私の扉を開いてきた書籍10選
1.ひさの星/岩崎ちひろ
小学校一年生の時に読書感想文で賞をとって、自分は国語が得意!とアイデンティティを獲得した一冊。
絵本自体は誕生日プレゼントに父が買ってくれたもの。物語は美しいけれど、自己犠牲を賛美しすぎていてあまり好きではない。
2.南総里見八犬伝/曲亭馬琴
小学生の頃、年に2~3日は「明日、休みまーす」と言って休む子だった。体調が悪いわけではないので完全にズル休みなわけだが、割と寛容な親だったので許容されていた。
小学校三年生の頃もズル休みをかまし、ゴロゴロとNHK教育を見ていた。
その時にたまたま放送されていたのがスーパー歌舞伎「南総里見八犬伝」だった。そこで歌舞伎にはまらず、物語にはまった。戦隊モノな雰囲気もありつつ時代劇で、長編の物語。
帰宅した母に熱弁すると翌日にはポプラ社の古典文学全集から「里見八犬伝」を買ってきてくれた。面白いと思った舞台に原作があり、文章で読める。好きなものが繋がっていく感覚も味わった。
この頃から下手くそな漫画を書き始め、中学生からは小説を書くという創作沼に沈むことになる。
3.深夜特急/沢木耕太郎
中学生の頃、大沢たかおの『劇的紀行 深夜特急』を見て、原作に行き着く。TV版も「ドラマなん?それにしては演技っぽさ無いんだけど、マジでこの俳優さんが旅してるん?」と不思議に思ってみていた。
将来はバックパッカーになる!英語めっちゃがんばる!と思ったけど、中2の英語で挫折し、大学生の頃には自分の帰巣本能の強さを自覚し、社会人になって行った台湾の占い師に「自宅を二週間以上離れると病気になります」と言われ、私と対極の生き方なんだろうと飲み込んだ。
4.春の野原、満天の星の下/銀色夏生
90~00年代の文系が好きな中学生は図書館で銀色夏生に出会うのはセオリーじゃない?
正直、詩はあまり記憶にないけど写真と文学の合せ技ステキってなって、空の写真でフィルムを消費しまくっていた。現像した空の写真にペンで詩を書いたりしていた。
5.燃えよ剣/司馬遼太郎
新選組もだけど司馬りょの文章のかっこよさに痺れていた。
上洛前の、袖に江戸の血が~ってくだり今でも大好き。
文章にかっこよさがあるって知った。
6.スワロウテイル/岩井俊二
原作よりも映画だけど、原作も買った。
高校生くらいの時の深夜放送の映画で見て、猥雑さという魅力に目覚めた。
キレイにまとめないストーリーも私には新しく映った。
円都という現実にありそうでない舞台を作り上げる過程も面白かった。物語の舞台を練り練りするのが楽しくなった。
7.ますの/枡野浩一
大学生の頃に活字倶楽部かダビンチの短歌特集とかがあったのかな。それでこんな短歌あるのか!とびっくりして歌集を購入していた。
短歌のリズムはこの頃から好きだなーと思っていたけど創りたい欲はなかった。この頃は物語書けてたからな。
文章のリズムが気になりだした。
8.ブラディ・ドール/北方謙三
大学生の頃。二次創作沼に到達したし、この頃に私のインターネッツ文明が開花した。
9.たのしい路上園芸観察/村田あやこ
令和になってからSNSで村田さんが発信する「路上園芸」という言葉に出会い、自分の好きな景色に名前をもらった。好きな景色がより鮮明になったし、どんどん形ができてきた。
植木鉢や植物から感じられる、人が生活している気配を味わう行為の愛好家がたくさんいると知って嬉しかった。
10.断片的なものの社会学/岸政彦
これもSNSからたどり着いた一冊。
読んだ時に自分の視点と同じ視点を持つ人がいる……!と歓喜した。
ふと見上げた建物の窓から、エレベーターに乗ろうとしてる人の後ろ姿を見て、それを確かに見ている自分と見られていることを知らない人が存在しているのを書き起こす人がいる。
自分の中のぼんやりとした感性がどこからくるのか、何を見て心が動いているのか教えてもらった本。