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僕たちがやっているのは「今までこうだったから」を壊す仕事 -僕がDXで起業するまでの話-

Marsdyは、「全ての企業の、『誰にでもできる仕事』を0に」することを目指し、日々の数値管理業務を自動化する「AutoDate(オートデート)」を提供しています。DeNAやGunosyでマーケティング・セールスを担っていたMarsdy代表の武藤大揮は、なぜ起業し、どのようにAutoDateを立ち上げたのか。その道のりを振り返りました。


マーケティングコンサルの中でニーズに気付いた

――2018年に、それまで勤めていた会社を辞めて独立されていますが、当初はマーケティングのコンサルティングをしていたそうですね。

武藤 そうなんです。最初からAutoDateの事業で起業したわけではなく、2年ほどはマーケティングのコンサルティングをしながら、どんな分野で事業を興すのがいいか模索していました。

――どんな分野を考えましたか。

武藤 最初はヘルスケアの領域を考えていました。比較的早い時期に母を肺がんで亡くしていたので、病気を予防できる社会にしたいという思いがありました。ほかには、終活に関する領域も検討しました。ユーザーインタビューをしたりと、いろいろリサーチをしたのですが、なかなか難しくて……。

そうしているうちに、マーケティングのコンサルティングをしている中で、日々の数値管理業務にニーズがありそうだとわかりました。

マーケティングでは、売上などのデータを見ながら戦略や施策を決めていきます。日々の数値管理は避けられないのですが、そこで苦労されているお客さまが多かった。それで2020年ごろに、今のAutoDateの原型になるようなサービスを考えて、お客さまに提供してみたんです。

その企業では、数値管理の担当者がいたのですが、業務を整理して、自動化できる部分と担当者が手作業でおこなう部分に分け、手順を設計しなおして効率化したところ、大変喜ばれました。それで、これをサービス化すればいいのではないかと考えたのです。

また、発端はマーケティング分野でしたが、調べてみると、企業の中にはマーケティング以外にもさまざまな数値管理業務がありますから、幅広い分野でニーズがあることもわかりました。

効率的な業務の「型」があっても、それを日々続けることが大変

――「業務を整理して、効率を上げるためのフローを設計する」だけであれば、コンサルティングで終わってしまいそうです。当初からサービス化できそうだという感触はあったのでしょうか。

武藤 確かに、業務を整理して「型」を作るまでならコンサルティングだけで済みます。ただ、実際企業にとって大変なのは「そこから先」なんです。業務効率の高い手順の「型」がわかっても、その型通りに日々の業務を継続することの方が大変です。手順を設計することとあわせ、継続するための「仕組み」も作ることで、サービス化できると考えました。

――AutoDateを最初に契約してくださったのは、どんな企業でしたか。

武藤 社員が30~40人の、回線営業をおこなう会社でした。商談情報を管理するためのSaaSツールを使っていて、営業担当者も細かく記録を入れているのに、せっかくのデータがほとんど活用できていなかったのです。

商品数が非常に多く、商談フェーズも複雑で細かいので、どこをどうすれば営業のパフォーマンス状況がわかるデータが得られるかが、わからないという状況。そこで、僕がお話を聞きながら、「このデータを掛け合わせて、この数字を見れば、どれくらいの商談がうまくいっているのか、どこで歩留まりが発生しているのかがわかるのでは」と、ホワイトボードに書いて説明したところ、その場で受注をいただきました。

そこで説明した通りに業務の型を作り、自動化できる部分は自動化し、手作業が必要なところはAutoDateのオペレーターが作業をして、必要な情報を納品する仕組みを作りました。

「数字を経営に活かしたい」ニーズと現状にはギャップがある

――SaaSが一般化し、テクノロジーは進化しており、業務効率化のためのツールはたくさん生まれています。そんな中で、AutoDateが企業に喜ばれているのはなぜでしょうか。

武藤 DXを推進するためのSaaSツールはたくさん出てきましたが、そもそもSaaSは、ユーザーの業務の方をSaaSに「合わせる」という発想で成り立っています。そこにはまらない業務はどうしても残ってしまうので、そこは手作業で対応するしかありません。

一方、デジタル化が進み、さまざまなデータが取得できるようになってきていて、それを活用して意思決定していこうという考え方も浸透してきています。「数字を事業や経営に活かしたい」というニーズは高まっているのに、「どのデータを使えば役立つ数字が得られるのかわからない」「数字を得るためには複数のSaaSを誰かが操作して、組み合わせたり加工したりする必要がある」といった課題を抱える企業が本当に多い。特に中小企業は、人手もリソースも足りず、非常に苦労しています。

AutoDateはそこを解決できます。テクノロジーを活用して自動化できるところは自動化しますが、人の手も加えることで複雑なアウトプットも作れるというところに新規性があり、そこがお客さまには喜ばれています。

「数字で“判断する”こと」を叩き込まれた

――ご自身でも、日々数字を追い、事業や経営に活かす経験はされていますか。

武藤 それはもちろんです。

僕はずっと起業したいと思っていて、若手でも新規事業をどんどん任せてもらえるのではないかと考えて新卒でDeNAに入りました。ただ、誰もが新規事業開発の部署に行けるわけではなく、僕が配属されたのはWebマーケティングの部署でした。

振り返ると、それがとてもラッキーでした。ここで、どうやって課題を見つけて解決し、ユーザーに喜んでもらうか、といったマーケティングの基本を学びました。そして、数字を「追う」というよりも、数字で「判断する」ことを叩き込まれました。

「なぜこのサービスを提供するのか」「なぜこの価格なのか」「なぜAというやり方が良くてBというやり方ではないのか」など、データを見ながら判断する。勘で判断してはいけません。すべて、根拠を示しながら説明できなくてはなりません。周りの超絶優秀な人たちにボコボコにされながら鍛えられました。

Gunosyで「組織」を学んだ

――DeNAの後、ニュースアプリなどを手掛けるGunosyに移りました。

武藤 起業する前に、小規模な組織を大きく成長させる経験をしたいと考えました。DeNAは大きな組織でしたが、Gunosyは当時まだ社員30人弱。僕が入って数ヶ月後に東証マザーズ(当時)に上場していて、社員は少ないながらも管理系の仕組みは整っていました。急成長していて、僕が入ってからも、社員が毎週10人くらい増えていました。

――Gunosyではどんな仕事をしていましたか。

武藤 職種はセールスです。ネットの広告商品のセールスなので、前職のWebマーケティングと重なる部分は大きかったですが、DeNAではやったことのない職種でした。ここでも引き続き数字を追いかける日々でした。

結局Gunosyには4年弱いましたが、後半2年間はマネジメントもやっていて、最大15人くらいのチームを見ていました。

Gunosyは、入社したころ30人弱だったのが、4年間で約250人になりました。組織が大きくなると、どうしても階層が増え、誰かの上に誰かが立つことになるので、不満も生まれてきます。「組織」についてめちゃくちゃ考えたり、議論したりしましたし、小さな組織を大きくスケールさせていく経験ができたのは大きかったです。

アイデアを育て、多くの人に喜んでもらいたい

――起業したいという気持ちは、いつごろから持っていたのでしょうか。

武藤 「自分で考えたアイデアを育て、多くの人に喜んでもらいたい」という思いは、小さいときから持っていました。それがさらに明確になったのは、大学3年生から4年生までやっていた、インターンの経験が大きかったです。

ECのベンチャー企業だったのですが、新規事業の立ち上げを任せてもらい、人を採用するところからすべて担当したのが、最高に楽しかったんです。

今思えばそれほど大きくはなかったのですが、ちゃんと売り上げもあがって、ユーザーからのフィードバックもあった。自分が主導して立ち上げたものが、お客さんに喜ばれ、マーケットで評価してもらえたのがとてもうれしかったんです。

それでまずは、新規事業を次々に自分でリードできるところ、そうした“筋肉”がつきそうなところに就職してスキルや経験を積んだうえで、いずれ起業しようと思いました。

――それでDeNAやGunosyに入ったのですね。

武藤 そうです。結局、DeNAの3年弱、Gunosyの4年弱を経て起業しました。DeNAで身に着けたWebマーケティングがきっかけで、数値管理に関わるニーズに気付きましたし、Gunosyでは、組織のスケールアップを学びました。当初思っていたよりも、起業するまでに時間はかかりましたが、結果的にインターンやDeNA、Gunosyの経験のすべてが繋がってMarsdyが生まれ、AutoDateというサービスが生まれたといえます。

ビジョンを実現するために、生み出すインパクトを大きくしたい

――将来、Marsdyを大きな会社にしていきたいと考えていますか。

武藤 はい。大きくせざるをえないと思っています。

AutoDateの事業をやり始めて、あらためて、ムダな事務作業に困っている企業が本当に多いことを痛感しています。

労働の担い手となる生産年齢人口は減少していて、「人手不足」に困っている企業は本当に多い。企業の「やりたいこと」に対して、「人」が足りていないのに、業務にムダが多すぎるのです。そしてそれを取り除くと、すごく感謝されます。

世の中のすべての会社から、こうしたムダな事務作業をなくすためにも、会社を大きくして、生み出すインパクトを大きくしていきたいです。

「本質」のためなら僕の言うことを無視してもかまわない

武藤 今はまだ、「社内にムダな事務作業がある」「この業務をなくしたい、アウトソースしたい」というニーズが顕在化している企業に向けてAutoDateを提供しています。

しかし実は、「ニーズが顕在化してはいないけれど、潜在的なニーズを抱えている」という企業はもっと多い。「特に課題はない」と思っている企業も、「この作業を、本当に人にやらせていていいのか?」という視点で業務を見ていくと、実は課題がたくさんあるのではないかと思うのです。

貴重で優秀な人材が売上データをまとめるルーチン作業をしているけれど、本来はもっと、売上を生み出すような仕事に時間を使ってもらうべきなのではないか。そうすれば、その人も、もっと楽しく仕事ができるのではないか。もっとそんな視点で社内を見渡してほしいのです。

――Marsdyとしてそれを実現するためには、どんな人に来てほしいですか。

武藤 僕たちがやろうとしている「全ての企業の、『誰にでもできる仕事』を0に」するというのは、「今までこうだったから」を壊していく仕事でもあります。「誰かに言われたからやる」のではなく、本質的な目的を見極めて、それを実現させるためには何をしなくてはいけないのか、何を変えなくてはいけないのかを判断して仕事に当たれる人に仲間になってほしいです。それをするためなら、場合によっては、(代表である)僕が言ったことを無視してくれても全然いいので。

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