手段と目的が逆になったゲ謎(2023/12/04)

ゲ謎を見た。
申し訳ないけれども私には刺さらなかった。
称賛系の感想を求めている人は、ここから下は何も良い事を書いていないので読まないほうが良い。

「自分の感性にあわなかったものに言及する必要はない」という言葉はもっともだな…とも思うのだが、なぜ自分の感性にここまで合わなかったのか、考えたいので書きます。
めんどくせ~性格でごめんなさいね…。

「面白いと思わなかった人間による視点」なので、フェアな感想ではない。「面白くなかったフィルター」がかかっている。なので、自然と否定的な表現が多くなっているとは思うのですが、一応今のところ私の率直な気持ちを書きます。

映画を嗜み、よく本を読み、歴史を知る人であればもっと別の視点(それこそフェアな視点)でゲ謎を楽しめたんだろうけども、私には私の感性しかないのだ。

というか、映画なんてねえ……楽しいとか楽しくないとか、そんくらいでいいんですよ!
いちいち考えてたらキリがね~!と思うんだけども、思考は私の趣味なので、うやうやと考えます。
ネタばれありです。


見て損したとは思わない。
というよりも、最初からあまり期待せず(私の琴線にひっかからないという意味での「期待せず」です)見たので、まあ、予測がそのまま当たったな…と言う感じ。

が、Twitter(最後の一人になるまでTwitterと呼び続けるぞ…)のTLでは男女関係なくゲ謎を称賛する声が多い。
近年のSNSでは否定的な感想を言う事のリスクが高いので、潜在的には称賛・否定が半々くらいなのかもしれないが、興行的には右肩上がりなのを見るにやはり人気があるのだろうと思う。

戦後の日本を舞台にしているという共通点からすれば私としてはゴジラ-1.0のほうが好みなのだが、上記記事を読み、こういった見方もできるのか…と思った。

感想サイトでも星4以上がついている。

傑作と言うべき内容ということは理解できるのだが、理解できても心は動かないんだよな。なんでなんだろう。

星4以上の感想をさらっと読んでみたのだけれども、ゲ謎で評価されている点は以下のように見えた。

・水木しげる先生の思想をしっかりと踏襲し、ブラッシュアップされている内容。
・昭和初期が舞台であるミステリーにおける、因習村でのお約束の再現。
・超資本主義となっている戦後の日本において、弱い存在(自分)のために成り上がろうとしている主人公の水木の切実さ。
・超人的な能力を持ち人非ざる者であるゲゲ郎と、戦争を生き抜きゼロから必死に生き抜く水木が手を組み、巨悪と戦うバディ感
・厭世観が強いゲゲ郎が妻への愛、息子の命、水木との友情によって未来に希望を持つこと
・友の置き土産である鬼太郎を「未来」の希望として、育てる決意をした水木の行動(が、「未来」には希望があるし私たちはそれを守る必要があるんだ…と言うメッセージに見える)
・戦争は糞ったれで、そのあとの日本も糞ったれだけど、それでも、だからこそ生きていかなきゃならねえ、という意識
・現代的にブラッシュアップされたキャラデザ
・昭和30年代と現代の倫理観のすり合わせの妙
・死体描写のグロさ

こんなところだろうか。

私の視点からで言うと……上記の事は何というか……あけすけな言葉を使うが「陳腐」なのだ。
実際、本編で流れた内容は、予告やあらすじから予想される内容の域を出ず私の琴線を動かすものではなかった。

原作やこれまでの鬼太郎ファン、あるいはミステリーやオカルト好きであればまた違った感想になったかもしれないのだが、私はどれもこれも通ってきていないので、私の中にひっかかるフックが存在しないのだな。

更に、今回の作品では「鬼太郎の誕生(というか妊娠)」によって、ゲゲ郎・水木が未来への希望を持つという内容だと思うのだが、私には「生命の誕生ははたして生の希望になりえるのか」という疑問があり、ゲ謎はその疑問を払拭できるほどのインパクトを持たなかった。

夫婦愛、友情、子供(生を未来に託す義務)のような情愛に対して私はかなり懐疑的なので、テーマにするならば丁寧に描いてもらいたいのである。あるいはこれらのものは何があっても「善きもの」「肯定するべきもの」という「圧倒的演出」が無いと(感じられないと)私は感動できない。

おそらくここら辺が、ゲ謎に感動した人たちとの差になっているのだろつ。ゲ謎のテーマは、ゲ謎演出だと、私の感動ゲージを満タンにしてくれないのだ。

桜の木の下には死体が埋まっている…というのも…。
う~ん……まあ好きな人は好きなんだろうな…と思うんだけど…。

妖怪のデザインも、私はあんまり怖くないのだ。可愛い~とも思わんが。
海外の妖怪をあんまり知らないので比較できないのだが、日本の妖怪のおもろいところはビジュアルよりも出現条件だと私は思っている。
特定の条件下でランダムに発現し、無差別で、しかし元ネタ(因果)があるから面白いし、怖いのだ。
この、条件があるのに発現がランダムというところが不安を煽るし、一種の儀式めいていてよい…とか思っちゃう。

とはいえ…Twitter(意地でもTwitterと呼ぶぞ)でトピックにあがっていた着流しの白髪片目のお兄さん(ゲゲ郎)のアクションシーンは確かに気持ちよかった。島脱出の時のかっこよさも半端なかったがVS長田(石田彰)の時のNARUTOみて~な超絶アクション作画がすごすぎて笑ってしまった。
ここの作画の気合の入りようなんなのさ!
なんかキャラデザも変わっていてて…何…?って感じだった。
アニメーターさん確認したかったのだが、エンドロール早い&文字ちっちゃいで全然分からなかった。
最後のおじいちゃん戦もこの作画で見られるのか…?!と思ったんだけど、そこまでいかなかったかな…。人VS巨大怪物だから…?
水木のしたたかさ人間くささ悪者になりきれない人の好さ、みたいなのも良かったよ~!嘔吐も見られたしさ。
声優さんがテニスの王子様の氷帝の忍足なのがまだ信じられない。
あのネットリ関西弁(京都弁?)の忍足が…?
「俺を殺せ~!!!!」と叫んでいた水木なのか…?
水木の生と死への意識の薄皮一枚感というか表裏一体感みたいなのよかったな~。「(戦争下における抑圧された状態に対して)何もかも嫌だ!」と「(戦争を生き抜いた事での)何としてでも生きて這い上がってやる」みたいなものが地続きなの良くない?
石田彰の「オン!!」もよかった…。←あまりにも石田彰なキャラで最高だった。

不満があるとすれば、やっぱさ~~~~~~~~~こっちとしては、ゲゲ郎とゲゲ妻の出会いから結婚までが知りたいわけ!(恋愛漫画脳)
ゲゲ郎の孤独をゲゲ妻がどう埋め、ゲゲ妻が幽霊族でありながらも人と共に生きようとしていた様子、その様を見てどんなふうにゲゲ郎の意識が変わっていったか、そして…なぜ…結婚までに至ったのか…。
っていうさ~~~他人から夫婦までのなめそれが知りたいのにさ~、それを全部回想ものの数分でやっちまうなんて…ひどいぜ…。
pixivとTwitterで舐めるように二次創作を探している訳。

↑まんまとはまってんじゃん。


尾張!

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