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エンターテインメントビジネスの基礎知識

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ショービジネスなどのエンターテインメントおよびコンテンツビジネスの基礎知識
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記事一覧

【日本アニメすごい幻想】からの脱却が必要: 「製作委員会悪者説」提唱者である私が製作委員会を否定しない理由

みずほ銀行の産業調査部が公開した『みずほ産業調査』Vol.69「コンテンツ産業の展望 2022~日本企業の勝ち筋~」(2022年3月24日掲載)が最近話題となったことを知りました。 きっかけは『ITmedia NEWS』の記事[アニメの製作委員会方式に、みずほが警鐘 動画配信時代に「交渉力低下のリスク」 コンテンツ産業の分析レポート公開](4月21日付)を見たことなのですが、記事通りの内容ならばコンテンツビジネスの基本と本質を理解していない見当外れも甚だしい分析です。

【映画産業は不動産ビジネス】日本から世界的ヒット映画が生まれない理由

映画産業は不動産ビジネスなのですが、意外と映画ビジネスの基本と本質は知られていないようです。と言うのも結構前になりますが、『米学生アカデミー賞ファイナリストの日本人が語る「米アニメ界から宮崎駿が出ない理由」』という記事をたまたま見掛けたことにより改めて痛感したからです。 そもそもなぜ米アニメ界が宮崎駿や細田守を出さないといけないのか前提が不明です。ジョン・ラセターや記事にも出てくるピート・ドクターではいけないのでしょうか?以前の記事『【開閉会式で顕在化】エンターテインメント

【見本市】としての「海賊版サイト」活用のススメ

海外においてコングロマリットによるマーケティング戦略としてのソフトパワー展開から国家レベルのソフトパワー戦略まで、取り分けエンターテインメントビジネス(コンテンツビジネス)を仕掛けていた立場から見ると、日本の漫画(マンガ)海賊版対策は実に奇妙です。 もちろん、海外で海賊版サイトが全く問題になっていないという訳ではありませんが、日本の漫画海賊版サイトを巡る狂騒はむしろ産業構造によるところが大きいように思われます。 何故なら、純粋にビジネスとして捉えるならば、「海賊版サイト」

【開閉会式で顕在化】エンターテインメント後進国日本の演出力不足

『長野オリンピック1998』に続き、『東京2020オリンピック大会』の開会式・閉会式の演出もとても残念なものでした。ドローンアーティストとして1,000機以上からなる群ドローンによる「ドローンライトショー」演出を手掛けていた立場からは、取り分け「ドローンライトショー」の演出は酷いものとして映りました。 (Twitterの内容と重複しますが)「ドローンライトショー」における「地球」はデフォルト演目であり、ロゴの3Dアニメーションを描くのも定番。(ピクトグラム描写も文字通り「ド

【ドローンライトショー】とは何か?

近年、夜空を彩るエンターテインメントとして「打上花火」に取って代わる「ドローンライトショー」(drone light show)が注目を集めている。本稿では「ドローンライトショー」とは何かを概観する。 ドローンライトショーの定義「ドローンライトショー」(drone light show)は「ドローンアニメーション」(drone animation)あるいは「ドローンディスプレイ」(drone display)または「ドローンライトインスタレーション」(drone light

【コスプレイヤーの世界】Z世代のソーシャルメディアスター

1980年代頃に日本で誕生したとされる「コスチュームプレイ」(costume play)はニッチなオタク趣味として見られていました。しかし、現在では「コスプレ」(cosplay)として定着し、世界でポップカルチャーとしての地位を確立しています。 中でもトップのコスプレイヤー(cosplayer)はインフルエンサーとして確固たるソーシャルメディアスターのポジションを築いています。コスプレカフェの一種である「メイドカフェを文化にした者」(以前の記事『【メイドカフェ】を文化にした

【人気No.1日本アニメ】『カウボーイビバップ』実写版に漂う「駄作の風格」

「何コレ?仮装大会?それともギャグなのかしら?」とフェイ・ヴァレンタインなら言いそうなNetflixによる実写版ドラマシリーズ『カウボーイビバップ』のファーストルック写真が2021年8月23日に公開されました。 TVアニメシリーズ『カウボーイビバップ』(Cowboy Bebop)は1998年のサンライズ作品で海外における人気は絶大でした。毎月のように世界各国の国際映画祭やコミコンなどを巡っていた個人的な体感では少なくともゲートウェイアニメとして果たした役割と人気は日本のアニ

【Netflix作品】視聴者数ランキングをCEOが暴露

Vox MediaによるCode Conference『Code 2021』でNetflix社Co-CEO and Chief Content OfficerであるTed Sarandosが、OTT(Over The Top)としては珍しくNetflixオリジナル作品の視聴アカウント数と視聴時間の全世界ランキングを暴露しました。 尤も、Netflix(ネットフリックス)社Co-CEOが発表したものなので「暴露」ではなく「公称データに基付くNetflix作品人気ランキングを公

【アニメ映画化】『SLAM DUNK』原作者とアニメの和解で続編に可能性

井上雄彦さんの漫画『SLAM DUNK』(スラムダンク)を原作とした2022年秋公開予定の新作アニメーション映画(タイトル未定)のティザー動画が(2021年8月13日に)公開されました。何と監督・脚本を原作者自ら手掛けるというからビッグニュースです。 漫画(マンガ)原作者によるアニメ映画化は、宮崎駿さんの『風の谷のナウシカ』や大友克洋さんの『AKIRA』など特別珍しい訳ではありませんが、今回の驚きでありかつ大事件なのは、井上雄彦さんが『SLAM DUNK』のアニメ化に携わる