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第3章-イタリア喜劇🎨サティ『スポーツと気晴らし』

 「喜劇」としているところが良い。サティは深刻さを深刻に扱うことを滑稽に思っていたのではないか。ドビュッシーにしてもラヴェルにしてもそう感じている。深刻さというのは誰もが持ちうるもので、人生においてとてつもない悲劇にみまわれることも、如何なる人にも起きている。ただそう見えないだけで、計り知れない重たいものを人々は抱えて過ごしている。その各々の傷口に、優しく寄り添ってくれるもの-それは対峙するというより、並行して前を見ているような姿勢-を、フランス音楽から感じている。

 『イタリア喜劇』は、武力や権力を誇示して女性を我が物顔に手に入れる-それは支配-軍人を、冷めた目で綴る。
 力づくで手に入れるなどしなくても、目の前のたった一瞬を切り取って拡大鏡にあてるだけで、世の中には愛らしいものが溢れているというのに。そのような呟きが、サティだ。

Erik Satie : Sports et Divertissements
エリック・サティ『スポーツと気晴らし』

🎨プレイリスト

🎨概要


クラシック音楽を届け、伝え続けていくことが夢です。これまで頂いたものは人道支援寄付金(ADRA、UNICEF、日本赤十字社)に充てさせて頂きました。今後とも宜しくお願いします。 深貝理紗子 https://risakofukagai-official.jimdofree.com/