映画感想「カラー・アウト・オブ・スペース ―遭遇ー」
結論、チープな部分もあるが、全体的に面白い。グロテスクなシーンもあるので、耐性のない人は注意。
H・P・ラブクラフト原作「宇宙からの色」の実写映画を観ました!
2020年7月に公開されたのですが、自分の住んでいる近くで公開されず…。今回はレンタルDVDを借りて観ました。
今回はホラー映画的に面白いかや作中の小ネタ、観るときに注意点なども書いていきます。一応物語の根幹にかかわるようなネタバレは避けようと思います。
ただ、後半になるにしたがってネタバレが多くなるような書き方をします。最後にはネタバレありの感想も書くので、もしよかったら映画を視聴して読んでもらえると嬉しいです。アマゾンの価格ですが、レンタルするのは現在400円くらいです。
観やすい展開
この映画は原作小説と違う点がいくつかあります。
まず、時系列が違います。原作は貯水池の調査に来た“わたし”が農場で起きた悲劇の目撃者であるアミ・ピアースから過去の話を聞いていく、という流れなのですが、本作は事件を順々に見ていく形になっています。
次に時代です。原作はもちろん、おおよそ100年前のアメリカを舞台にし、1882年の事件を振り返っているのですが、本作は現代アメリカ。テレビ、パソコン、Wi-Fi、スマホなんかが出てきます。
原作にない展開もあります。これは本作のネタバレも含むので語りにくいですが、より分かりやすい恐怖が演出されているなぁと思いました。
これらの改変は人によっては受け付けないのかもしれません。しかし、私個人としては現代に生きる人が観る映画としてはかなりいいと思います。
観るときの注意点
本作品はあくまでホラー映画でショッキングなシーンもあります。一応、こんな描写があるよ、という注意点を上げていきます。ここからネタバレ要素も出て来るのでご注意ください。
▶動物の死
この作品では以下の動物が死にます。
犬、猫、アルパカ。
これらの動物は、可哀そうな感じに死ぬ、というより「死んでた」という感じです。正直猫が死んでたのは意外でした。というのも、ラブクラフトはかなりの猫好きで、黒猫を飼ったり、膝の上に眠る猫を乗せたまま夜を明かすほどだったと言われています。ただ、猫を殺すシーンはありません。
▶グロシーン
この作品では以下のようなシーンがあります
切断、血、銃による死、動物の死骸の山
切断のシーンは割とゴアムービーも観てた私も、うわ…ってなりました。平気な人は平気かも。
▶人によって苦手であろうシーン
粘液が滴る、触手のようなものが無数に蠢く、虫(カマキリ)のドアップ、子供の死、不潔な水、下品な描写(下ネタ)、家族の不仲
小ネタ
本作品では他のラブクラフト作品やクトゥルフ神話体系のワードやアイテムが登場します。タイトルの宇宙からの色はそうですが、他にもいろんな小ネタが登場します。また、僕が気になった本作に出て来る「宇宙からの色」の特徴も書きます。ここからガッツリネタバレありで書いていきます!!
▶水質調査員のワード・フィリップス
彼は農場に水質調査に来た青年です。原作に出て来る“わたし”の立場の人です。これは完全に原作者、ハワード・フィリップス・ラブクラフトから来ていますね。さらに彼は「出身はプロビデンス」と言います。こりゃあ間違いないですね。
しかし、彼はずいぶんと健康的で、ハンサムな男です。農場の若い女の子といい感じになります。これが原作者の補正ですか…。
▶どこかで聞いたことのある土地や名前
なんと天気予報に…「ダニッチ、インスマス、キングスポート」という土地の名前が出てきます。これらはそれぞれ、「ダニッチの怪」や「インスマスの影」「魔宴」といったラブクラフト作品に登場する土地です。
また、語るまでもないですが、本作はアーカムという場所に近い農場が舞台です。アーカムは有名すぎますね…。
ちらっとですが、登場人物が「エイルズベリィの彼女は…?」みたいに言っているシーンもありました。これは間違いなくミスカトニック川の近くに通るアイルズベリィ街道のことですね。(2021月9月8日更新:これ普通にダニッチの先にあるアイルズベリィじゃね?なにが間違いないだ…?)
▶文庫本になってるネクロノミコン
本作ではなんとあの邪悪な魔導書、狂える詩人アブドゥル・アルハザードの書いたアル=アジフの翻訳版「ネクロノミコン」が登場します!なんと綺麗な文庫本です!
皮装丁でもなければ手書きでもありません。いや、そういったものもあるとは言われてますが…。大きさは見た感じ日本のコミックくらいの大きさです。しかも厚さもそれくらいです。どんだけ限定した内容がかかれているんですかね…。
しかも、これをオカルトマニアって感じでもない(母のために儀式とかしちゃうけど)イマドキな感じの女の子が持っています。
▶イマドキクリーチャー
今回登場する宇宙からの色は、非物質的で実体のない、生きる放射能という手の施しようのない災害のような存在です。
こいつは精神汚染してきたり、動物や植物を異形のものへと変形させてしまったりと本当にどうしようもないくらい強いのですが、本作に登場するこのクリーチャーはなんと電子機器や回線にも影響を及ぼします。
現代アメリカにはテレビはもちろん、携帯電話やインターネット回線の通ったパソコンなどあります。しかし、こいつらは使い物にならなくなります。イマドキクリーチャーは外部との連絡を絶ってくるんですね。
クトゥルフ神話TRPGにおいても、グレート・オールドワンの標準装備としてインターネットを使えなくする能力があるみたいなので、もしかすると、超自然的存在達も現代に適応するための努力をしているのかもしれません。
感想
私は結構ホラー映画を観てきた方だとは思いますが、本作はホラー映画としても観ても、クトゥルフ神話関連の映画だからという理由で観ても楽しめる作品だと思いました。結構怖かったです。
しかし、登場するモンスターに人形感(40年くらい前の映画「エイリアン」を思わせるような)があったり、がっつりCG感があったのはうーん…と思いました。一応去年の映画なんですけどね…。
ただ、宇宙からの色の描写や、それにより変わってしまった農場にはかなり力を入れられていたように感じました。また、俳優のニコラス・ケイジの演技(特に後半)は最高でした。
現代で映像作品にするにあたっての改変がありましたが、不快なものではなく、むしろわかりやすく受け入れやすいものだったように思います。
はやく「狂気の山脈にて」も映画化してほしいですね笑
最後に
久しぶりにDVDをレンタルしたのですが、準新作って1週間400円するですね。こんなに高かったでしたっけ?最近は映画をHuLuとかで観ていたので忘れてしまいました。
ラブクラフト作品の映像化もっとしないですかね。僕はそんなに集中力がない人間なので、文章を読んでいるときに他のことが気になってしまって、結局途中で読むのやめてしまうんですよね。
あと、先日発売した田辺剛さんが描いた漫画版「インスマスの影」も読みたいんですよね。書店に売ってなくて…。買ったらそれの感想も書いていこうと思います。また、「狂気の山脈にて」も買ったのでその感想も書いていきます!!
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