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すずめの戸締まり感想(2023/01/04)

完全にネタバレです。





個人の感想なので悪しからず。

一般人の感想にいちいちこんな断り入れる必要ねーだろ、と思うのだが一応入れてしまう。槍がどこから飛んでくるかわからないので⋯⋯。

「東日本大震災」をテーマにした新海誠監督の作品だが、個人的に「震災」を神霊の「災い」として描く事、「人間の力によって鎮める事が可能」という表現を私は好まないな⋯⋯と感じました。「天気の子」でも似たような事を思ったけど、あちらはまだセカイ系の要素が強かったので、こーいったらなんだけど「思春期の男女の恋愛感情の前では世界の危機さえ瑣末な事になる(視野狭窄になる)」みたいな思い切りの良さを感じた。しかし今回は具体的に災害を示唆する描写があり圧倒的に現実感が強い。今までのように、「この広い世界のどこかには特殊能力を持っていて、世界情勢にまで危機を及ぼす人がいるかもね⋯!」みたいなファンタジーで語るのは難しいように思う。セカイ系で実際に起きた天災を結びつける事への違和感がぬぐえない。違和感と言うか、この二つをいっしょくたにしてしまっていいのだろうか?という疑問がいつも湧いてしまう。

だって天災は現実だけど、セカイ系はファンタジーだから。

恋愛感情で天災は絶対に救えない。
ファンタジーの世界であれば救えるかもしれないけれど、天災はどこまでいっても現実で人は勝てない。新海誠監督は長く震災をテーマにした作品を作られたいと思っていらっしゃったようだが、私から見ると「天気の子」と何がどう違うのか正直分からなかった。結局、主人公が身を挺して好きな人のところに走っていって、異次元パワーゴリ押で解決。

別に不満があると言うわけでも無いのだけれど(何故なら私は新海誠監督の作家性は「セカイ系」に集約されていると思っているので)、これまでの新海誠監督作品との差別化ができなかった。新海誠監督は「ほしのこえ」からずっと同じテイストであるように見える。何がどう変化しているのかわからない。
あるいはファンタジーではなく、現実の震災をテーマに出してきた事それ自体が新海誠監督にとって大きな変化なのかもしれないけど⋯。

ここら辺は私の感受性不足なんだろうな。

すずめの戸締まりは予告編を見た時から「星を追う子供」のリベンジのように感じていたのだが、鑑賞後リベンジとまではいかないけれど意識しているのかなーと言うふうに思った。

特に感じたのが移動シーンのカットの多さだ。

新海誠監督のこの癖ってなんなんだろう?単純に移動が好きなだけなのかもしれないけれど異様なまでに移動のカットが多い。ひっきりなしに主人公が移動しているし走っている。2カットでおさまるようなシーンに3~4カット使っている印象だ。星を追う子供ではこれがものすごくテンポを悪くしているような印象だったのだけれど、すずめの戸締まりではそれがなんとなくロードムービー的に編集されていたように思う。だってオープンカーで走る必要なく無い?芹沢君の車がオープンカーである必要性あったか?

星を追う子供はものすごくシュナの旅感があったが今回は「千と千尋の神隠し」(冒頭の廃墟描写)と「もののけ姫」(ミミズ)感があったなー。

今回、伏線の少なさも気になった。こんな感じだったかな、新海監督作品って。何といううか⋯⋯開始30分くらいでキャラクターの設定が出てきて、それ以上発展しない感じ?ダイジンがカタシロ?に戻りたく無いのって何で?カタシロって代々他の人に移し替えてきたの?移し替える必要あったか?スズメと一緒にいたいって思ったからか?これが神の気まぐれってことなのか?現実にはそう言ったまさに神の気まぐれのようにして運命が変わる事があるけど、これは作られた物語⋯⋯なんやで?「神の気まぐれだからしゃーなし」みたいな理由で物語が進んで行ってええんか?

全体的に「とにかく移動させて、手詰まりになったらその場でイベントが起きる」みたいな感じがあったな。なんちゅーか「とにかく動けば良い!」みたいな感じ?

私はこういう瑣末なところがすごく気になってしまうタチなのだ。現実との整合性っちゅーかさ⋯⋯。ここら辺もやはり「現実」がテーマになっているからだと思う。現実がテーマに入ってくるとかなり気になりがち。

なんか物語の文句ばっかり言ってしまったのでここらで、個人的に良かった面を⋯⋯。

なんといってもやっぱり画面作りだと思う。特にブックのスライドの細かさや、3DCGの違和感の無さだ。何と言うか、まあ、どの映画作品も映画館で上映される事を意識して画面作りをしているんだろうけれど、すずめの戸締まりは物凄く意識している感じがある。劇場でしか味わえない臨場感というものが何なのか100%わかっている感じ。視覚描写、音響、カメラワーク、特効どれをとっても「劇場で見るべき作品」と言える内容だと言える。画面の美しさで言うなら、頭三つくらい抜き出ている感じがあった。

他で言うとキャラデザかなー。何か今回の男性キャラ、全員ガタイが良くて「新海監督どうしちゃったの!?」ってなった。全員背も高いけど、体の幅もあって、厚みがあってさ⋯⋯筋肉もあって⋯⋯手とか女性キャラより一回り大きくて「キュン」ってなったよー!わ゛ーーー!なんかすごく些細なシーンで大きさの対比がされててそれがすごく良かったです!
草太が「ハウルにそっくり」みたいな感想をどっかで聞いたのだが、ハウルみたいな美形は何人居ても良いですからねえ⋯!眼福でした。

芹沢君の声優さん気になってたんだけど神木君だったんだね~~!こう言ったらあれだけど、声優が本職の方と比べても遜色がない感じですっげ~~~~!ってなりました。

iPad書きにくすぎ。
とりあえず終わります。もう寝なければ⋯⋯。

尾張


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