映画 空飛ぶタイヤ    池井戸潤の同名ベストセラー小説の映画化。

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 タイヤが空を飛ぶシーンからはじまる。

 それは殺人凶器となり主婦を殺す。トラックの運送会社の整備不良ということになり赤松社長はせめられるのだが、整備士の点検は完璧。何か、おかしいと・・・なる。

 よくあるリコール隠しなのだが、この話しの面白いところは赤松社長の調査だけではなく、巨大財閥系の事故を起こした自動車会社の中にも疑念を感じた人間が出てくることだった。その課長は、最初、赤松をクレーマーと断定しスルーしていたが、会社内にタイヤに関する秘密会合があることに気づく。最終的には内部告発にまで発展する。

 その影響で雑誌記者が動き、自動車会社に資金を融資している銀行の人間までもが動くことになる。正義の連鎖反応により悪が駆逐するというスカッとするラストなのだが、とてもじゃないが現実はこうはならない。人間は、もっともっと利己的で打算的なので、こうはならないと思う。

 池井戸さんの小説はおもしろく、ディテールも細かいのだが、いつも正義が勝つ。でも、現実にはありえないので、いつも私は胡散臭いと思ってしまう。小説やドラマや映画なので、それも当然なのだが、いつもここがひっかかる

 いっそのこと、負けて赤松運輸は倒産し、内部告発したディーンフジオカは子会社に出向になり、銀行の融資担当の高橋一生は左遷されるという方が現実的な気もした。

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 この常務が大笑いして悪い奴らが勝つというシナリオである。絶対的な権力を持っているのだから可能な気がする

 それで二年後とかに、コンビニ店長とかをしている赤松社長のところに老人が訪ねてくるのだ、「実は、うちのトラックのタイヤが飛びまして・・・」。こういうラストシーンの方が好きなのですよ。と勝手に鑑賞した映画のラストシーンを自分好みに変更するのでした。


2020 1/19



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