行動学会による「作業行動の現代化~哲学と学際的知識」です。OBP2.0の開発には作業行動の理解が欠かせないので、「これだ!」と思ってそちらに参加しました。

京極:おぉ!それはいいね。ぼくも興味があったので、先にその内容を教えてくださいよ。

寺岡:いいですよ。最初は作業療法のパラダイムシフトの話でした。特にマリーライリーが1950年代後半に作業行動を提唱した時は、機械論パラダイム全盛で、この時代に作業療法の本質を提唱した考え方は画期的だったと考えられています。作業行動は人間を部分に還元せず、全体像を捉えるというシステム論的発想で、それが後に人間作業モデルの考え方へと発展的に継承されていったという話でした。そういう話を踏まえても、やはり現代の作業に根ざした実践は作業行動を起点にしていると感じました。

京極:非常に重要なところですね。その辺の話って日本作業行動学会がやっぱ強いの良い機会になったね。

寺岡:はい。他にも色々な話があったんですが、面白かったのはマイヤーの作業療法の哲学の中にあるrealityとactualityの解釈の部分です。訳語とは別に木村の議論を引用して、東洋の考え方にもしっくりくるような意味の抽出を行っていました。

京極:へー面白いね。

寺岡:あとは、作業療法の特質として、科学も重要なんですが、不確定性や複雑性、偶発性などの作業療法独特のコマンドも理解しないといけないので、そうなるとエビデンスに加えて、ナラティブも大事ですね、という話も聞きました。

京極:なるほどねぇ。OBPは作業行動を起点にしていることは間違いないから、今回の学びも活かした理論構築にしていけるとよいね。

寺岡:はい。ぜひそうしたいと思います。面白かったです。で、京極先生はイブニングセミナーで何を話されたのですか?

京極:前回の対談の続きにもなるけども、ぼくは統計モデリングを紹介したうえで、ベイズ統計についてお話ししました。特に後半は個性を科学する方法について解説しました。

寺岡:作業療法はクライエントにとって意味ある作業の実現を目指すので、個性を取り込んだ科学は欠かせません。めっちゃ重要な論点ですね。詳しくお願いします。

2)仮説検定モデルから統計モデリングへ

ここから先は

14,975字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?