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スティーヴ・ライヒ『18人の音楽家のための音楽』を聴く

スティーヴ・ライヒが大好きである。

どれぐらい好きかというと、まあ、ベタな喩えになってしまうが、無人島に一枚だけCDを持っていくならば、スティーヴ・ライヒのCDをおそらく選ぶぐらいに好きである。

……このたとえも、おそらくもうそろそろ通じなくなりますね、サブスクの時代になってしまっては、わかりにくい喩えです。

閑話休題。

で、最近、YouTubeで見つけた次の演奏動画を繰り返し繰り返し視聴している。

スティーヴ・ライヒの代表曲のひとつ『18人の音楽家のための音楽』。

スティーヴ・ライヒの別の楽曲の録音も残している「eighth blackbird」という音楽グループによる演奏。クレジットや映像によると、2011年にシカゴの野外のステージの演奏のようだ。

この演奏がとにかく素晴らしい。楽曲がもともと持っているグルーヴ感に、さらに演奏者たちが持つグルーヴ感が上乗せされるように、繰り返されるサウンドの中で熱を帯びていく。

一箇所、明らかなミスもあるのだけれども、それすらもライヴの臨場感を演出するパーツへと変貌していく。

演奏者たちの演奏の様子もうまく撮影されていて、どうやってこのサウンドが創り出されていくかがよくわかる。

会場の雰囲気も素敵だ。全員がかしこまって聴いているわけではなく、いい感じにゆるく身を委ねて聴いている。中には歩き回っている人もいる。ミニマル・ミュージックの楽しみ方としては理想的な空間だ。

この映像は、これを撮影した映像作家のAlaric Rochaのチャンネルにアップされている。このAlaric Rochaの撮り方が素晴らしいのだろう。

ライヴ演奏というのは不思議なもので、時として、既存の曲だしこれまでに世界中で何度もいろんな人が演奏しているような楽曲であっても、まるで、いままさに、ここで、その音楽が初めて世界に解き放たれたかのような演奏が立ち現れる時がある。

この動画での『18人の音楽家のための音楽』はまさにそのような演奏だ。無人島行きのチケットを賭けてもいい。

動画の再生時間は約1時間。せわしない日々であろうとも、どうか一度、この演奏に身を委ねてもらいたい。心からそう思う次第である。

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