香りの効能
混雑する街を歩いていると人々の香りがいろいろな事を思い出させる
好き・嫌い、良い香り・キツイ香りも含めて
わざわざ人ごみに毎日行く人が言う
恋い焦がれた人の香りだったり、仲の良い友人の愛用の香りだったり、おじいちゃんみたいな樟脳の香りだったり、おばあちゃんみたいな粉っぽいレトロな香りだったり
生乾きの衣服の臭いや、汗の臭いももちろんある
露店が出てからは少し様子が変わるけれど
以前は自身でも好きでつけていた香水も、何となく嫌になる日があり捨ててしまった
そうなると瓶が可愛かったり、たまにつけると良いなと思っていたものも何となく嫌になり、ふとした時に埃を少しでも被るその姿は、一瞬にして心ときめくものではなくなり、それどころか大事なものに埃を被せて平気な自分の発見というむしろ惨めな気分にさえなり、結局全部捨ててしまった
衝動的かつ激情の人
たまに通りすがりの人のあまりの良い香りに振り返ってしまうほどのこともあり欲しくなる時もあるが、自分好みの物をあれこれ付けて探す労力を思うと気分が乗らない
あと、一着一着香水に浸しているのかしら?くらいの強い香りの人は家の中とか車の中とかどんなことになっているんだろう
以前知人が高島屋の寺町通の入口すぐにある香水売り場『JO MALONE』のを試したいからついてきてと言うので一緒に行った際、韓国人(多分)のカップルが我々とガラスケースを挟んで同じペースで進行するのだけれど、試す量の多い事!
私はもう気持ちが悪くなってその場から離れて待っていたが、いまだに寺町側から入る時その記憶が蘇るので無意識に息を止めている
鼻の息だけをとめて通り過ぎる
香りの記憶や、意識の持っていかれ方はなかなか強烈なものがある
美味しい食べ物の匂いや、心地よい自然の空気のそれやお香の薫りとは違う、人のつける・持つ・放つ香り
昨年、同級生3人で飲む予定が当日、飲んでいる途中ドタキャンで2人で飲むことが決定した時、すぐ来るからとお料理はゆっくり目にしたので食べずにかなりの量を飲んでしまっていた私
奥様の話や子どもの話、音楽の話など盛り上がり楽しかったが、私の方はイケてない紹介話やその前の週に行った『参加を決めて大阪まで行って会費を払った10分後怖気づいて会場から逃げるように帰った独身飲み会』の話を始めたらさらに飲んでしまい、もうそのお店は出入り禁止だろうなと思うくらい酷く酔ってしまった
同級生はそんな私を見捨てずに、雨の中タクシーを拾う間も傘を差し雨に濡れないよう、倒れないよう肩を寄せていてくれた
その同級生が10年以上も前、結婚すると聞いた時、他の友人と『男の子やったんやなあ、おばちゃんかと思ってた』『どこが良かったのか奥さんに真剣に聞きたいよなあ』とか今思えば相当ひどい事を言って笑っていたくらい、異性だとは思っていなかった
けれども、立っているのがやっとくらいのしんどさで意外に頼りがいのある鍛えられた腕や胸にもたれかかりそうになった時、同級生からはとても清潔で清々しい洗いたてのシャツの匂いがした
その途端、べろべろでありながらも、あの奥さんの洗濯した清潔で清々しいこのシャツにもたれかかるわけにはいかぬ、と、何とかその香りを膜のように見立て少しの距離を保ったまま何とか自力で踏ん張りタクシーに乗り込んだ
翌日、絶賛二日酔いのままカラッとした反省と感謝のLINEをし、その次みんなで会った時(6人いる)、『私ベロベロに酔ってしもたんやけど、めっちゃ優しく介抱してもらったんやでえ〜、ありがとね』とみんなに敢えて言うと同級生も『あれくらい静かやと見たことないくらい可愛いもんやったわ』とかノリ良く茶化してくれた
たいしたことないことでも秘密を共有した途端、何かが生まれてしまう危険性をはらむ
飲み会のあとみんなで解散したあと、他のメンバーに全然後ろめたくなく帰り道などの関係でふたりだけで2軒目に行った翌日『あのあとどうした?』の流れになった時、どちらともなく口をつぐんでしまった時の言いようのないあの感じ
こういう時、どちらともなく秘密にすると何とも言えない共有のものが出来てしまって途端に何もなかったのに健全ではなかったような気さえしてくる
真面目だなあ、私って
素敵な奥さんによって用意された清潔に保たれて清々しいシャツの香りによって理性を保つことが出来た
いや、たとえシワシワで臭くてもよろめいたりはせんけれども
酔ってなかったら1ミリも何とも思わへんのにな〜
お酒には飲まれないよう気をつけなはれや、ですね
香水と言うと、あの有名な曲を思い出し、これ聴くとわたくしはこの大好きな曲へ飛んでいく
コンドルのように
(ピアノ習わせてもらってたけどコードが読めないので詳しくはわからないけどコード進行が似てるとかなんでしょうかね)
明日は人ごみも少しシフトし、巡行の道沿いにたくさんの方が来られるかな?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?