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ため息小咄 私だけかもしれない仕事の話

夜道を歩くと
狼男の話を思い出す
満月の夜に、狼になって
人を食い殺す
うろ覚えではあるが、そんな話

介護(施設)の仕事をしていて
利用者のケアに追われる日々
朝から
昼から
夜から

寝たきりの方も入れば
認知症の方
介助が必要な方
いろいろな利用者がいる

働いていて
不思議な感覚に
なることは
ざらにある

ある時は
寝たきりの利用者が突然
体を起こして
外に行きたい
という

またある時は
ニコニコしていた利用者が
鬼の形相で
泥棒と言って
物を投げつける

ほかにも
職員に手を挙げる
突然泣き出す
ずっと寝ている

それが継続するわけでなく
あくる日には
元に戻る

なんとなく
なんとなくだけど
月の満ち欠けが
何かしらの作用を
もたらしているのかな

そう思い空を見上げると
暈をかぶった月が
静かに帰路を照らしていた

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