モラハラ夫から逃げた後。家族の強制終了
私は確かに未練があった。
夫の家族のことを大切に思ってきたし、皆さんを尊重して、お互い助け合って、沢山の楽しい時間も過ごした。
何度も料理をふるまってパーティーしたし、レジャーにも行った。
子どもたちのことも愛情を注いでもらったと言える。
でも、あの時。
もう関わるのはおやめなさい!!とばかりに、何か見えない力にぐいぐい背中を押されて、急に家を出ることとなった感覚しかない。
偶然の連続。
通学のために別居先は近くのアパートに契約しようとしていた。その契約の日に、引っ越し先は市外にするように色々な人から言われる。
義母のためにもそばにいたかったので、近くのアパートにしていたけれど、これは断る他ない。そんなサインに思えた。
結果的に、その後の夫の攻撃を考えると、あんな近くに住むなんて一日も安心して暮らせなかっただろう。
モラハラ加害者の執着を甘く見ていた。
あの日。
すぐに、今日にでも決行しないと心身ともに限界だと思った、あの日。
3人の友人たちが力を貸してくれて、助けてくれた。
一人は私と子供たちを一晩家に泊めてくれ、一人は仕事で必要な携帯の名義を貸してくれ、一人はその日にスーパーでばったり会って、でもでもだってと迷う私に素晴らしい助言もくれた。
命を助けてもらった思いだった。
脱出に成功して、羽が生えたような爽快感、大切なものを失った喪失感、子供に対する罪悪感。
物が足りなくてバタバタする毎日。
いろいろと思考が忙しかったし、よく泣いていたのを覚えている。
新たなアパートが決まるまで、離れた地域でホテル生活をしていた。仕事をしながら、レンタカーでホテルから子供たちの学校までの送り迎え。
沢山のメールやラインが、義母との連絡手段にと残した母の携帯に届いた。
夫からの謝罪の嵐、そして、こちらが反応しないのを不満に思ってか、脅迫に変わっていく。夫に影響された義母も、すっかりと私を憎み、ひどいことを電話越しに怒鳴りつけるようになった。
終わりなんだ。
優しかった義母とも、終わりなんだ。
その事実が寂しくて、辛くて。夫への未練よりも義母との関係の終わりが悲しかった。こんなことを言われて、元に戻れる関係なんてないだろうと、そのくらいの言葉だった。
初めてスマホで無料のタロットカードを引く。
死神のカードの逆位置。
意味は強制終了だった。
私の中の執着を捨てる。それが答えだった。
その後、何度かそのタロットを引いてみた。死神の逆位置が何度も出る。問題が解決していくというようなカードも。
占いというものをあまり信じていなかったけれど、タロットだけは偶然の産物であり何かしらのメッセージだと思っていた。
終わることができる。解決することができる。
それは希望の光に思えた。
フラッシュバックに苛まれ、食事が喉を通らない。
不思議とお客様に施術すると食べられた。仕事が助けになっていた。
相手側からのメールに一切返信を返さず、行政の担当の人に相談したり、どうしても不安で辛い時は、助けてくれた友人たちが話を聞いてくれた。
周りに甘えることに決めていた。
今まで辛いってことをひた隠しにしたせいでこんな事態になったのだから、この際全部、内側の思いを開いてしまおう。
ホテル生活の中、子供たちの学校を休ませて一緒にアパートの内見に行った。
母も一緒だった。
不動産会社にも事情を伝え、内見の担当を女性にしてほしいことを伝えた。
物音を大きく立てがち、大きい声を突然出しがちな男性の担当さんのことが怖かったからだ。
離婚歴のある優しいきれいな女性スタッフが内見に連れて行ってくれた。それまでも何軒か見てきたけれど、その日で決めたかった。
子どもの希望は自分の部屋を持つこと。
私は義実家の人が使う線の電車に子供たちが極力乗らないこと。
その日、5軒ピックアップして、5軒目。
条件にあった、子供たちが気に入る部屋に出会うことができた。
入居の日は快晴だった。
足りないものが多いけれど、一緒に掃除をして、「ここが実家!」とか繰り返す嬉しそうな子供。
寝られるだけの準備をして、近くのファミレスでお祝い。
手伝ってくれ、ご馳走してくれた母にお礼を言って見送り、アパートに戻ろうとしたとき。
「なにあれ!見て!」と上の子に言われる。
アパートの部屋の灯りのところに、3匹のヤモリ。
うち、1匹は色があまりにも白い。
灯りに照らされて、ピンク色に見えるくらいだ。
みんなで感動して大騒ぎした後、部屋に入る。上の子が私のスマホで何やら調べている。
白いヤモリはとんでもない吉兆だというのだ。
別居をやり遂げた達成感、これからのやること、頭の中は忙しかったけれど。間違った道は進んでいないよ、と言いたげな白ヤモリにどんなに心が救われただろう。
そしてこの日まで私を動かし続けた見えない何かの存在に、確信のようなものも感じていた。
これは私だけで成したことじゃない。
沢山の周りの人の思い、見えない存在からのメッセージ。守護。
あるわ。これ。
ここで、このアパートで。
私と子供たちの幸せは始まる。
きっととんでもなく幸せになるんじゃないだろうか。
そんな予感に胸を躍らせた引っ越し初日だった。
今、モラハラに遭って辛いあなたへ。
引っ越しから半年以上が経っています。
元夫は何もくれませんでした。調停を無視し、婚姻費用も、養育費も、財産分与も。元夫が払っていくと宣言しておきながら、勝手に解約されようとしている学資保険。子供の口座を弁護士から伝えてもらいましたが、あまり期待はしていません。
私はあらゆる不必要な執着を捨てることに成功しているのかもしれません。
何よりも子供たちと暮らしていくための、心の平穏を第一に選びました。
あの時、大幅な人間関係の断捨離をして、今は良い縁がめぐってきていると感じます。
就職が決まり、不安もありますが、できる、と信じるほかありません。
家を出てからいままで、それで事態を好転させてきたので、自分を信じることを始めて本当によかった。
あなたには自由が待っています。それを受け取る価値があなたにはある。
相手の思いばかりに心を向けないくていい。勇気が出ないことを責めなくてもいい。
助けてって、言っていい。自分の話を聞いてくれる人にちゃんと甘えてください。
これがこうなったらこうしよう、これがこうじゃないからできない。
それより。
今、どうしたい?
今、どうなったら楽になる?
親友にするように、あなたに優しくしてあげて。
あなたの未来を選ぶのは、自分自身だけ。
あなたが私の拙い文章から得られたものがあるとしたら、あなたのために私に書かせている力が働いていると思います。
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スピ寄りでごめんなさい。
自分にはできないって、シンプルに思い込みかもしれません。
あなたはもう充分、頑張ったと思いますよ。
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