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10クラ 第46回 ミルテ、愛のささやき

10分間のインターネット・ラジオ・クラシック【10クラ】
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第46回 ミルテ、愛のささやき

2022年11月25日配信

収録曲
♫ロベルト・シューマン/フランツ・リスト:献呈

オープニング…サティ:ジュ・トゥ・ヴ
エンディング…ラヴェル:『ソナチネ』より 第2楽章「メヌエット」

演奏&MC:深貝理紗子(ピアニスト)


プログラムノート

 白くほわほわとした風貌の花、ミルテ―日本では銀盃花(ギンバイカ)とも言われる―は「愛」や「愛のささやき」という花言葉を持ち、「お祝いの花」と言われている。シューマンは愛妻クララとの結婚の折、26曲から成る連作歌曲『ミルテの花』を贈っている。愛の花束に見立てて、愛に溢れた詩(リュッケルトやゲーテ、ハイネなど)を用いて作った作品を贈るのは、さすが強烈なロマンを貫くシューマン、といった印象だ。『献呈』は第1曲目に収められている。
 シューマンの1歳年下のリストは、この作品をピアノ一台で演奏できるように編曲している。ピアノの大スターならではの煌びやかなパッセージも目を引く点ではあるものの、根底にあるデリケートな愛の表現、もともとの歌詞を生かした曲作りにこそ名手の腕が光る。
 この二人は積極的に「発信」を行った点で興味深い人物でもある。シューマンは文才を生かして数々の隠れた名作や研究、新人発掘に尽力した。一方でリストはその腕前とスター性を生かして自分の作品のみならず、優れた作品、知られてほしい作品を率先して演奏して回った。シューマンとリストのプロモーション能力は嫌味なビジネスに陥ることなく、芸術を保ったまま行われている。これは今一度スポットを当てられるべき活動理念ではないだろうか。

 今回この作品をピックアップしたいと思った最大の理由は、長年の友人の結婚を改めてお祝いしたかったから。心から、おめでとう。

クラシック音楽を届け、伝え続けていくことが夢です。これまで頂いたものは人道支援寄付金(ADRA、UNICEF、日本赤十字社)に充てさせて頂きました。今後とも宜しくお願いします。 深貝理紗子 https://risakofukagai-official.jimdofree.com/