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どんな経験でも、いつか役に立つ時が来る

社会人1年目の自分。思い出すのも恥ずかしいくらい、劣等感とプライドの塊だった。

僕は就職活動で失敗をしている。映画に携わる仕事がしたくて、クリエイターを輩出する企業を志望したが、面接で落ちてしまい、目標を見失った僕は、就職浪人の道を選んだ。

周りが続々と内定をもらう中で、コミュニケーション下手な自分が、 行きたくもない会社に御社が第一志望です、と言う自分に嫌気がさしたのも理由の一つ。要はうまくいかない現状に向き合えず逃げたのだ。

1年後、希望する会社には、3次面接で落ちてしまったけど、何とか小さな映画製作会社から内定をもらう事ができた。

当時のホラー映画ブームの先駆けとなる、リング・らせんをヒットさせ、映画業界では異例の成果報酬制度を取り入れた会社だったが、入社してからは、ここで詳細を書くのをためらうくらい、めちゃくちゃな会社だった。

上場はしていたが、
新入社員から見ても資金繰りに苦慮していた。時には怖い人が来て警察沙汰にもなったし、
お前の所が払わないとうちの会社は潰れるんだ!と罵声を浴びた。

人間のエゴ、汚さ、不誠実さ、欺瞞など1年いただけで、もう十分なくらい嫌な事は見てきた。数年後、社長は株価操作で捕まり、仕えていたプロデューサーは別事件で詐欺容疑で逮捕された。とにかく、上に行けば行くほどまともな人がいない会社だった。

当時はADで大した経験も積む事ができずに、何のスキルも能力もなく、会社の現状を変えるには、あまりに力が足りなかったが、せめて自分の取引先には迷惑をかけたくないと、毎週のように社長室に直談判をした。

それでも、お世話になった監督さんの映画が公開できない事が決まり、会社として誠実な対応ができない事に苛立ち、何も貢献できない自分に失望し、入社して1年で辞めることを決意した。何の自慢にもならないが同期では一番早く辞めることになった。

辞めることを会社に告げると、総務からは、ここにいても未来はないから、早く決めるのは、良い決断だとか、法務の方には、こんなところにいたらダメになるから、その方がいいと、誰一人として止めるどころか、転職をすすめるような環境で、事実、3年経つとほとんどの社員がいなくなった。

僕はこの映画会社を1年で辞め、アニメ製作会社に転職をした。ライセンスの営業をしたが全くもって、案件を取ることのできない営業だった。明らかに適性がない。契約社員ということもあり、心が病んでしまう前に、半年で退職をした。1年半で2社、会社を移り、続かない。また現状と理想のギャップに悩み、逃げることを選択した。

大学の同期は着実に能力と給料を伸ばし、劣等感に悩まされた。

僕は4ヶ月ほど無職になり、その間、一人旅をしたり、誰も知り合いのいない場所で派遣仕事をして食いつないだ。昔の友人とも会わす顔がなく、心に空いた穴を埋めるように、毎日のように映画や本を読んで過ごしていた。

新卒から2.3年、社会人にとって最も重要な時期とも言われている。いかにハードワークをこなすか、成長できる環境で働けるか。尊敬できる上司に出会えるか。

だけど残念ながら、僕には何一つ経験できなかった。新卒から2年間を空白の2年間と位置づけ、心底スキルや能力を身につけられないことに後悔をし、30代に入ってからも引きづってしまう有様だった。

ただ、最近になり、ようやくこの2年間で経験した事を後悔することはなくなった。

何のスキルも能力も身に付かなかったかもしれないけど、早い段階で失敗を経験することができたし、無職の間に、とことん自分と向き合うことができた。

僕に必要なのは、どうしたら他人によく見せられるかを磨くより、自分は何がしたいのか、どんな事ならできるのか、どんな事は許せないのかを、明らかにすることだった。

僕は社会人になって5社も経験をしている。大学の友人は新卒で入った会社にずっといる人も多い。今でこそ転職は当たり前になったが、1年半の間に2回も会社を辞めているし、転職回数が多いことから、ジョブホッパーと揶揄させることもあった。

正直、心ない一言に傷つくこともあったが、過去の自分は変えられない。ジョブホッパーで忍耐力のない自分を蔑むのではなく、むしろ過去の経験をどう解釈するか。解釈の仕方を変えてみると、別の見方もできるようになった。

周りから見れば、僕の働き方は、器用ではないし、まわり道しかしておらず、全く持ってキャリアの参考にもならないと思う。

だけど、無駄だと思われた1社目の経験が生きることもある。

例えば、僕は今メーカーなので、時には版権を持つ会社と商談をすることもあるが、版権を持つ会社で働いていたので、相手が何を望んでいるか、契約上何に気をつければ良いかがわかる。

それからこの映画会社の同期や先輩と話すと共通しているのが、当時付き合ってた人達があまりに濃すぎて、どんなにクセのある人でも、当時の人達と比較すれば、全然普通な人として接することができる。

まあ、これくらいなんですけど笑、どんな経験であれ無駄になる事は何一つないということと、自分に合う仕事をこの先見つけられるかの方が大事で。

新卒で入った会社で躓いても、いくらでも人生は取り返せるし、新卒で入った会社が違うかもと悩んでいる人は、自分の内面を見つめ直すよい機会だと思う。

良い会社か、自分に合った会社かどうかは入ってみないとわからないし、真っ直ぐなキャリアでないからといって、嘆くことはないと思う。
人生100年時代と言われる中で、躓く時期がない事の方が、逆に脆さを感じてしまう。

社会人1年目の私へ。社会人1年目で経験したことは無駄にならないし、社会人2年目より3年目、5年目より10年目と、歳を重ねる毎に仕事は楽しくなります。苦しい時も楽しいと感じられる仕事をこれからもしていきたいと思う。

#キャリア #社会人1年目の私へ








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