映画 百円の恋 これは安藤サクラのSHOW TIMEである。
主演 安藤サクラ
子供とゲームして、昼まで寝ている豚女。それが主人公の最初の姿だった。
この豚女に、1ミリも魅力を感じない。
妹と喧嘩し、家出して一人暮らし。コンビニの深夜のバイト。
そこでバナナマンと出会う。これがタイトル「100円の恋」の正体。
この怖い男に恋をする。こいつはボクサーだった。いつも「バナナ」ばかり買いにくるから、バナナマンなのだ。
バイト仲間のエロ親父と二人で試合を観戦。だが、彼は負けてしまう。
いきなり、おっさんにレイプされる。
で、何故かボクシングをはじめる。もう、彼はいなくなっていたのに。それでもやる。
彼女を突き動かす原動力は恋である。
「然し……然し君、恋は罪悪ですよ」という漱石の名文を思い出した。
最初の頃のへなちょこパンチは、猫パンチのようで下手くそなのである。才能の欠片も感じられない。誰も期待していない。何故、続けているのか本人ですら理解できてなかったと思う。
酔っぱらって、コンビニに現れたバナナマンは泥酔し暴れる。そんな彼を家に連れていき、面倒を見てやるのだが女作って出ていく。こいつ酷い男。彼女の方も捨てられて当然な感じの悪い女のままなのだ。
彼女はひたすら、ボクシング、ボクシング、ボクシング
最初のへなちょこパンチが、だんだんプロみたく早く。いや、プロになる。動くがキレッ、キレになっていく。ロッキーかよと思うほどの力強さだ。
これが、これになる。
安藤サクラの変革
それが、この話しの核だ。
あの豚が、ラストには魅力的な女性となってスクリーンに現れるのである。ラストの試合のシーンは圧巻だった。まさしく安藤サクラ七変化。彼女のファンだけでなく、見た人すべてを魅了する演技だった。本物の女優を確かに目撃した。これが、この映画だ!!。リングの熱気が地面を揺らし、それが水蒸気になって見ている人間のすべての皮膚から入り込んでいくんだ。彼女の情念が大きな塊となって、それが胸の中に熱い炎の刃を突き付けてくる。
気がつくと、安藤サクラを抱きしめたくなるほど好きになっていた。
2014/日本
監督:武正晴
出演:安藤サクラ、新井浩文、ほか
上映時間:113分
2020 2/16
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