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新型コロナウイルスで自粛するのは子供ばかりか

前回の記事でお伝えしたように、宮崎県都城市は国の方針に従って、3月2日から小中高校が一斉休校を始めている。

3月4日に県内でも新型コロナウイルスの感染者が見つかった。これを受けて、県内のほとんどの小中高校が春休みまで休校を延長した。5日からは県立図書館や美術館、6日からは動物園の休館も始まった。

今回は、県内での感染者発見から一夜明けた5日から8日までの様子をレポートする。

3月5日(木)

学習塾は5日から15日まで休講となっていた。

よく晴れて気温も高いが、公園で遊ぶ人は少ない。

自動車学校は路上教習を続けている。

ドラッグストアなどではトイレットペーパーやティッシュペーパー、キッチンペーパーなどの品切れが続いていたが、駅前のイオンモールではちょうど店頭に並べているところだった。

イオンモール内の保育園は営業中で、数人の子供たちが遊んでいた。

イオンモールのすぐそばにあるフィットネスジムは営業を続けていた。

スイミングスクールは5日から21日まで休館となっている。

カラオケには多数の自転車が並んでいて、高校生らしき集団の姿も。

3月6日(金)

小学校は休校中だが、校庭で遊ぶ子供たちの姿。
市は2日から預け先がない児童の受け入れを始めている

若者に人気のスイーツショップは人手不足でメニューを縮小しての営業。もしかしたら休校の影響かもしれない。コンビニでも人手が不足しているようだ

3月7日(土)


市立図書館は開館しているが、教育委員会から小中学生の利用を控えるようお願いする掲示。職員が声をかけることもあるとのこと。

確かに館内に小中学生の姿はない。

普段は勉強する中高生たちで土日はほとんど席が空いていないのに、今日は閑散としている。雨のせいか大人の利用も少ないようだ。

3月8日

図書館近くの公園。日曜日はたいてい子供を見かけるが今日は誰もいなかった。

普段は学習ルームを利用する学生を見かけるが、小中学生は禁止。
フラダンス教室などは開かれるようだ。

婦人服店ではガーゼが売っていると言う張り紙。マスクを自作するのに使うのかもしれない。

子供の居場所は?

こうして街を眺めてみると、休校後、子供の居場所がなくなってしまった気がする。

突然の休校で部活もできなくなり、卒業式も縮小された。図書館には入れないし、学習塾やスイミングスクールなどの習い事も休止。全国では映画館カラオケなどで子供の入場を制限する動きも広がっている。

確かにカラオケは密室でマイクを使いまわすので、ライブハウスなどと同様に感染を広げる恐れがあり、専門家会議でも避ける場所と指摘されている

一方で大人は仕事に出かけ、ダンス教室に通い、スポーツジムで汗を流している。スポーツジムライブハウスでの感染例も相次いでいる。

一斉休校は誰のため?

安倍首相は「何よりも子供たちの健康、安全を第一」と言って専門家の意見を聞かず一斉休校を要請した。

しかし、新型コロナウイルスは若年性の重症化のリスクは低い。

政府の専門家会議は、「若年層は重症化する割合が非常に低く、感染拡大の状況が見えないため、結果として多くの中高年層に感染が及んでいる」として、若年層に対し行動の自粛を呼びかけている。

しかし、「若年層で感染が大きく広がっているエビデンス(根拠)はない」という。

新型コロナウイルスにおいて重症化しやすい中高年への感染を防ぐことは重要だ。そのために休校などの措置は一定の効果があるだろう。

ただし、小さな子供を持つ親は休校になれば子供の面倒を見るために仕事を休まざるを得ない場合もある。人手不足で診療を縮小する病院も出てきた。

近くに親などがいる場合は子供を預けるという選択肢もあるが、それでは新型コロナウイルスに感染しても症状の出にくい子供から高齢者へ感染を広げてしまうリスクも伴う

休校によって別のリスクが発生してしまっているのだ。

そもそも若者に自粛を求めるよりも、中高年がスポーツジムやライブハウスへ行くのを止める方が先ではないか。もちろん自粛を求めるなら、企業や働く人への補償は必要だろう。

今の状態はあまりにも子供に負担をかけすぎていて不公平だ。

自粛にはバランスを

長野県では子供が公園で遊んでいると「休校の趣旨に反する」と学校へ苦情を入れる住民がいるという。これに対し、諏訪中央病院の鎌田実名誉院長は
「密集を避けて手洗いを欠かさなければ遊具で遊ぶのも大丈夫だ」と話す。

地域によっては春休みを含め、ひと月以上休校が続く。家に閉じこもっているばかりではストレスが溜まり、体力が落ちてしまう。

新型ウイルスの感染を広げないために自粛を求めるのであれば、納得のいく説明をし、適切な方法をとるべきだ。

少人数での外遊びや、図書館での予約図書の貸出くらいは認めても良いのではないか。突然の休校で準備不足だった面はあるだろうが、今からでも見直しは可能だ。

日本環境教育学会は3月7日にこのような声明を発表している。



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