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中国でいま知財で起こっていること「中国知財の侵害の賠償額が、およそ26.5倍になった!」

中国特許法の第 4 次改正法の内容が、2021 年 6 月 1 日の施行が始まりました。
もう4回目になりますが、12 年ぶりの特許法改正となります。
いま、中国では、知財大国のアメリカに劣らない知財の保護が開始されています。
もうすでに、知財は、日本が中国に遅れている分野になりつつあります。
分かってきた内容を以下にまとめました。

何と言っても、懲罰賠償の本格スタートが今回の目玉!

先ずは、特許関連について、ですが、何と言っても、懲罰賠償の本格スタートが今回の目玉です。
西側諸国でもアメリカやイギリスの3倍の賠償額が、最も高額なのです。
でも、ベースになる賠償額が低かったらしょうがないですよね。
その点も、今回の改正で引き上げられました。

特許権の保護が、ものすごく手厚く行われるようになりました。
この特許法とは別に、今回は不正競争防止法も大幅に改正されており、実際の競争行為について、かなりキビシイ罰則や保護が行われることとになっています。
一部の地域では、実際に6月の施行に先立って、すでに新法が適用されている案件もあり、今年の3月ころから、高額の損害賠償金の判決がいくつも出ています。

懲罰賠償について、『故意の専利権侵害について、情状が重大である場合、上述の方法で確定した額の1倍以上5倍以下で賠償額を確定することができる。』ことが追加されました。
これは、非常にインパクトのある引き上げです。

法定賠償額の上限の引き上げも!

法定賠償額が、「1 万元以上 100 万元以下」から「3 万元以上 500 万元以下」に改正されました。
日本円で、52万円以上 9000万円以下になりました。
これに、最大で5倍の賠償金になりますので、260万円以上 4億5000万円以下の賠償金になります。
改正前は、最大で100 万元以下(1700万円)でしたので、侵害による賠償額が、およそ26.5倍になりました。

損害額の算定も権利者有利に!

「賠償額の確定順序、懲罰賠償、法定賠償額の上限の引き上げ、帳簿など提出命令 (改正法 第 71 条)」では、現行の特許法の『権利者が権利侵害によって受けた実際の損失』、『権利侵害者が権利侵害によって得た利益』の順番で適用されることが変更になりました。
すなわち、いままでは、実際の損失の確定が困難な場合にのみ、侵害者が得た利益が適用されるのです。

中国版ディスカバリー!!!


また、帳簿など提出命令も可能になりました!
これは、中国版ディスカバリーです。
人民法院は、侵害者に帳簿などの提供を命じることができます。

侵害者が提供しない又は虚偽の帳簿などを提供した場合、人民法院は権利者の主張および提供した証拠を参考にして、賠償額を判定することができます。
これも、アメリカのように強硬に適用されるかどうか、が焦点になります。

ライセンシーを探すために、新たなルートが!

「オープンライセンス (改正法 第 50~52 条)」は、今回の改正で新たに導入されたもので、日本企業必見です。
実際の使い方については、これからの実際のニーズを見て判断する必要が、もちろんあります。
まず、特許、実案、意匠のいずれかのライセンスアウトの意思のある権利者の知財について国務院専利行政部門が公告を行います。

この改正により、ライセンシーを探すために、新たなルートが提供されることとなります。
オープンライセンスの権利について、権利者に年金の減免が認められま動機づけ支援になります。

ロイヤリティレートなども自由に設定して、広くライセンシーを公募することができます。
上手く話し合いが行えない場合は、国務院専利行政部門が調停をしてくれます。
これにより、オープンライセンスが中国でも進む可能性があります。

訴訟時効が伸びた!

「専利権侵害の訴訟時効 (改正法 第 74 条)」にて、訴訟時効が2年から3年に改正されました。
2021 年 1 月 1 日から施行される民法典などに合わせた改正です。

一方で、権利の乱用も世界基準に!

「専利権の濫用に適用する独占禁止法 (改正法 第 20 条)」は、今回の改正で新たに導入されたものです。
目的としては、著作権法、商標法等の関連知的財産権法律及び世界貿易機関のTRIPS 協定等を参照しています。



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