見出し画像

ブランチとコヒーレント (33)

2023年5月のブランチ (2)

仕事が慌ただしくなり身動きが取れない。というか、今までが自由過ぎたのだろうか。皆の目にも触れなくなれば誰も気にしなくなって消えていくのは世の常で、それは悲しいなと思いつつも仕方ないと思い始めてきた。これがこのお話の結末なのだろうか。

そしてここ数ヶ月、ねこさんを観察している内に寧ろ自分に視点が移ってきて、何やってんだ自分、と思う様になってきた。こう思う事は過去に何度もあって、その度に軌道修正を試みてきたのだけど、果たして今回は。

先週週末、自分が身を置いている所ではイベント三昧なのだけど、自分は仕事でアップアップしている。参加したいなと思いつつも、自分のいる場所の一つとしてやはり仕事は必要だ。仕事も遊びも成立させたい。まず仕事を片付ける事に。ところが仕事をしつつも、集中力が切れると何度も同じ思考を巡らせる。

自立しているとは、依存している先が沢山あることだという話を以前IBMの記事で読んだことがある。誰にも頼らずにいられる人はいない。そこから色々考えてみて、自分は誰かに依存するけど、その依存先を沢山持っている事でリスクの分散、多様性であったりという状況の変化に追従する余地を取り入れる事になるのかも知れない、と思い始めた。

そういう意味で、特定の人や環境に全振りするのは依存ではなく執着というのが正しいのだろう。しかし自分は何かにつけて局所に全振りする事になりがちだった。執着と見るか、全てを掛けて臨んでいると見るか。

今、振り返ってみると、もしかしたら以前仕事一辺倒だった事は間違いではなくて、そうしたからこそ自分はやっと今みたいな人並みになったと思う。

一方で、ねこさんを足がかりに身を置いたこの領域は、最初は人間としての喜怒哀楽をもう一度感じたいという気持ちかと思っていたけど、このままでは仕事を失った時に適応できないのではないかという直感かそうさせたのかも知れない。もっと幅のある人になりたいと。

ところが更に他方では、ねこさんから出禁食らって突如場を失うなん可能性も無くはないわけで、それじゃリスク分散としてお気に入りの複数のアイドルさんの間を行き来するのかと言われると、不思議とそうではない。自分の中では、ねこさんと縁が切れた時はこの領域からいなくなる時という感覚は最初から一貫して頭の中にある。

多分年齢的なものであったり、自分の土台である家庭があるからなんだろう。贅沢だな、という結論に。どうせなら欲張って全部良い状態に、できないかな。全部ダメなのだけど今は。



週末の仕事は功を奏して、週明けからチームは動き始めた。これで2実働日稼いだ。自分はそれを見届けて代休を申請。このお休みの日は燎のラジオ放送、炭火焼きラジオの公開収録。

お休みで色々身の回りの整理して、夕方から収録に行こう。と画策していたのだけど、夕方になって仕事のチームメンバーの動きが自分の考えていた事と違う方向に転がり出してこれはやばい、となった。

休みの日くらい仕事から離れれば、という向きもあるけど、うちの仕事は皆の動きがチャットと作業管理のチケットシステム、プログラムコード管理ツールで見えるので、スマホの画面を見れば会議で報告を求めなくても今が大体分かる。

大慌てで進行を止めて、話の整理。皆の考えを出してもらってプロジェクトの向きを整える。ただ、チャットだと言葉足らずになる部分がどうしてもあるので、最後はリモート会議で直接対話、がいつものパターン。

燎のラジオ収録の時間は19:30スタート、今は17:30。移動時間を考えると30分くらいしか時間は無い。ちとジリジリしながらチャットにコメントを打ち込む。幸いチームのメンバーは応答が早いし耳を傾けてくれるので、話が最初はずれていても伝わる。

とは言えみんな納得して自立的に判断できる様になるにはもうちょい詰めたい。そんなこんなで時計を見ると、既に18:30を回っていた。開場どころか公開収録の開演にすら間に合わない。


"よし、まとまったね、後はよろしく" と入力して時計をみると、19:30。後はよろしくってもう仕事おしまいか。"定時後までお疲れ様、助かったよ"  そして、くそ、もう収録始まってるわ。

Googleの検索で出た時間は到着までに1時間半。早くて21時過ぎか。間に合わなかったら仕方ない。泣きながら帰ろう。大急ぎで家を飛び出し、駅に向かう。



電車の中では間に合うかどうかそわそわしっぱなしで、同担オタクさんで組んでいるグループチャットで状況確認。現地にいるエージェントオタクさんや若手オタクさんから、収録のプログラムが押している様子が伝えられてきた。

何とかなるか?
残念、自分の投書が読まれたらしく、その事も伝わってくる。ああん、その場に居たかった。仕方ない、後日のラジオ放送で聴く事にしよう。

会場に到着。丁度リスナーからの投書に答えるコーナーの終わり、今日一番の投書を選定しているところだった。カウンターでビールをもらい、プシュっと缶を開けたら周りの人達が一斉にこちらを見て微笑んでくれた。

小さな声で「間に合ったんですね」って。
なんか嬉しい一言がみんなから。

一番の候補の投書は、ねこさん、果南さんが選んだ中からまーやPが選ぶ事に。自分は状況がよく把握できていなかったけど、ねこさんはどうやら候補の一つに自分の投書を選んでくれていたみたい。

結局まーやPは別の人の投書を選んで惜しくも一番にはなれなかったけど、とりあえず、またイベント中に到着できて良かった。

その後の進行は巻きに巻いて、大体予定通り?に物販の時間に。
観客も演者さんも交えて、和気藹々とした時間が流れる。

とりあえずタバコを一服して、またビール飲んで、まーやPのトーク力の源泉を探りにお話へ。
まーやPは色んな人とトークする機会が過去に沢山あり、燎の二人は凄い、やりやすいと絶賛している。果南さんはボケ、ねこさんはツッコミ体質で、まーやPはそれを拾えば仕事になるから良いらしい。

過去には、反応が薄くて話が全く広がらない人もいたりして、そういう人はとても苦労したそう。

相手の話をうまく拾うのは、やはり視線が相手に向いているところが根元で、自分みたいに、何か切り出さなきゃとアワアワしているわけではない。初めの一歩がやっぱ違うんだなと、つくづく思った。今後の課題だ。

落ち着いたところでねこさんのインスタントカメラ撮影。
空きっ腹にビールは想像していたよりも効いて、顔が赤い。今日はもう何も考えずに話しちゃおう、と、前から気になっていた事をどんどん切り出す。ついさっき学習したはずのことが行動に反映されていない。ダメだな、自分。

で、どんな話かって?それは内緒です。
まあ大した話じゃ無い。本当は一番聞きたかった話があったのだけど、それは切り出す事ができなかった。

その話は、多分ねこさんも認識していると思う。敢えて切り出す事なくても、互いに疎通できたらいいのだけど、果たしてどうなのだろうか。
ねこさんの本当の気持ちが知りたい。

果南さんとは名古屋遠征の話に。果南さんは既に自分の話を他のオタクさんから聞いていて、話の伝播速度に驚く。話す事なくなったやん。

遠征につきものらしいゆっくりオフ会いいなと思うけど、多分自分は話し相手にもなれずにぼーっとしてるだけだろうなと容易に想像つくので、既に自分の中では決着がついている。

続いてねこさんの撮影、食用の炭を使ったスコーンを添えて。想像では炭と普通のスコーンの色がまだらなマーブル模様的な物を想像していたのだけど、現物は本気で炭にしか見えない。恐る恐る一口食べてみると、あら、うまい。

この炭ねこーんを咥えて写真撮影したら、とてつもなくひどい絵が現れた。到底人様にはお見せできない。

またねこさんとの間に黒歴史が刻まれてしまった。

池袋で副都心線の案内に沿って歩いたつもりなのに何故か辿り着けず、散々歩いてようやっとホームに辿り着く。
ホームで電車を待つ間に、今日のねこさんとの会話を思い出す。昔の思い出の品の話から、ギターの話になった事を。

嫁さんが結婚前から持っていて借りてたこのギター、色々エピソードありストラップは嫁さんが付けていた奴から自分が買い替えた奴に交換してある。厄払い。

そういや女の人って過去の事は上書き保存、みたいな話を聞いた事がある。上書き保存される側ばかりの自分、たまには上になってみたいものね。

家に帰ってねこさんの配信を聴きながら、弦を張り替える。ギター練習がんばろ。

というバタバタの1日。やっぱりねこさんとの距離は遠いし、間柄はブランチしていくばかり、近づく事は無い。けど、モヤモヤした気持ちを他のオタクさんにぼやいてみせたりして、それすら楽しい。

今はこの一秒一秒を満喫しよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?