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脚光を浴びている、ベトナム特許庁による判定制度

ベトナムでは、知的財産権に関する消費者の意識の低さや、海賊版の横行等の商慣習から、知的財産権の侵害が広く容認されています。
さらに、元関係者による冒認商標の登録が、後を絶ちません。

乗っ取られる日本の有名ブランド

多くの日本企業の名前やマークが、ベトナムの現地の人に商標登録されています。
日本企業は、知財のコストを、過去20年以上に亘り、減らし続けてきたので、外国での権利取得や維持に消極的でした。
そして、いま平均所得が高額化した中国から、未だに安かったベトナムへ、世界の工場のポジションが徐々に移りました。

これにより、ここ5年で、ベトナム国内の所得水準が上昇しています。
日本へ労働ビザを取得して帰国したベトナム人も年々増加しており、このような人たちは、日本の製品の良さを知っているので、日本製を購入するんですよね。
品質の悪いベトナム製は、もはや彼らの要望には沿わなくなってるんですね。
さまざまな理由があるのですが、商標の冒認登録のベトナムのトレンドは、止まりそうにありません。

実効性の無い不正商標の取下げ制度

でも、ベトナムでも、不正な商標の取り下げ審判とかの対抗措置はあるはずでしょ、と思いますよね。
多くの日本企業も、同じように考えていて、不正な商標の取り下げ審判をベトナムの特許庁に申請しています。

しかし、外国のみで有名だと、なかなか取り消しの判断を得られないのが現状です。
ベトナム国内で有名であることを証明しなければなりません。
しかも、審判には、少なくとも3年くらいは掛かってしまいます。
そして、勝訴しても、すぐに正当な権利者でも登録はできず、5年間待たなければ、自らの商標を登録申請できません。

つまり、結局のところ、8年以上は、ニセモノ品の販売は止められないのです。

八方ふさがりなのか?

このような状況で、ベトナムでいま脚光を浴びているのが、ベトナム特許庁による判定書です。
日本でも、判定制度というのはあるのですが、法的に拘束する力がないので、ほとんど使われていません。
しかし、科学技術に関する研究開発の他に、知財に関する調査をVIPRIという関連機関が実施している判定には、法的な拘束力があるんです。

知っておくべき、ベトナムの判定制度

VIPRIは、侵害事件や行政執行を行う前に鑑定書の作成も行ってくれます。
鑑定書は裁判所や行政執行機関に証拠として採用される可能性が高く、過去10年で5000件の鑑定書を作成しており、法的拘束力が認められています。
つまり、鑑定書を先ず取得して、その後、裁判所あるいは行政執行というアプローチが増えて来ています。

このアプローチを、日本の大企業は、ほとんど知らないので、是非、知っておくべきでしょう。

ベトナムでは、知的財産権に関する消費者の意識の低さや、海賊版の横行等の商慣習から、知的財産権の侵害が広く容認されています。
さらに、元関係者による冒認商標の登録が、後を絶ちません。
このような対応に、判定書を活用するのが有効だと思います。


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