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2022年10月読書日記

10月は読書に適した季節
たくさん読めました。

圧倒的に楽しかったのは




国宝でした。
歌舞伎の世界を描いた秀作です。


次は、熱源。




アイヌの世界から見た日本
帝国主義の世界
情熱がほとばしっていました。


ホラー作品も一つ




優れた短編集です。


自由、独立をテーマにした短編集



おすすめ

最後に、昔のベストセラー





圧倒的な面白さでした。



以下、簡単なまとめ



国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫)感想
ヤクザの親分の息子が没落し、歌舞伎役者の元に引き取られて、そのまま内弟子となる。師匠が、実の息子よりも彼を選んだことにより、息子さんは家出をしてしまう。師匠が死ぬところは感動的だ。師匠がいなくなると、完全に干されてしまう。映画に出たときのイジメは酷い。こんなの今じゃありえない。そのまま干されて京都で隠遁生活ののち復帰したところで、地方で田舎芝居をしていた師匠の息子が見つけられて連れ戻されて、彼よりも重用され嫉妬する。一気読みだった。読ませる物語だ。下巻が楽しみだ。
読了日:10月01日 著者:吉田 修一

国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫)感想
彼はすべてを得たが、すべてを失ったのかもしれない。芸事がすべてで、他は何もなくなり、芸事に飲み込まれてしまった。そういうことなんだろう。上巻のきくおは人間ぽさがあったが、ある時からすべてを達観したかのようになっていた。それにしても不幸がてんこ盛りだった。彼の人生は歌舞伎役者の頂点を極め、最後は人間国宝にまで、のぼりつめた。それは狭い水槽に入れられた錦鯉のようだと他人には見える。そこにいると窒息するのに、そこにいたいと望むのだった。その役者魂が凄まじい。ここまで不幸を描かなくてもいいのではと思ってしまう。
読了日:10月02日 著者:吉田 修一

ロスト・スピーシーズ感想
B級のハリウッド映画みたいだった。アマゾンの密林の中に貴重な植物を製薬会社の面々と探しに行くという話しなのだが、船が敵に攻撃されて大破し彷徨うということに。ゴム村の出来事は社会問題を描いていて良かったし、そこから本当の旅の目的も見えてくる。あまり詳しく語るとネタバレになるのでダメだが、敵から少女二人を奪還し、ヘリで追ってくる彼らから逃げるシーンはハリウッド映画風。敵との戦いも良く描けていました。
読了日:10月04日 著者:下村 敦史

瓶詰めの海は寝室でリュズタンの夢をうたった感想
劇団の芝居を小説にしたものらしい、ファンタジーです。ひきこもりの死にたいと思っている老人が、リュズタンの夢という世界に紛れ込んで、そこでかつての旧友たちと再会し、あの時、果たせなかった夏休みの課題をみんなで達成し、みんなで再生するというプロット。生きるという意味が問われていて、「夢」とか、希望とか、ちょっと語るには青臭いが文字化するとなかなかいい感じという印象でした。この劇団の芝居が見たくなった。
読了日:10月06日 著者:末原 拓馬

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福感想
世界史や人類史について書かれている本は多数あるが、この本ま新しい切り口を提示したと思えます。その一つが、人類、ホモサピエンスの罪。残虐さ。空前の殺戮の歴史だろう。アメリカやオーストラリア大陸の希少種のたくさんは人類が滅ぼしたと説明されている。これはショックだった。 さて、人類だけが何故に一人勝ちできたのか「認知革命」である。「現実には存在しない虚構(フィクション)を信じ、語ることのできる能力」を得たことで集団化が可能になった。前半のポイントはまさしくそこだと感じました。貨幣の発明。帝国などの話しも楽しい。
読了日:10月08日 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福感想
人類はどこに向かっているのだろうか?。最後の2章は衝撃的だった。下巻では、まず宗教が人類の統一には垂らした役割を説明している。次に科学革命による変化と資本主義だ。私達は物理的にたくさんのものを手にしているが幸せなのかという問い。そして、未来。ゲノム編集やロボット化による新しい何かに人類は変化するのかもしれない。私達はかつてなかったほど強烈だが、何をしたいのかもわからない。さて、どうなるのやら・・・。
読了日:10月09日 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ

熱源 (文春文庫 か 80-2)感想
視点が2つあり、少し複雑だった。アイヌの男と、ポーランドの男。どちらも支配されている民族のものだった。教育によって日本に飲み込まれていく様、その意図を感じた。それに抵抗しアイヌが滅ぶ、希薄していくことを恐れる気持ちが良く伝わった。支配は力であり、弱い少数民族は弱肉強食の世界では、同化させられてしまう。それは飲み込まれてしまう。アイヌのアイデンティティが消滅することだった。主人公の心情がわかった。ボーランド人の学者の方もまた、過酷な流刑人であるが、そこでの戦いも描かれていた。二人が出会ったのが樺太だった。
読了日:10月10日 著者:川越 宗一

クリエイティブの授業 10TH ANNIVERSARY GIFT EDITION: “君がつくるべきもの”をつくれるようになるために感想
本当の意味でのオリジナルなんてないと断言しているのがすごい。だから真似をしなさい。盗めという考え方になっていく。もちろん、盗作という意味ではなくて、そのスタイルとか形とか思考方法とかそういうものをであります。色ンな人の優れたものを盗み、良いもののpatchworkみたいにして、そこから自分の作品や形を生み出していく。最初はとにかく真似して上達しなきゃならないということみたいです。
読了日:10月14日 著者:オースティン・クレオン

兎の島感想
死んだ母からのフェイスブックの友達申請、無人島に兎を繁殖させ、新しい生態系を作ってしまうはなし、耳から生えてきた腕に身体を奪われる作家などなどの幻想的な話師の数々。しかし、読みにくい。わかりにくい。困ったものだ。カフカ風というがちょっと違う感じがする。占い師の話しとかは好きだった。一番、面白かったのは表題作。兎の島です。無人島に兎を・・・解き放つと鳥を食べだし、肉食になってしまう兎、これって新しい進化なのか。そして、繁殖し数を増やしていき共食いしだす。そして、絶滅という流れなのか。
読了日:10月15日 著者:エルビラ・ナバロ

天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫nex)感想
現役医師の書いた医療ミステリー短編集。 探偵役の天久鷹央の自由奔放な性格描写が愉快。助手役の小鳥とのコンビが素晴らしい。「池に出たカッパ」「深夜の病棟に出る人魂」「目に見えない胎児」、そして「オーダーメイドの毒薬」といった謎を鷹央が見事に解き明かしていきます。最後の謎は診断部の縮小がかかった案件で会議中に謎を見事に解明してしまうという見事さ。この鮮やかさには感服でした。とても楽しい軽いタッチのミステリー短編集です。
読了日:10月16日 著者:知念 実希人

天久鷹央の推理カルテII: ファントムの病棟 (新潮文庫nex)感想
最後の「病棟に現れる天使」の話しはいい話しだ。グッときた。暴れん坊の少年三人組のとった行動はとても良い行動だ。そこにある優しさは本物だ。いろんな感情が集結し、ほんと目頭が熱くなる。読む価値のある話しです。トリックというのか謎で言うと「コーラに毒が盛られたと訴える男」の話しが完成度は高い。この最後のオチはびっくりしたし、それを説明する医学的な知識にも感心した。それにしても、医者の書くミステリーというのも楽しい。そう思わずにはいられない。
読了日:10月18日 著者:知念 実希人

人撃ち稼業 (ハルキ文庫 い 26-1)感想
腕の良い猟師が暗殺者となっていく様を描いた時代物。これは、まだ、序章にすぎないが、なかなか面白い。試し打ちで罪人の子供の脳天を撃ち抜くところとかいい感じ。
読了日:10月22日 著者:井原 忠政

ホロヴィッツ ホラー (文学の扉)感想
ホロヴィッツのホラー短編集。殺人カメラは、結構好きです。撮影すると死ぬ、枯れる。黄色い顔の男のオチには驚いた。自分の写真を自動撮影機でとるのだが、一枚だけ黄色い顔の別人のものが・・・・という不気味なもの。最後の猿の耳は、4つの願い事が叶うという猿の手と似ている話し。でも、結構よく出来ていて面白かった。
読了日:10月23日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ

天久鷹央の推理カルテIII: 密室のパラノイア (新潮文庫nex)感想
オカルト的な話しが2つと密室殺人事件。それも室内で溺死。「呪いの動画」や「男性に触れると肌が荒れる女性」、そして「密室で溺れた男」の謎を解明していきます。 最初のオカルト的な2作品は魅力的でテンポも良くて楽しい。3つ目の密室で溺れた男の話しは、ミステリーとしてもかなり優秀で、さすが知念さんという作品。3作品ともに医療が関係していて、話しの持って行き方も楽しくてとてもいい。
読了日:10月25日 著者:知念 実希人

スフィアの死天使: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex)感想
本作は事件カルテシリーズ。このシリーズは長編です。推理カルテシリーズは短編集。本書は、このシリーズの一巻の前。つまり0の物語。小鳥と天久鷹央の出会いが語られているところがいい。宇宙人に命令をされているという患者が自殺する。二人目の同じ症状の患者が救急救命室の主任の医師を殺す。そこで、その患者が新興宗教の人だとわかる。宇宙人が神とする宗教。侵入捜査したり、そこで行われる奇跡の謎を解き明かしたりする。そして、脳をいじった犯人の謎までたどり着くという話し。悪くはないがシリーズの中では面白さが少し欠けるかと。
読了日:10月29日 著者:知念 実希人

独立記念日 (PHP文芸文庫)感想
独立、いや自由になる話しなのか。たくさんの短編集。これだけ読むと勇気湧いてくる。「自由」になるということは、結局、いかに独立するかってことらしい。ややこしい色んな悩みや苦しみから。そういう物語が多数。たいていは弱者視線ですが、単純なのにとても趣深い話しもあり楽しかった。
読了日:10月30日 著者:原田 マハ

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