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ニンニクの悪臭を放つホルン軍団、そして美しい調べ チャイコフスキー 交響曲第5番

ニンニク好きのホルン奏者

knobrauch(クノープラウホ)というとドイツ語でニンニクの意味です。ドラキュラ除けに使われることで有名なこの野菜、料理には欠かせないもので、中華料理、イタリア料理をはじめ欧米の料理にふんだんに使われているもの。匂いが苦手な人は多いでしょう。でも、好きな人は本当に大好きですね。ただこの匂いは、食べた人は全く気にならないものの、ニンニクを食していない人には迷惑この上ありません。

知り合いのウィーンのホルン奏者E氏もニンニクが好きで、ウィーンを訪れた時には、ビールのつまみによく、ニンニク料理を注文していました。確か日本の居酒屋でも「ニンニク焼き」を頼んでいました、、。

演奏会本番前にホルン奏者たちが食した料理が…

彼から聞いたお話です。

ある公演地で、リハーサル終了後、オーケストラのホルン奏者たちで、街へ繰り出し、演奏会前に簡単な食事を取りました。その時、四人ともその土地の名物料理を興味本位で注文したのですが、これが、なんとニンニクをふんだんに使った実に刺激的な料理でした。味は絶品。みんなその味に舌鼓を打ち満喫したわけです。
さて、、、、その夜の演奏会。曲はブルックナーのシンフォニーでした。もちろんホルンが大活躍する場面の多い作品です。

その夜ホルンセッションの後ろに配置されたパート(たぶん、トランペット、トロンボーン、チューバあたりでしょうか?打楽器もあるかも)は、演奏中さぞかし大変だったに違いありません(笑)。

間近で美しいホルンの音色を

E氏と共に数年、国内の中学校や高校の吹奏楽団向けセミナーにマネージャー兼通訳として同行したことがあります。ウィーンの本物のプロの演奏家によるの指導に、生徒たちは目を輝かせていたことを今も思い出します。セミナーでは彼がホルンの音色の素晴らしさを示すためにいくつかの曲を吹いてくれました。モーツァルトのホルン協奏曲、リヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲、そして、

チャイコフスキー「交響曲第5番」第2楽章のホルンソロ。

学校の教室です。音響の条件は良くありません。しかし、彼が吹いたメロディに生徒たちも私も、それこそ涙を流しそうなくらいに、感動していました。

チャイコフスキー「交響曲第5番」を語る時、私の耳にはあの時E氏が奏でたホルンだけによるソロが蘇ります。その音色は私の個人的ノスタルジーの世界を超越し、交響曲全体の壮大なスケールへの感動に、一層拡大していきます。


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