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「まいつき短歌祭」第6回の自由詠から「推し短」を選ぶ

歌人・武田ひかが主催をつとめる「まいつき短歌祭」。今回が最終の第6回で、私も初めて応募してみた。今回の選者は歌人・千種創一。特賞の副賞が今や入手困難を極める千種創一の『砂丘律』というのが最高である。

さて、この企画のスピンオフ企画として、現在「推し短」を決める企画が進行中である。自由詠部門と題詠(お題:炎)部門に応募された短歌それぞれから、好きな短歌を好きなだけ選んで、それにハッシュタグ「#まいつき短歌祭」「#推し短」をつけて呟く、というものだ。

企画についての詳しい説明は、武田ひかのこちらのnote記事に詳しい。応募短歌をまとめたPDFファイルもこちらで閲覧できる。

というわけで、まずは自由詠部門に応募された171首から、15首好きなものを選んでみた。こういう時に、どういう短歌を選ぶかで、歌人としての力量も知られてしまう気がして、実は緊張する。が、まあ、初心者中の初心者が思うがままに選んだ、ということでご勘弁いただきたい。

なお15首の中でも一番好きだった短歌は、先ほどTwitterでも書いたが、自由詠77のこちらである。中学や高校を卒業した後で母校を訪れた時に自分にも身に覚えのあるリアリティだ。

77. 上履きじゃなくてスリッパ履かされて卒業しちゃったんだと思う

そして、残り14首はこちらです。私なりに選んでみました。自由詠124の「ともだちをした」っていうフレーズにはちょっと痺れるものがあった。それから自由詠114の叫びのような短歌もすごいと思う。

5. 一学期ここがいちばん空に近い教室だって最初に気づく
31. 日が暮れてもう僕は僕、君は君、花屋の人は花をしまって
33. 本当の日誌を入力するように駅のピアノを叩く先輩
35. 再現の熊がCGまるだしでそういう風に私は怒る
41. 汗ばんだあの日の夏を秘めたるは昭和49年の硬貨
66. それでも、と顔を上げてみた窓の外降り出す雨は喝采だった
84. ぼくたちがいつか死ぬことトーストをかじるあなたが側にいること
101. 日本語にない発音で読み上げるときはそちらの神を信じる
110. しばらくは留守にするけど知恵の輪に飽きたら窓を開けな 夏だよ
114. いふことをきかぬ機械を撫でてゐるひとの子どもに生まれたかった
124. ぼくたちはアロンアルファでくっついたかけらのようにともだちをした
137. ここは海ここは砂漠と右の掌が徐々に広げてゆく君の地図
165. ビルがビル映し増幅する街は長雨を呑む飽きることなく
166. すぱたたた、向かいの鳩が飛び立って羽の模様が意外でしたね

もちろん、171首のなかには自分が詠んだ短歌も含まれている。愛着はあるが、うーん、他の方々に比べると、贔屓目に見ても受賞はないな、と思ってしまう。

さて、歌人・千種創一はどれを選ぶのだろうか。楽しみである。

題詠部門の「推し短」の記事は明日にでもアップします。


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